014 光×魔術=アーティー
従魔を呼び出すだけなのだが、一応は十六夜にも立ち会ってもらう。
もしも今後従魔を従えることがあったとしたら、基本的にだけど、この儀式はやはり妻になる人物が立ち会うべきだと思う。
確か父さんも全ての従魔を従える時には母さんを伴っていたっていうしね。
少なくとも従魔が増えるという事は、僕の場合は特殊だけど誰かから涙なりの体液を貰うという事だ、時には新たな妻を迎え入れる必要が生じたり、場合によっては関係が無くとも必要性に迫られてという事になるだろう、ならば、立ち会える時はこうして一緒に居たい。
「儀式というのはそういうものですわ、当然十六夜さんにもご一緒頂かなければなりませんわ」
「まあ、そういう儀式ならば理解した、一緒に立ち会おう」
僕が説明したらイアンスも十六夜も二つ返事で了承してくれた。
うん、僕の妻になる人は二人とも素晴らしい。
この二人に適う男にならないといけないと考えると大変な努力を必要とする未来が浮かぶけど、それだけ努力する甲斐があるっていうことだ。
じゃあ、やってみよう――
僕の魔力の反応をうけてるのだろう。
庭の風が止む、虫も鳴り止み静寂が訪れる。
「さぁ、おいで『ファントムオウル』」
光り輝く魔力の渦、僕の体から溢れ出るそれは徐々に形を成していく。
僕の中にあったイメージは光り輝く梟だった。
魔術を司る知恵の象徴。
司るの月光、魔法と魔力……朔が忠誠であるように知恵、武器ではあるけど水晶魔法の増幅効果がある。これこそ僕とイアンスの従魔だと言える内容だ。
「綺麗だな」
「素敵ですわ、こうして生まれるのですわね」
『主よ、知恵と夜の空を貴方の支配下と致しましょう』
『頼むね』
「じゃあ名前を決めてあげないと……何か良いのはあるかい」
「梟か、日本だと瑞鳥とされていて、良い事の前兆だとしていたり、あとは森の賢人……忍者とも言われている」
瑞鳥はいいけど、うーん忍者はどうかと思う。
和洋でどちらかと言えば洋風の方が似合うだろう、魔術を司ったり知恵だから。
「では、知恵の女神そして梟を聖獣としてたアテーナーからアーティーというのは如何ですかしら」
「うん、悪くないね」
『よし、名前はアーティーだ、宜しくな』
『素晴らしき名を頂きました、名に恥じぬ働きを必ず致しましょう』
うん、なんだか喋り方も個性があるんだな。
それになんというか、貴族っぽい、そのあたりはイアンスの影響だね。
『宜しく頼むアーティー殿、朔と申す、殆ど従魔としての期間に差はない故に、共に主の為に尽くそうぞ』
『これは丁寧なご挨拶を頂きました朔殿、アーティーです。主の為に尽くすのは勿論の事ですがこちらこそ宜しくお願いします』
『もしかするとコレで同時三種類の魔術が!?』
『勿論問題はありませんな』
『ですがご主人様、今は我らに没頭されるよりも奥方様達を』
なんだか一流の執事が付いた感じなんですけど!
いや、言ってることは凄くありがたい、危うくまた没頭して周囲が見えなくなる所だったよ。
『ありがとう! じゃあまた後で』
「素晴らしい名前をもらったって、それに朔とも上手くやってるし、まるで二人みたいだ、従魔はやっぱり片親に似るんだなあ」
「「片親!?」」
あれ、表現的には間違えてない筈だ――
ってそういう意味に取られたか。
というか、そういう意味にしかならないから迂闊だったかな。
でも本当に性質が似てると思うんだよなあ。
それにアーティーの魔憑刻印も体の他の部分かと思って確認したら、仲良く心臓の少し上に翼を広げた紋様で一つの紋章のようになってるし。
「私達の子」
「私とルクス様の子」
駄目だトリップしてる、これは何を話しても無駄っぽいなあ。
二人が元に戻るまで僕はじっとそこで待つことになった。




