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015 達人×3=天国

 翌日、早朝、巨大な大理石のテーブルに料理が並ぶ前に家族全員がその場に集まっていた。

 皆早起きなんだよねえ、寝なくてもいい体質だからかもしれないけど。

 これでどうしてあんな説が出来たかなんだけど、一応ね眷属は一部本当に死者系の人なんかがいて弱い、これは事実だ、それに目が良過ぎて常時魔力で目を守らないといけない、これは僕が一番最初に焦った事だ。

 それなりに理由はあるけど、大体はハイスペックなりの悩みだから問題はないんだ。

 そもそもだ、自分から危険な時間帯や場所に現れるとか、本当にそんな間抜けな事するわけがないじゃないか。


 あの変態の一族が朝になってメイクが崩れてるのを見られるのが嫌で急いで帰ったのが伝説の始まりだったとかっていう笑い話なんだ、水が嫌いってのも同時展開だったらしい。

 あの伝説の裏話は全部笑い話だからなあ。


 こうして家族が全員揃ってるのってなら都合も良いな。

 昨夜の出来事の報告をまずしておこう。


「そうか、うむうむ、魔力も増えているようだし、何よりもその二人の為にこそ同時に娶るという決断を私も応援しよう、流石は我が息子」

「同時に二人も娘ができるなんてお母さん感激だわ、大事にするのよ」


 父さんも、そして母さんも喜んでくれてよかった。

 そして勿論。

「ハッハッハそれでこそ我が弟ぞ、嫁を持つ事で一回り大きくなったようだ、二人分の甲斐性を持つだけでこれとは、鍛え甲斐がある」

 アーティール兄さんも誇らしげに言ってくれた、本人は人気があっても一途で今もモーレさんとラブラブだからちょっと気にしてたんだ。

 従魔は打ち倒して眷属にした人達からのみだもんね。


「しかし、これでルクスも一人前だと思うと感慨深いな」

 シュテンツ兄さんにも迷惑を掛けてたんだなあと思えば僕も何か感慨深いよ。


 シュテンツ兄さんは特に自由人だからなあ、一応奥さんもいるけど数百年一緒にいるから一緒に来る度に違う人なんだよね。

 あれ……

 でも兄さん達二人とも奥さんは基本的に元が人間ばかりな気がする。


「お姉ちゃんはいつでもその仲間に入れる準備ができてるわよぉ」


 姉さんは下僕ばかり増やすんじゃなくて早く結婚すればいいと思うんだ。


「だが二人同時にともなれば王侯貴族でも少ないのでは無いか」

「うむ、ルクスはこう見えて剛毅な所がある故だな」

「いいわねぇ、お姉ちゃん寂しいけど応援してるわ。でもやっぱりルクスは兄さん達と違って皆から愛されていくタイプだわねえ」

 え? そうなの、まあ確かに兄さん達は敵がいれば打ち倒して拳で語り合うタイプだけどさ、ソレを姉さんが言うのはどうかと思う。


「では私達二人、これから宜しくお願いします。お義父様、お義母様、お二人の義娘となれる事を嬉しく思います」

「そしてお義兄様、お義姉様。私達二人、皆様の義妹として恥ずかしくないよう勤めますわ」


「これでこの二人は婚儀はまだだが家族同然、うむ目出度い! あとは式を――」

「あなた、その前に両家との話もしませんと」

「うむ、根回しも必要となろうな、何せ我が家と婚儀を結ぶ幻種はこれが初の事になるのだ」


 そうだ、ここからが大変なんだ。

「父さん、一応だけど融合が出来るようになったらまず僕が挨拶に向かおうと思っているんだ、その方向で話を進めておいてくれませんか」

「よろしい、では双方ともに上手く連絡を入れておこう」


 楽しく食事をとりながら何故か僕の小さな頃の話ばかりで盛り上がっていたのは……うん愛されているからだよね、そうに違いない、でも食事時にオネショの話題はどうかと思うんだ。

 愛されてる筈なのに実感がわかない……




 ◆◇◆          ◆◇◆          ◆◇◆




 そして食後は予定通り今日も兄さん達との訓練から始まった。

「では張り切って金剛をも切り裂く一振りを目指すぞ!」

 目標は達人クラスなんですね。


 ――ブゥン


「金剛を切り裂ければ大抵の防御など無意味となる、あとは術式や防御結界だけが相手となるだろう。何あの父の血を引くのだから竜鱗でさえ断ち切れるようになろう。我が阿弖一振流の極意と従具の魔力があれば簡単な事だ」

 流派に昔の名前の一部を使うとか何してるの、っていうか極意を得るのに何年掛かるのかな?


 ――ブン


かいなの力だけで切ろうとするな、刀も己の一部、従具にも神経を通せ、そして刃全てを使って叩くのではなく切り裂く事を意識して体を剣の一部として振りぬくのだ、足、腰、肩そして腕から刀へ力を伝えるんだ」


 ――ブンッ


「そうだ、振り抜くと既に切り終えているイメージを思い浮かべながら理想の剣の軌道を見出せ、其処には何物でも切り裂く道がある、それを見つけ出せ、空さえ切り裂く一撃だ」


 ――ビュン


「よし、そのまま空間が切り裂けるまで振り続けろ」


 ――ヒュン

 え、それって終わらない気がする……

 ………………

 ――ヒュンッ

 …………

 ――ビュッ

 ……

 結局1000本振りぬく結果になったけど空間は切り裂けなかった、当たり前だけどね。

 最後に兄さんにお礼を言って僕はへたり込んだ。



 姉さんが其処に近づいてきて不穏なセリフを言って去って言った。

「私は二人に艶々(いろいろ)お話があるから剣と体術は兄さん達に任せるわねぇ、ウフフ」

 凄い不安なんです、お願いだから姉さんは自重してください。



 そして刀はもう振れないとなった所で一度休憩を取ると、次のシュテンツ兄さんに交代した。

「よいかルクス、先ずは体裁きが重要なのだ、其処に居て其処に居ない。切り掛かれば見失い、仕掛ければ既に事を終えている。兄者が剣術を教えるならば俺は体術を中心に鍛えてやる事にした、飲めば飲むほど強くなる鬼神と云われた我が変幻如水流酒天破螺魅の動き極めれば接近戦では無敵になれるぞ」


 どこの酔っ払い猿の拳法だろうか……

 アーティール兄さんもそうだけど、二人とも達人だよね?

 というか自分最高って技名はどうなのさ。


「極めれば全ての攻撃は相手へと返す事も可能となる。あの坂田ですら我が身を捉える事も適わなかったゆえな、如何に怪力が在ろうとも剛だけでは駄目だ。そんな者は唯の木偶の坊ぞ」


 えっと、ここでこう?


「もっと流れるように、動きの型を重視しているんじゃないんだ、もっと変幻自在に、水の如く体を裁くのだ、いいか打ち込んでみろ」

「いくよ」

「何時でもいいぞ」


 ――シュッ

 うわぁああ、ちょ体が浮いた!? 

 ――ボスン

 今殴りに行ったのになんで体が宙を舞って、しかも抱き抱えられてるの!


「どうだ、力は必要ないのがわかるか?」

「なんとなく?」

「まあ、慣れの部分が大きい、何度も繰り返す事で自然と体が反応するようになるまで続けるぞ」


 え”……

 またこのパターンですか。


「互いに交互に仕掛ける側を務めていくぞ、先ずは基本の攻撃の打撃を全て吸収する体裁きだ」


 まって、それが基本なの絶対間違ってると思う。

 ………………

 …………

 ……

「あ、ありがとう兄さん……」

 もう動けないよ!

 僕はへたり込むだけでは済まず大の字に寝転がった。

「ほら、こういう時に膝枕作戦よ! もう一人はアーンで攻めて汗とか拭いてあげなさい」

「「はい!」」


 なされるがままに僕の頭は十六夜の太ももに載せられていた。

 凄くいい。

 ふわっとしてて、天国が……

 しかもいい匂いがする。

「ルクス、はいアーン」

 ――アム

「美味しい、何時の間に」

「訓練の後はレモンと蜂蜜漬けがいいと十六夜さんと一緒にお義母様に教わりましたの」


 姉さん、いい仕事してくれたよ、ありがとう。

 でもね、なんだろう、突然天国が現れたんだけど……

 この天国、僕も彼女達も互いに凄く恥ずかしいんですけど!


 僕らをニヤニヤと見る兄姉の計略に見事に嵌っている僕は諦めて幸せだけを噛み締めた。

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