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021 報告+実力-判断=当主+襲名+回避

 実家の屋敷へと無事辿り着いた僕は早速アーティール兄さんをつかまえた。


「さあ、兄さん何があったか教えてね?」

「おお? どうした――」

「フリードリッヒ――イアンスのお兄さんと戦った兄さんで間違いないでしょ?」

「フッ、数日で鋭くなりおったな、うむ、如何にも」


 おそらくはイアンスとの契りで得た能力だと思う。

 魔法、魔術に関する事に敏感にもなってるから、数日の訓練で覚えてた感覚から推測出来たんだ。

 あの魔力の残滓を間違えるわけが無い、だって何度も訓練で喰らったからね!


 他にも判った事はあるんだけど、まあそれは横において問題はない、僕の魔力が増えるかどうかのテストだったから……


 まあ、それで兄さん達からの説明によれば数回の襲撃体制が敷かれていたらしい。

 その中の一回にフリードリッヒの襲撃だったらしい。


 まあ詳しくは前に述べたとおりだけどさ。


 一族揃って――

 もう、嬉しいじゃないかっ。


「アーティール兄さん、シュテンツ兄さん、ヴィルヴァーラ姉さん、父さん、母さん、それに皆も本当にありがとう、僕は幸せ者だよ」

「フフ、次は私が待っていると言えど、やはりルクスは愛されているな」

「皆様私の兄の愚かな振る舞いの為にご足労をお掛け致しましたわ、謝罪を――」

「駄目よ、イアンスちゃん、謝罪なんていらないわ、貴方はもう私の娘よ!」


 そうそう、もう我が家の一員だからね。


「はい、お義母様、改めまして感謝を皆様へ」

「フフフ、幾らでも頼ってねぇ」

「うむ、我らは家族の為ならば天をも貫こう」


 母さん……

 と、父さんのは本当に貫くから加減はしてね。


「そうだ、他の三人も既に分家をもっているのだし、今回の騒動が片付けば正式にルクスに跡を継がせるのはどうかな父上」

「うむ、それは名案だな兄者」

「フフフ、そうなったら私、実家に入り浸っちゃうわ~」


 はぁ、何言ってるのかなあアーティール兄さんは、継ぐことなんてまず僕らには関係のない話じゃないか、それにもしそんな事をするのなら長兄であるアーティール兄さんが一番強いのだからアーティール兄さんが継がないと駄目にきまっているじゃないか、だから僕は分家を作るに決まってる――


「それはいい考えだなアーティール!」

「そうね、前倒ししちゃいましょうよ、あなた」


 ちょっと父さんも母さんも何言ってるの?


「ちょっと皆して冗談はやめて」

「ん? 冗談などではないぞ、我は真剣だ」

「うむ、私もこの件は真剣に考えた上での事だぞ」


 言いだしっぺの兄さんも父さんも何考えてるのさ。

 僕は魔力をもったばかりで力も能力も経験も全部が足らないよ。


「だって僕は今まで一般人同然だったし、力もそんなに強くない、それに経験だって全然違うじゃないか」

「ハッハッハ、何、私は別に力どうこうで話している訳ではないさ」

「そうだぞ、確かに力だけなら今は我が上だろう、だがな、我らと大きく違う点にルクスは気がついていないのだ」


 何がだろうか?


「フフ、お前は無欲だからな、まずそこが美点の一つだ、お前は己の欲望では他を滅ぼそうとまでは思わぬ優しさがある。そして人に愛される資質、人が動く資質と言う天分をもっている。それに人に頭を下げれるだけの器ももっている。そしてな、勘違いをしているのかもしれぬが、恐らく今後お前は私よりも間違いなくありとあらゆる面で強くなるだろう」


 父さんの冗談は笑えない。

 うーん、結婚で我を貫こうとしてるし、愛されてるのは末っ子だからだよ。

 頭を下げるのだって自分がそれほどの事もしてないし地位にもいないだけだ。

 そして買い被りの最たるのが僕が父さんより強くなるってなんの冗談さ。


「くく、父上我から説明して構いませんか」

「任せよう、本当に気がついていないようだ」

「よいか、たった二人だが誰かと契りを結んで魔力が格段に増えたというのは凄く特殊な事なんだ、神祖である我らの強さはその魔力量に比例して単純に増えている嵩ではないのは判っているな?」


 まあ、実際にイアンスと契りを結んだ事で得た魔力量には驚いた。

 十六夜一人で増えた分の更に倍とまでいかないけどかなりの量が増えた、そして……

 どういった基準かまだ判らないけど、姉さんではそれ程増えなかった……

 あの羞恥心を引き換えにした結果が低かったなんて……

 あとは眷属から志願してくれた子で少しづつ魔力が増えたんだけど、その総合計の魔力量はカーミラさんが呟く程に増えてしまった。正式な契約じゃないのにだ……

 この辺りの容量の変化は恐らく魂の結びつきに原因があるのではないかと推論はしたのだけど。


 それでも、兄さんたちの方が間違いなく圧倒的に強いじゃないか。


「はあ、本当に気がついていなかったのは仕方が無いがな、我らは血によって高揚はするし、一時的に能力も高まるがそれだけで増える事はないのだ。だからな、涙や体液で己の力、つまり魔力容量が際限なく高まり、その果てが見えない事がどれだけ途轍もない可能性を秘めている事になるのか想像もできんのだ、こういえば理解できるか?」


 え、兄さん達って魔力が一時的にしか増えないの?


「え、でも限界はあると思うよ?」

「フフフ、我らも話し合ったのだがな、魔力の許容量は肉体とは関係がない、つまり限界はないだろうと言うことだ、そして仮に限界があったとしても余分な魔力は霧散するだけだろう。少なくともお前の現時点のブースト状態は我らの伸びよりも数段伸びが高い、つまりはそれだけの潜在的な能力をルクスは秘めていると言うことだ」


 本当かなあ、どうも自信がないんだけどなあ。


「お前、今日あったフリードリッヒと戦ったとしたら負けると思ったか?」

「うーんそれは無いかなあ、兄さん達なら楽勝で負けるけど、あの人位ならなんとかなると――」

「ククク、お前は面白い、あの人レベルで一応はその筋で名の通った吸血鬼だぞ」


 嘘だぁ、だって魔力が溢れてないような状態だったし。

「ルクス様、その話は本当ですのよ、それに今戦いましたらルクス様に私の敵いませんでしょ?」

「あれは手加減を――」

「してませんわ、当然十六夜も」

「ああ、手合わせに関しては手抜き無しでやってたぞ」


 うそぉ。


「うーん何故だろうか、全然っ強くなった気がしない……」

「そりゃ我らを相手にしてるからだ、少なくともフリードリッヒクラスを相手にできるならば十分だろう」


 シュテンツ兄さんは苦笑交じりだった。

 うーむなんでだろうか周りが凄すぎてわかってないだけ?

 知らない間にちょっとした中堅クラスにクラスチェンジしたようだけど全くもって実感がないよぉ。


「と、兎に角駄目だよ! そんなの眷属の――」

「我ら一同何処までもルクス様についていく所存ですぞ」


 ちょっとー!

 セヴァス何いってんのぉ。


「ではこうしよう、ルクスが我の魔力量を超えたときが当主交代の日であるとな、それでどうだルクス」

「うーん、判りました、父さんの魔力量、開放状態でいいんだよね」

「うむ、私の予想ではそう遠くない未来の話だしな」


 いやいや、仮に神を名乗る相手でも倒せる人が何をいってるのですか。

 こうして確定しては無いものの、何故か報告から僕が当主を継ぐ話になってしまった。

 人生ってほんと意味が判らない時があるよね。

 まあ、有り得ない未来を考えてたら吸血鬼なのに鬼に笑われるよ……

 クッ、兄姉達に笑われるのか、納得がいかないぞ。

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