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【⑦昭和昔話(下)】 今日はお家で雑談会、なんでも喋る宗樹くん、
ミミと千秋の誘導で、プライバシーが丸裸。
▼「父の就職が決まって会社の近くの親戚に間借りした。でも小学校の入学テストを受けたあとで急に次の間借り先が決まって別の小学校に入学した。其れから今度は秋口に
市営住宅に当選して二学期が終わると三回目の引っ越し。こ~してさっきの市営住宅時代にハナシは連結とこ~言う経緯だよ」「其れでは友達を作る時間もないわねえ」
「そ~なんだよ。元々人間界に馴染めなかったのに此の引っ越し三連弾で愈々浮世離れが酷く為って学校社会にもキョ~ミが持てない。縁側で庭の生き物たちと遊んで居たよ」
「遊んで居たの?」「縁側に座って居ると寄って来てカラダの上で遊んで居た」「どんな生き物?」「カエルにトカゲにバッタにトンボに蝶々。ゲジゲジにハチにアブかな?」
▼「其れって随分デンジャラスだわ」「ま~蚊にだけは刺されると困るので早々に退いて貰った」「殺さなかったの?」「他の生き物と差別したくなかったのでね。其れに皆可愛い
大切な友達だよ」「ハチやアブにも刺されなかったの?」「一度もないよ。彼らは此方が悪意や恐怖オーラを出さない限りはキケンを感じないらしい。暫らくすると自然に去って行く。
でも今から考えると幸運もあったかな?」「其れは本当に幸運よ」「其の内に歌とマンガの魅力にすっかり嵌り、”よお~し、日本中の歌とマンガを制覇するぞお~”と、こ~為って、
学校の成績もど~でも良くなった。其れで生活は意外と楽しかったけど学校はまるで理不尽な牢獄。なんで義務教育なんかがあるのかな?」(ハイ、罰当たり)。
▼「ま~そんな感じで只釈放(卒業)の時を待って居た」「友人は出来なかったの?」「居たけど人に頼れない性分でね。そりゃあ今振り返れば楽しい事も沢山あったけど
当時は只気兼ねや気遣いばっかし。其の内に中学卒業で殆どが就職して仕舞って疎遠に為った。更に高校三年の時の引っ越しで悉く連絡も途絶えた」「人間関係に消極的だわ」
「そ~だね。元々一人っ子で何でもカンペキに自己完結タイプで今から考えると自分の価値観に縛られて我満過ぎた様な気がするよ。そして5年生で目を遣られた」「ケンカで?」
「いや事故だよ。遊園地の真ん中辺りで誰かが呼ぶので振り向いたら目ん玉のど真ん中に玩具の飛行機が衝突した。正に奇跡的で悪魔的なウルトラCイベントだよ」
▼「医者へは行ったの?」「いや傷も出血もないので放って於いたんだが、偶然にあくる日が目の検診日でスグ治療しないと失明だと言われた。其れで母とバスで医者に行った。
其れで何とか助かったけど急に近視が出て来た」「どれくらい?」「高校までに眼鏡を7回くらい取り換えてゼロコンマのコンマの2まで落ちたよ。其の頃の眼鏡は結構高価でね。
今なら精々7千円で作れるけど其の当時のお金で3万円以上。親には随分迷惑をかけて仕舞った」「失明しなくて本当に良かったわね」「確かに悪運は強いね」
「中学はど~だったの?」「此の時代の中学校は体罰がお約束でね。班の連帯責任でも殴られた。とうとう牢獄に拷問追加だよ」「行くのはイヤだった?」「其れは平気だったよ」
▼「体罰はなにも自分だけではないしも~幼くはないので煩いけど別に恐くも辛くもなかったよ」「先生には失望した?」「イヤ、先生には先生の立場があるから多少の事なら
顔を立てて挙げよう」「ど~せ卒業までのガマンだ。と言う感じね」「そ~だよ。此方の感情をブツけて見ても先生が困るだけだよ」「恐ろしい中学生だわ」「でも中三でバカな
間違いをした。乱闘騒ぎで良く聞こえて居た右耳の鼓膜が破裂した」「治ったの?」「一旦は治ったけど今はボロボロ」「其れで後悔したのね?」「殆ど自業自得だからね。
反省はしたけど後悔はなかった。只親に貰ったカラダを傷つけて仕舞って申し訳ないと思って当分は随分落ち込んだよ」「反省まで独特なのね」
▼「高校は?」「父の希望で止む無く受験したよ。律義に少し受験勉強をしたら風邪を曳いた。でも父が持たせてくれた腕時計のお蔭で奇跡的に合格した」「お守りに為ったのね。
高校はど~だったの?」「体罰もないし生徒の意見も尊重してくれるので中学地獄で高校極楽と言うのが実感」「良かったわね」「其れにマンガ依りも面白いネタが二つ出来た」
「クラブ活動?」「あ~其れも二つ遣ったよ。一つは先生に頼まれて新聞部を手伝った。もう一つは発音を治す為に音楽部のコーラス班に入った」「大分社会性が出来て来たわね。
でも二つのネタってのはなに?」「宇宙誕生と生命誕生。先生に分からない箇所を聞きに何度も職員室に押し掛けた」「先生は困ったでしょう?」「でも親切に教えてくれたよ」
▼「物理の先生が”チョッとはベンキョ~して良い大学へ入れ。今依りもっと面白いぞ”と言ってくれたよ」「高校へ行って良かったね」「ウン、でも自分は早く就職して親孝行が
したかった。しかしまた父がど~しても大学へ行ってくれと無理難題」「親の気持ちとしては当然よ。ど~して無理難題なの?」「此処でオンボロの耳が大活躍。先生の英語が
全く聞き取れない。アタマに入らず遣る気が出ない。更に国立には足切りがあった」「足切りってなに?」「全科目の総合点では合格圏でも基準点以下が一科目でもあれば不合格。
ハイ其れまでよ」「頑張れば何とか為るでしょう?」「英数国は短期間ではダメだと言われたし元々自分はベンキョ~大嫌い。趣味は大好き」「完全な劣等生タイプねえ」
▼「すると担任が高校三年の夏を過ぎてから”オイ、足切りのない国立があるぞ”でも今頃聞いてもも~遅い。足切りのハナシを聞く前には総合点では行ける国立も結構あったけど
此の時期にはもうベンキョ~放置見ん、マンガ大復活で成績もガタガタ。そして秋には引っ越しが迫って居た」「では其れから頑張ったの?」「いや全然。只是が
自分の運命だと思った。其れでも国立受検には拘った。うちには私立へ行く余裕は全くないので其れを受験の条件にしたんだよ。首尾よく滑ったら就職出来ると言う感覚だった」
「親不孝ねえ」「でも父は仮令浪人しても良いから頑張れと言うんだよ。其れで仕方無く一期の岡山大学の他にも二期の島根大学を受験したんだ」
▼「一期はダメだったのね」「勉強不足で通るハズがないけどね。6人で行って全員落ちた。先生は嘆いて居たよ」「其れで二期を受けたのね」「来年の下見の心算で行ったけど
何故か合格して仕舞った」「良かったね」「試験官が点数を間違えたかな?。と思ったけどね。入学してから今年の英語は極端に難しかったと言うハナシを聞いた。其れが奇跡が
起こった原因らしい」「チョっと待って。何故難しいと奇跡が起こるの?」「英語の平均点が下がる。其れを30点とすると、自分は最低レベルなので精々10点程度しか下がらない。
是で20点はハンディが消える」「あ~ナルホドねえ」是は余りにも極端な出題をすると大多数が迷惑して特殊な者だけが得をすると言う実例です。またまた悪運だね。
▼「大学へ入って良かったのは初めて親元を離れて学生寮に入った経験だね。なんの拘りもなく初めて自分の素を曝け出せた。其の上で仲の良い友人も出来た。自分が精神的に
想像以上に幼稚な事も思い知った」「ホントに良かったね」「其れから三回生の半年間だけ同級生とルームシェアで下宿生活を経験した事かな。其れも貴重な経験に為ったと思う」
「ドンドン真面に為って来たね」「ま~小学生の時よりはね」「専攻は集団遺伝学よね?」「実はアテにして居た原子物理学の助教授が入学と同時に京大へ帰って仕舞ったんだ。
其れで積極的に入る教室がなくなった。其の時メモに”目指す宝島は幻と消えた。島無え大学~なんちって”と書いたよ。ウワサでは派閥争いで負けたらしい。アホらしく為ったよ」
▼「大学のエピソードは一杯ありそうね」「あるけど其れはまたの機会にしてよ。も~生い立ちも人格形成のプロセスも話したからイイでしょう?」「急に敬語に為る人は、
ヤバいヒミツを隠してる」「止めてよ‼。其れは”爪をピンクに染めるコは”のパクリだろ?」「流石に良く知って居るわね」「其の時代の人間なんだよ」ヒジョ~に疲れたので此の際昼飯。
其のあとで千秋が持って来たビデオを三人で見た。「隣が千春と千夏よ」千秋が日本舞踊を踊り二人は和楽器を演奏。次は母千代の能舞台。全員が上手でビックリ。
次に千秋は自分と千代が夫々踊って居る日本舞踊の同じ曲のビデオを左右二画面合成。するとまるで一緒に踊って居る様に見えて中々面白かった。
▼そろそろ尋問は懲り懲り。テキト~なエピソードで直接攻撃を避けようと目論んで『節月花(日記帳)』の目次を見て為るべく明るいネタを探した。先ずは必ず皆が笑ってくれる自虐ネタ。
「自分は小柄な母親似で随分小さかった。6年生の通信簿を見ると身長は132センチ弱で平均依り3センチ低くて体重は28キロで平均依り2キロ軽かった。其れが高校生に為ると
身長が164センチで平均を2センチ追い越してまるで別人みたいに為った。体重は48キロで20キロも増えたけどまだ是でも平均以下。最終的に大学で170センチと54キロ。
自分と同レベルの身長に為ったので父は喜んだ。”急にどんどん自分に似て来たな”と言ってくれたよ」「良かったわね」。
▼「昔はお前は全然自分に似て居ないとか伯父さん(母の兄)にソックリとか言われて悲しかった。なので此の言葉は殊更に嬉しかった。処が此処で同時に悲劇が勃発したんだ」
「なにかあったの?」「身長が同じに為ったので足も同じかなと思って腰骨の位置を探った。すると、あ~何と言う事でしょう‼。大正生まれの父の方が10センチ以上は高い。
詰り足が長い。自分の方が極端な短足胴長と言うことが分かった。落胆した様子を見て父は慰める様に、”ま~お母さんが小さいから仕方がないよ”」「其れで慰めに為ったの?」
「更に追い打ちだよ。でも是は単に悲劇の前兆。数日後に学校でとうとう”哀しい四冠王事件”が起こって仕舞った」「四冠王なのに悲しいの?」
▼「雑談の時にお前の額は大きいなあと言われて数人で実測したらダントツに大きかった。其れで勝手にクラスナンバーワンにされた」「あ~ナルホド確かに大きいね」
「其のあとで其の割りに顔はメチャ小さいなと言われてまたまた比較計測。そして是もダントツの一位」「そ~だね。ワタシと殆ど同じ大きさだものね」「其れで俄然注目されて
とうとう短足もバレた。自分依り10センチは低い級友の方が腰骨の位置が僅かに高かった」「数日前の悲劇の再来ね」「其の次は身長180センチ以上の級友と並んで座らされた。
すると座高は殆ど同じで一安心。其れなのにこじ付けの上手いやつに”胴長率で勝利”とか言われてとうとう四冠王にされて仕舞った」
▼「其れってイジメなの?」「いや只のおふざけだよ。でも情けなかった。級友たちは数日前の自分のショックを知らないから上機嫌で大笑い」「ナルホド二重のショックよね」
処が此処で千秋は無意識の追い打ち。「其れで何となく目立つのかな?」其の一言で更に宗樹は悲しい事件を思い出した。「実は60歳を過ぎてから奥様に言われた一言がある。
是で完全に止めを刺された」「何て言われたの?」「お父さんの顔は何故おかしいのかがやっと分かった。目や口の部品は大きいのに顔のサイズが極端に小さい」
「あ~ナルホド其れで目立つのね。完全に納得した」「ブルータスお前もか。てな感じで高校の時の悪夢が蘇ったよ」矢張りこ~言う自虐ネタはウケるみたいだね。
▼お次は『造物主の事件』と言うネタを披露。「自分の大学時代は科学思想と唯物史観はお仲間で観念論者と宗教思想もまたお仲間。要するに大雑把なごちゃ混ぜの時代。
でも無教養なので個々の違いは良く分からない」寮の食堂で教師と牧師がナニやら論争を始めた。要するにマルクス贔屓の先輩とキリスト贔屓の上級生。ケンカ別れの其のあとで
牧師様は突然宗樹にロックオン。ナニやらのイントロのあとで、「宇宙はど~して、誰が創ったのか理学部の君なら分かるかね?、明智く~ん」てな問いかけ。其れで宗樹は素直に
「あ~そ~言う発想をした事はなかったです。こりゃあ目からウロコの有り難いお話し~」実は宗樹は生来の太鼓持ちタイプ?。其れでスグにリップサービスをして仕舞う。
▼劃して彼は満足して退場。処が当然先輩はおかんむり。是は少々のフォローをせねば。そ~言う事で、「人の考えには凄まじい違いがありますなあ。話が最初からズレて居る」
すると先輩は、「そ~かそうか、ヤッパリお前は愛い奴よのう」てな反応。「しめしめ、是でフォローは成功」暫くあとで、「今日は先輩方お二人を喜ばせて仕舞ったなあ。
良い功徳をしたのう、ナマンダ~ブ(お前はヤッパし浄土真宗か‼)」「面白い‼。意外に機転が利くじゃない」是でど~やら追及の手は収まったかな?。よく頑張りました宗樹くん。
もう十分に疲れたので此の辺でお開きにして貰った。攻撃は終始一貫千秋でミミは聞き役専門。しかし実は影で作戦指示か?。一樹の弁護は一切なかった。 【11月8日】




