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019 女傑-性癖=母+愛情

 豪華な部屋に通された僕はバートリ家の最高権力者を目の前にしていた。

 意外にもすんなりと通されて吃驚した。

 それに此処は応接室でも恐らくは最上級の客を遇す場所だろう。

 部屋の作りもそして調度品も趣味がよく調和が取れたシックなものだ。


「この度は急な訪問にも関わらずお時間を頂きありがとう御座います、カーミラ様」


 イアンスの実家、魔術の大家バートリ家。女主人であるカーミラ様こそが最高の権力を握っている。

 故に母のカーミラを説得してイアンスはドラクル家に婚約の話を通したと聞いている。

 そして問題がなければそのまま婚約の話は通っていたはずなのに如何してこうなっているのか……


「フフ、成る程貴女が娘の思い人なのね。私のように倒錯しなくて良かったわね、ウフフフ」

「お、お母様、今回の件の反対はどうしてなの? 愛に生きるのはバートリ家の血と仰ったのはお母様よ?」

「何を仰っているの、私反対なんてしておりませんわよ?」


 イアンスからの問いに返された内容は僕らの思っていた物と違いすぎた。

 え?

 話が食い違っているって、どういう事だろう。何かの行き違い、いや我が家が対応したのは“使者”であってカーミラ様じゃない。そもそも一度認めた婚姻の破棄という事自体に不審なところはあった、しまった!

 話し合う相手はカーミラ様じゃない!


 敵は別だ!


 僕は周囲の警戒を始める為に魔力を少し開放した。


「少々御前ではありますが、失礼――」

「ホウッ、これはこれは婿殿は随分と噂とは違うのぉ、イアンスよ中々良き相手ではないか」

「お母様!? それどころでは御座いませんわ!」


『朔、周囲を警戒したい頼む』

『畏まった! お任せあれ』

「カーミラ様、今回私の実家へ申し込み頂いた婚約に関してですが、少々ご説明せねばならぬ事と許しを得たい事が御座います。まず、私にはもう一人将来を誓うべき女性がおります――」


 僕は学校での事件からの出来事をできるだけ簡潔に告げた。

 多少恥ずかしくもあったが、屋敷でのイアンスとのやり取りも含めて全部伝えておく。

 イアンスが赤面しているが、それも可愛いからいいよね。

 カーミラ様も興味津々だし流石倒錯の吸血鬼と言われるだけあるなあ……


「故に両家の立場というよりは私の望みとして二人同時に式を挙げさせて頂く使者を送らせて頂いたのですが――返信は認めないと言うもので御座いました。故にこうして許可を求めにやってきた訳です……」


「ふむ、それが事実であれば、確かに多少は思うところは普通ならばあろうな。だが我の娘が自ら認めた愛の行方に親が口出しをしてなんとなろうか、それよりは幸福を願い祝うのが筋というもの」


 こうまで言ってくれると言うことは、やはり他の人物が介入しているので間違いはない。

 やってくれる、カーミラ様相手じゃないのならその他は直系以外は問題じゃなくなるなぁ。

 うん、悪い流れじゃない。


「そもドラクル家であれば婚姻を結ぶ相手として何も問題は無い、寧ろ娘から話を聞いて願いを叶えてやりたいと無理を承知で此方から願ったことでもあるしな、我も三卿などと世間から言われておるが、そんな同等の扱いなどと不遜な事をドラクル様に対し思ったことは無い。はてさて、誰の仕業か……男と言うものはこれだから……困ったものだな」


 カーミラ様から暴露されたイアンスの思いは知っている事とはいえ嬉しくなる。

 うん、耳まで真っ赤になったイアンスは可愛い、元が白磁のような肌だから凄く色っぽくなるよね。

 しかし、カーミラ様には犯人に心当たりがありそうだというのは聞き逃せないな。


「カーミラ様には今回の件、犯人に心当たりが御座いますか」

「うむ、恐らくは――」

『主、警戒を!誰か参ります』


 カーミラ様が言葉を発しようとした瞬間に朔が警戒を促した。

 そしてそれと同時に扉が開かれた。

 ――バンッ

 部屋に似つかわしくない音が響き渡り、一人の青年が部屋へと入ってきた。


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