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高城さんの再臨と、歪んだ独占欲

倉庫の暗がりに響いたのは、聞き覚えのある、けれど以前よりもずっと鋭く冷たい笑い声だった。


「……こんなところで何をしているのかしら、二人で。……随分と楽しそうね」


コンテナの影からゆっくりと姿を現したのは、クラスメイトの高城さんだった。

だが、彼女が纏う空気は学校で見せるものとは一変し、肌を刺すような刺々しいプレッシャーを放っていた。


「高城さん……? どうして、あなたがここに……」


私が問いかけると、彼女の瞳が月光を反射して、怪しく、不自然なほどに輝いた。

彼女は私の美しさが「全肯定」をもたらすのとは対照的に、周囲を「猜疑心と憎悪」で支配する、もう一つの特異な力に覚醒していた。


「貴女がその無自覚な美貌で男たちを腑抜けにしている間、私はずっと、貴女を『排除』する方法を考えていたのよ」


彼女が指先をこちらに向けると、背後にいた佐藤くんが突如、苦しげに頭を抱えて蹲った。


「……一ノ瀬……、違う……、……お前が……信じられない……」


彼の口から漏れたのは、信頼とは真逆の、澱んだ不信の言葉だった。

高城さんの力は、私のオーラを逆手に取り、受け手の感情を「独占欲」や「嫉妬」へと強制的に変換させる、精神の毒だった。


「佐藤くんを放して! ……彼に何を、何を見せているの!」


私は彼を守るために、自分の光をより強く、より純粋に解放した。

私の放つ「究極の慈愛」と、彼女の放つ「絶対の孤独」が、冷たい倉庫の空気の中で激しく激突する。

二つの相反する力がぶつかり合うたび、火花のような発光現象が起き、鉄の壁が共鳴して悲鳴を上げた。


「……ふふ、もっとよ、一ノ瀬。……貴女が輝けば輝くほど、私の『闇』は深くなる」


高城さんは恍惚とした表情で、私の光を吸い込むように腕を広げた。

国家がこの対立に気づかないはずがなく、彼女の背後には、あの黒塗りの車たちが既に音もなく迫っていた。

彼女は国家と繋がり、私の力を「中和」し、管理するためのくさびとして差し向けられていたのだ。


私は、苦しむ佐藤くんの手を握り締め、高城さんの瞳の奥にある深い渇望を真っ向から見据えた。


「……高城さん、貴女も利用されているだけよ。……誰かを憎むための力を、自由なんて呼ばない!」


私の叫びと共に、倉庫の中をこれまでにない巨大な光の渦が飲み込んでいった。

日常の延長線上にいたライバルが、今や世界の命運を握る「対極の存在」として、私の前に立ちはだかっていた。

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