1-18:風呂
部屋へ戻る頃には、さすがに少し疲れが出ていた。
思い返してみれば、とんでもなく濃い一日だった気がする。
「お嬢様。お疲れではございませんか?」
扉を閉めながらミゾレが尋ねる。
「うん、ちょっとだけ」
そう言いながら私は大きく伸びをした。
「でも……楽しかった!」
「それは何よりでございます」
ミゾレが柔らかく微笑む。
その笑顔を見ていると、なんだかこちらまで安心する。
「それでは、お着替えをいたしましょう」
「あっ、そうだった」
今着ているのは豪華なドレスだ。
朝からずっと着ていたけれど、構造が複雑すぎて自力では脱げる気がしない。
「では、お願いします」
「かしこまりました」
ミゾレは慣れた手付きで背中の留め具を外していく。
カチャリ。
カチャリ。
幾つもの装飾が外され、重ねられていた布地が解かれていく。
「ねぇ……思うんだけどさ」
「はい」
「これ、一人で着るの無理じゃない?」
「無理でございますね」
「即答!?」
思わずツッコミを入れる。
ミゾレは少しだけ笑った。
「王族用の正装ですので」
「そ……そっか」
やがてドレスは丁寧に畳まれ、代わりに柔らかな部屋着へと着替えさせられた。
「ふぅ……」
肩の力が抜ける。
やっぱり楽な服は最高だ。
このままベッドへ飛び込みたい。
そんなことを考えていると――
「お嬢様」
「ん?」
「お風呂へ入られてはいかがでしょうか」
「お風呂!」
一瞬で目が覚めた。
そういえば、昨日から色々あってお風呂に入っていない。
「入りたい!」
「ではご案内いたします」
ミゾレに連れられ、浴室へ向かう。
すると。
「えっ」
私は足を止めた。
目の前にあったのは、もはや浴室というより高級温泉旅館の大浴場だった。
白い大理石の床。
壁を彩る美しい装飾。
柔らかな光を放つ魔法灯。
そして中央には巨大な湯船。
湯気がゆらゆらと立ち上り、幻想的な雰囲気を作り出している。
「広っ……!」
思わず声が漏れた。
「こちらは、お嬢様専用の浴場でございます」
「専用!?」
王族すごい。
本当にすごい。
この世界に来てから何回目か分からない感想だった。
「では、ごゆっくりお入りください」
「うん!」
私は嬉しくなりながら服と下着を脱ぎ、浴場の中へ足を踏み入れた。
まず最初に、私は浴槽の手前にある洗い場へ腰を下ろして髪を洗った。
そして髪を洗い終えた時、何気なく壁際の大きな鏡へ目を向けた。
「……」
そこに映っていたのは――
透き通るような白い肌。
ふわりと流れる金色の長髪。
蒼い宝石のような瞳。
どこからどう見ても、絵本や物語の中から飛び出してきたような美少女だった。
「やっぱり可愛いよなぁ……『リア』の顔」
何度見ても慣れない。
鏡の中にいるのは間違いなく自分なのに、未だに少しだけ不思議な気持ちになる。
「これ、本当に私なんだよなぁ……」
そう思うと同時に、身体の“とある”部分に目がいってしまった。
「てか、リアの胸……でかっ!」
薄々は気付いてはいたけど、改めてきちんと見ると綺麗な形をした豊満な胸だ。
D……いや、Eはあるよな。
前世の私、アリサの時はBだったからなぁ……。
そんな事を考えていると、気付けば自然と目の前にある豊かな果実を揉んでいた。
すると――
「ご自身のお胸を触って、どうされたのですか?」
突然、背後からミゾレの声が聞こえた。
「ふぎゃぁぁぁぁ!?」
あまりの驚きと恥ずかしさに変な声が出てしまった。
「それはその……いや、違うくて、へ……変な意味はなくて……」
言い訳をしようと背後を振り返ると、そこには――
全裸のミゾレが立っていたのだった。
綺麗な肌に、抜群のスタイル、そしてリア以上の豊満な胸。
なんてエッチな身体なんだ……。
ヤバいっヤバいっヤバいっ……!
興奮しすぎて鼻血が出そう。
「どうなさいました? お嬢様?」
「だ……大丈夫! 大丈夫! 何でもないから安心してっ」
そう言って、急いで前の方へ向き直す。
本当にヤバい……。
とりあえずシャワーを浴びて一旦気持ちを落ち着かせよう。
そう思いシャワーに手を伸ばそうとしたら――
むにゅ。
何か……背中に当たる二つの柔らかい感触を感じた。
まさかと思い、恐る恐る振り返ると……
「ミ……ミ……ミゾレさんっ!?」
思っていた通り、私の背中にミゾレの胸が押し付けられていたのだった――。
「こ……これはどういうっ」
「失礼いたします。お身体を洗わせていただきますね」
「いやいやいや、大丈夫だよっ! 一人で洗え――」
そう言い終える前に、背中にくっついてる二つの柔らかいものが上下に動き始めた。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと!?」
「気持ちいいですか? お嬢様?」
ミゾレは当たり前かのように平然と聞いてくる。
こ……この洗い方、変だよね!?
これ、もうえっちぃお店での洗い方だよねっ!?
それとも、王族はこんな風に身体を洗ってもらうのが普通なのか?
今にも爆発しそうな頭で、そんな事を考えていると……
「次は前の方を洗わせていただきますね」
ま……まえぇぇぇ!?
「ちょ……ちょっと前の方は洗わなくても……」
大丈夫と言おうとしたが、その時にはすでにボディソープが塗られているミゾレの美しい手が、私の豊満な果実に触れていた。
ミゾレの手が動き出す。
ちょっ……この手の動き……洗ってるというより、揉まれいるのでは!?
そう思っていた矢先に、ミゾレのしなやかで綺麗な指が、私の胸にある突起部分に優しく触れた――
「やぁ……んっ」
思わず変な声が出てしまった。
ヤバい……何も考えられないぐらい気持ちいい……というより、変な気分になっちゃうよ、これ……。
頭がぼーっとする。
意識が飛びそう……。
そして、そのままミゾレにされるがままに腕、お腹、そして足を洗われ――
「では最後に、こちらのほうも――」
そう言うと、ミゾレはゆっくりと私の下半身にあるデリケートな部分に腕を伸ばして、触れた。
その瞬間……。
「びゃぁぁぁ!!」
私は、声にならない奇声をあげ、それと同時に我にかえった。
「も……もう大丈夫だからっ! 本当に大丈夫だからっ!」
そう言って、私は急いでシャワーを手に取り、身体に付いている泡を勢いよく洗い流した。
「そうですか……」
心なしか少し残念そうにミゾレが呟いた。
「じゃ……じゃ私、湯船に浸かってくるねっ」
私は、逃げるようにその場所から離れ、恥ずかしさと悶々とした気持ちを掻き消すように、勢いよく浴槽に飛び込んだ――




