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        【⑬未来世界】 宗ちゃん流石に驚いた、未来世界にゃなにもない、

                闘争競争差別もない、経済格差も税金も。

 

▼午後は一転して苦手な経済システム。イキナリ管轄外のハナシではエンジンが懸からないよ。そもそも此の未来世界では経済原理の制約は最早無意味。納税と言う言葉すら死語。

電気エネルギーは十分に有り余り人類は労働に頼らずとも遣って行ける。実は此の世界では人類文化の多様性に資する事が労働。創造的に積極的に活動することが第一義。

楽しみながら集中し没頭すること。公共性、社会性と倫理性が其の判定基準。報酬はポイント制で仮にゼロに為ってもイコが報告を出せばまた基本ポイントが再チャージされる。

職業は一定の研修期間内で何度でも自由に選択可能。其のあとは自分で判断出来る。勿論複数選択もOK。底無しにリッな世界で教育費も医療費も管理記録のみ。


▼生き甲斐と心身の健康が尤も大切。「拳児ど~思う?」「想像を絶する世界だよ。電気エネルギーが潤沢なのは分かるが余りにも豊か過ぎる。其の一方厳しさが全くない」

「其の代わりに自分の価値観追求と研鑽の厳しさがあると思うよ。其れがあれば堕落する事は先ずないだろうね」何処までも宗樹はプラス思考な解釈。此処で芸術作品の

取り扱いに着いて説明。作者がひとたび作品を発表すれば其れは直ちに公共物。専門保管施設で封印。本人と展示場には精巧なレプリカ。作品の売買も家族への相続も皆無。

不満な作者は公表せず家に仕舞い込む。面白いのは其の展示館に勤務して常駐。仮想館の主?。此の世界では芸術的価値観は経済原理から完全に切り離されて居た。


▼此処で唐突に「21世紀の状況を聞きたいのですが」と言う流れが遣って来る。拳児に振ろうと思ったが「自分も化学教師なので管轄外だよ」其の一言でスルー。ま~仕様がない。

『傍に居てくれるだけでイイ。黙って居てもイイんだよ』と朝に熱唱したのは宗樹本人なので是以上無理強いも出来ない。其処でパソコンからテキト~な新聞記事の抜粋をつまみ食い。

『国民経済をビジネスセンスで運営すると長期デフレや不況を招く。企業改革の経費削減は国の財政支出削減に相当。是が需要不足を招き不況が深刻化。不採算部門のリストラは

国なら非効率部門の産業や企業の切り捨てに相当。すると失業者が激増。また企業の国際競争力強化は賃金低下を招き需要は縮小、デフレ不況が更に悪化』ではど~するの?。


▼「自分は是を読んで新陳代謝と国際競争力強化の鍵は結局先を見通した構造改革とイノベーションかなと思いました。でも其れには国際的な経済調整と棲み分けが経済環境として

必要なんだとも思いました。しかし大国同士が覇権争いをして居る21世紀の世界では協力も調整も只のお題目で妄想だと言わざるを得ないですね」何時もの悲観的オチでお仕舞。

次は世界的に拡大する経済格差。『歴史的に見ると資本収益率は常に経済成長率を凌駕。是は資本家と一般の経済格差の一方的で継続的な拡大を意味する。此の不均衡な富の

配分に依る社会不安拡大の歯止めには個人が国境を越えて保有する純資産総計に対する課税”グローバル資本税”の導入が不可欠』「分かっちゃ居るけど誰も出来ない感じです」


▼イスラム国問題の背景に経済格差と中近東のユースバルジ(若年層の膨張)。『15~29歳が男性人口の3割を超えると雇用機会は忽ち縮小。若年層は生き残りを賭けて暴れ出す。

(海外移住、対外侵略、革命、内戦)。大航海時代の植民地化政策は此の典型。テロの惨劇の原因は文化的、宗教的な軋轢と言う側面と同時に世界規模での格差拡大と局地的な

人口動態の不均衡と言う背景が存在する』次は経済成長の功罪。『経済成長が国内格差を助長。勝ち組だけが更に勝ち分配がない。むしろ低成長が正常で弊害を調整出来る。

経済膨張、人口増加は資源過消費、環境悪化と言う限界を招く。成長、膨張は競争、格差を激しくするだけと言う一面もある』

 

▼『労働環境の変化で日本的な終身雇用、年功序列システムが崩壊。過当競争、非正規雇用の激増、格差拡大。劃して頑張れば報われると言う希望が消失。物欲や出世欲も

持てない状況。成熟社会の課題としては社会基盤に歪、亀裂が拡大。地域活力が衰退。東京一極集中、核家族化、晩婚化、少子化等の解決すべき問題が山積。危うい時代で

平和への危機感、有事への恐れが蔓延。戦後から戦前への転換期とも言える。人心には寛容さの喪失、少数意見の否定、没個人化、右傾化が見られる』「自分が残念に思うのは

非正規労働の拡大と共に即戦力型が大器晩成型を駆逐して仕舞った事です。其れは研究活動に於いても同様で是では改革もイノベーションもムリですよ」と、またまた悲観論。


▼『一方では災害(事故、事件)の時代で安全神話は崩壊。土地、家、車への執着も希薄化。しかしボランティア元年で助け合いの精神が人々のココロに芽生えた時代でもある』

『IT(ネット、スマホ)普及の光と影。世界中で情報、時間を共有。知識、交流が拡大し価値観が多様化。転職、離婚、LGBT等に対する寛容性の芽生え。倫理観の問題とネット依存症、

闇サイト等のネットのモラルが未成熟。そしてネット社会は個人的な繋がりが希薄化。世代間の分断も懸念される。不況しか知らない若者は年金制度に重荷感を持つ。全世代を

統括する相互扶助の仕組み造りが喫緊の課題。グローバル、過当競争、分断と格差の悪いシナリオも懸念される。世界的な調整努力が必要だが誰が其れを遣れるのか?』


▼新聞記事からは経済原理や競争原理に振り回される人類と言う本質が垣間見える。人類生態学的に言って仕舞えば極端な勝ち負けや淘汰はやがて勝ち組の末路を招く。

良いバランスの共存共栄が共に生き残る唯一の道。其れにしても経済原理はヤバい。人間の欲望に然も似たりで適切為る制御と調整が大切だがプア。そして既得権が革新の

足枷に為って居る点も深刻。経済効率が危険設備を容認して居る。原子炉、大型旅客機、ガスタンク基地、大型発電所、ギュウギュウ詰めの大都市等。コスト重視と集約化、

集中化が危険性を増大させて居る。是が経済性優先の落とし穴。利便快適依りも安全防災の方が遥かに重要。「是はボクの個人的な感想です」


▼よく分からないエリアなのに頑張って色々喋りました。(新聞の丸写しだよと影の声)。では助さん格さん、そろそろも~此の辺でイイでしょう。てえ事で発言は終了。此処からは手抜き。

其れで一つ質問。「研修期間に才能なしと為っても好きな事なら趣味として続けてもイイんですよね?」「ハイ、勿論です」「昔の言葉に器用者は名人に為れないと言うのがあります。

初めは不器用で要領が悪くても知らぬ間に暫くあとには追い着いて来る者も居る。こ~言う人は所謂大器晩成型で大抵の場合頑固で社交性は貧弱です。しかし其の反面

自分のスキルに対する思い入れや追及が深いので周囲を気にせず余所見をせずにマイペースで根気良く精進する。そして其の内に徐々に頭角を現しやがて晩年には名人に為る」


▼「処が何分即戦力型とは真逆なので過当競争下ではこ~言う人材は中々育たない。21世紀の非正規雇用の拡大で大器晩成型は即戦力型に悉く駆逐されて仕舞いました。其れで

長期的に見ると却って企業のマンパワーが衰弱して居るんです」「確かにそ~言うタイプの人には扱い難さはあります。しかし器用な人には屡飽きっぽい傾向が見られますね」

「此の世界では効率や経済性依りも本人の意思や長所を伸ばす事を優先してくれて居る。其れが一番気に入りました」「様々な特性や価値観を持った人々が

自分を活かせる環境が先ず大切ですからね」「多様性を認める事が全体のパワーアップに繋がる様な気がします」中々キレイに纏まりました。処が一難去ってまた一難‼。


▼今度は教育のハナシ。すると「先ず先に21世紀のハナシをして下さい」とイキナリこ~来たよ。ま~さっきの要領でテキト~なネタを大放言ファイルから摘み出して尤もらしく発言。

NHKのスーパープレゼンテーション。『生後七か月くらいの赤ちゃんに或る経験をさせると将来外国語を簡単に覚える。被験者の国は英語。赤ちゃんに任意の外国語を聞かせて

脳のどの部分が活性化するかを観察。すると聞いた言葉を音声として脳内で統計を取って居る?。何分まだ言葉の意味を理解する以前の段階。処が是が後々聞いた言葉を

話せる様に為る基礎として必要不可欠な事らしい。但し話し相手は機械やビデオではダメ。人間関係がないと全く反応しない。そして被験回数は少なくとも12回くらいは必要』


▼只可愛がって貰っただけで普通の子供でも自然にそ~為ると言う内容のハナシ。マジ感心した。差し詰め一種の音感教育かな?。資料を見ると此の世界では生後半年くらいから

同様の早目の幼児教育をして居る。矢張り進んで居るね。「教育の根本は幼児教育が肝心であとは個人の感受性と適性、自発性と成長曲線。其れがワタシの描くイメージです。

ウチの子供たちは奥様の方針で3歳から3年保育に通わせYMCAで水泳などを習わせピアノ教室にも行かせました。まあやや遅めの幼児教育かも知れません。自分は全て丸投げで、

通信簿も全く見ない親だと笑われました」「極端な親だなあ」「でも、宿題教えてとも言われなかったんだよ」「其れも一つの見識ですよ」ワインさんが慰めてくれました。


▼次は保育ネタ。『最近の幼児は転び易い上に咄嗟に手が出せず、顔や頭をぶつけて大きな怪我をする。原因はハイハイ運動の不足。其れで腕力とバランス感覚がメチャ貧弱。

早く二足歩行に為り過ぎるのも原因。矢張り人間も進化の過程を辿り四足歩行を十分に遣って於く事が不可欠。子供が立つのが遅くても心配要らない』次の記事は幼児期の発汗。

『発汗体験が不足すると汗腺が未発達で大きく為っても中々汗をかけない。体内に熱が籠り易く熱中症に弱く室温28度でも危険。幼児期の内にチェックが必要』次は骨のハナシ。

『幼児は骨が未分化で骨幹、軟骨、骨端合計で約305個。成長に伴い次第に三者は骨に統合。203個前後に為る。是が早期筋トレがイケない理由。バランスも未熟で猶更危険』


▼次の記事。『運動デキる子にする為に。初期は色々な動きを経験させる。自由にさせる方が意慾が高まる。指導、競争は逆効果。選択肢を狭めない事。進路決定は12歳頃で十分』

次のハナシ。『体罰(お尻ぺんぺん)は躾けとして逆効果。3歳半の体罰で5歳半に問題行動が2倍弱に増加。低頻度でもトラウマに為る。恐怖で支配はサイアクで躾の基本は支援』

「我々の時代では子供には先ず圧倒的な力で理不尽を教えろと言われて居ました。其れを知らない典型がボクですが親は正しかったと思います」すると俄かに発言の拳児くん。

「ど~せ世の中に理不尽は溢れて居るよ」「其の頃には自我意識が強く為って居て悉く跳ね除けたよ」「其れでこ~為って仕舞った訳だな」「元教師は容赦ないねえ」


▼次は安全教育。『ベランダは危険な場所。幼児は好奇心旺盛で警戒心欠如。補助錠設置で隔離がベスト。良く見れば洗濯機、室外機などの踏み台だらけな場所。撤去か柵から離す。

そして柵にも欠陥があり隙間に足が懸かり登れる場合もある。十分な対策が必要』次は交通事故。『小一に突出し入学期に急増。4割が飛び出し。未経験で危険認知が困難。

見え方が大人とは違う。興味のあるものに集中し易い。入学後に危険な行動を学んで次第に減少。ポイントは登下校と家での遊戯中。慣れ始めの5~6月と10月の夕暮れ時がヤバい。

生活圏や通学路を親が付き添い教える。入学当時(6~8歳)は未発達。8~9歳以降は慣れや冒険心が確認を疎かにする。自転車で行動範囲拡大。成長時期に即した指導が肝心』


▼『通学路の安全は子供の視点で。通学ルートを具体的に把握。どの様に歩いて居るのか確認。例えば”あの電柱に車が来たら渡らない”等と具体的に指導する事が肝心。

送り出す時には子供を暗い気持ちにさせない。落ち込みは注意散漫を招く。子供には衝動的な行動が多く状況判断も甘い事を認識して於く事』今度はクルマの運転時の注意。

『運転に際しては子供の視野の狭さをアタマに入れて於く事。事故の多いのは1~3月で横断中が多い。子供は大人依り視線の位置が低く距離感が異なる。衝動的な行動も多い。

其れで容易く交通安全から意識が逸れるのが社会適応形成前の大きな問題』更におまけ。『子供は動く赤信号』と言うフレーズも存在。ナルホド確かにホントだね。


▼『朝日新聞のグローブ、五歳までの旅支度。遊ぶ事を楽しむ時間が大切。親の目的意識はマイナス。体力、意志力、協調性は必要。幼児教育は英才教育に非ず。外国では保育と

教育は一体。団体の中で基礎を養成。脳の健やかな発達の始まりは特定の保育者(親密なる関係性。フツ~は親)からの語り掛け。コツは観察、多くを語り掛ける、聞き役に為る等。

耳から入る言葉は脳の必須栄養。聞く能力が読む能力に繋がり学ぶ能力に繋がる。躾に厳格と寛大は支援上必要。要求暴走は独裁で怠惰はサイアク。厳格が生きる力と成績に寄与。

自己制御力を育てる。生活習慣の取得も大切。先ず特定の大人との親密な関係性構築が重要』最後に取材記者の結論。『親子のスキンシップが最も大切』確かにそ~だよね。


▼やっと此の世界の教育システムの説明。保育所は発育の支援が目的。幼稚園は年齢別だが以降のコース設定の為のデータ収集の場。小学校からは更に生まれ月や体格が起点。

次第に内面的な成長過程、自発性や本人の性向、資質、適性や可能性を考慮して本人とイコの要望を教師が何度も木目細かい観察に基づいて配慮。学科毎にコースをオーダー設定。

当然試験の総合点数など最早無意味な数字で全く外にも出ない。只々本人の好奇心と集中と傾注具合で学習は果てしなく続き進化する。其れで誰しも要らぬ劣等感を持つ事もない。

学校は只管自分の価値観を追求して行く理想的な場として機能して居る。勿論途中の調整も肝心。是も十分に配慮されて居る。イコの役割は或いは両親以上?。


▼説明を聞いて拳児は慨嘆。「何の劣等感もプレッシャーもストレスもない社会だね。是ではひ弱な人間しか育たないよ」彼は長年教師としてまたクラブ顧問として数多の学生と

親身に向き合って来た。其れで何の悩みもなくあっても殆どは社会体制とイコが解決の此の世界が理解出来ないらしい。しかし決してひ弱ではないと宗樹は思った。只自分の好奇心と

意思と価値観だけで生きて行くには確固とした自我が必要。本当に弱い人間には無理な事。宗樹は自分の少年時代を回想。日本人は特に標準から逸脱した人間には厳しい。

特定の部分は突出。多くの部分は未発達。其れで随分奇異の目で見られ果てしなく傷付いた。「自分はむしろ計り知れないメリットを実感する」宗樹は其の様に発言。 【第一部完結】


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