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これがSランクパーティー『明けの明星』か。この世界の最高峰である4人が並んで座っているのを見ながら、感激と畏怖が入り混じった感情を抱く。
リザ・メナ以外の3人のステータスはこうだった。
シャルロット・ペンドラゴン【水属性】 レベル:65
攻撃:184 (ドロップ・メノス +83 水属性)
防御:205 (白水女王のローブ +65 水属性ダメージ半減)
速度:81 (韋駄天靴 +25)
精度:91
抵抗:84
運:43
【スキル1】アクアアトミック
敵全体に攻撃を行い、しばらくの間対象の精度を下げる。
【スキル2】溺れる者に掴ませない藁
敵全体に攻撃を行い、25%の確率で対象の攻撃を下げる。また、クリティカル発生時、対象の次の行動を阻害する。
【スキル3】超海嘯
敵全体に攻撃を行い、50%の確率で対象の防御を下げる。また、クリティカル発生時、対象の次の行動を阻害する。この攻撃で対象を戦闘不能にした場合、次回攻撃時もこのスキルを発動することができる。
ファイ・プレスト【光属性】 レベル:66
攻撃:122 (光法大師の錫杖 +40 光属性)
防御:221 (不思議に軽い重鎧 +81 光属性ダメージ半減)
速度:85 (首狩り族の首輪 +20)
精度:90
抵抗:89
運:50
【スキル1】神よ、お導きを
敵1体に攻撃を行い、75%の確率でしばらくの間対象の精度を下げる。
【スキル2】神様カルテ
味方全体の体力を40%回復する。
【スキル3】神様パズル
戦闘不能の味方一人を回復させる。回復のパターンは、体力30%での復活か、もしくは、体力を100%で復活するがしばらくの間攻撃力と防御力が下がる、のうち、どちらかがランダムに選ばれる。
ドロシー・ディードリッヒ【闇属性】 レベル:68
攻撃:265 (砕け隕石 +100)
防御:221 (マスタークンフー +76)
速度:96 (チーターシューズ +20)
精度:90
抵抗:89
運:50
【スキル1】超ド級チョーパン
近接時のみ発動可能。敵一体に頭突きによる攻撃を行い、少しの間行動不能にする。
【スキル2】むざんのほう
近接時のみ発動可能。敵一体に攻撃を行う。この攻撃は属性を無視し、必ずクリティカルとなり、さらに対象の防御力を無視する。この攻撃で対象が戦闘不能になった場合、復活ができない。
【スキル3】番の風格(パッシブ)
攻撃を避けることができない代わり、全ての攻撃が必中となる。
攻撃型の3人は、それぞれ特色が出ている。バランス型のリザ・メナ、単体に特化し、威力重視のドロシー・ディードリッヒ、そして全てのスキルが全体攻撃スキルという、まさに神が与えた才能の持ち主、シャルロット・ペンドラゴン。
今まで、俺が知っている中では、全体攻撃スキルはダニが持つ2つが最高だった。さすがS級。意味が分からない。
ドロシーのスキルも、単体専門だが、おそらく古代龍とも渡り合えるはずだ。特にスキル2の『むざんのほう』。属性無視、必ずクリティカル、対象の防御力無視のうえ、戦闘不能になった場合は復活することも許されないのだ。無茶苦茶である。この人と接近戦をしてはいけない。
回復担当のファイ・プレストも、規格外のスキルだった。高い回復能力のほか、戦闘不能からの復活など、聞いたことがない。前衛3人がどれだけ傷ついても、彼女一人でリカバリーするのだろう。
「そういえば、クリス君と……アリアンちゃんは、ずっと二人でやっていくの?」
「はは……まあ、いい人がいれば、ですかね。今のところは考えてないです」
シャルロット・ペンドラゴンの柔らかい声に、苦笑で返す。隣で、アリアン嬢が大きく頷いていた。いや、いい人がいれば是非入ってほしいのだが、その出会いがないのだ。アリアン嬢の時みたいな、「運命の出会い」は今後あるのだろうか。
「いい仲間と出会えるといいね」
「仲間、大事だからね」
ドロシー・ディードリッヒとファイ・プレストがそう言う。確かに、仲間は大事だ。ランクの上下だけではない。生き死にまで決めてしまう。誰よりも修羅場をくぐった者から発せられるからこそ、その言葉は重かった。
「ありがとうございます」俺は二人に向けて頭を下げると、リザ・メナに向き直った。「それで、リザさん……僕らを呼んだのは、一体……?」
「あ、リザでいいよ。気さくに呼んでくれたら嬉しい。そうだね。君たち『黒いメンフクロウ』に声をかけたのは、武器職人の件と、一つお願いをするためかな」
リザさんが、そういって笑った。キラキラとした赤い瞳が、まるで紅翡翠のようだと、なんとなく思う。
「さっきの受付でのやり取りを聞いていてね。もし君たちさえ良ければだけど、今回の大邪蛇の加工については、私たちが専属契約している職人にお願いしてみないか?」
「い……いいんですか⁉」
「もちろん。そうでなければ声なんてかけない。それに」器用に片目を閉じてウィンクをする。実に様になっていた。「職人探しに、優秀なパーティーが国外に流出する方が損失だ。そうは思わないかい?」
「あ……ありがとう、ございます」
俺たちにはまったく損のない話だ。今のところは。
「で、僕たちは何をすればいいですか。人を殺してくれ、なんてのは無理ですよ」
そう聞くと、リザさんは目を丸くした後、大きく笑った。他のメンバーも、つられて笑いだす。
状況が把握できていないのは、アリアン嬢だけのようだ。こちらはリザさんとは違う意味で目を丸くしている。
「あっはっは。さすが元『夜の牙』。うまい話には裏がある、と思ってるのかい?」
「さすがに、専属の職人を紹介してくださるなんて、大盤振舞がすぎますからね。とはいえ、お誘い自体は本当にうれしかったので、僕たちで力になれることがあれば是非、とは思っています」
Sランクの専属になっているような職人が、あの毒袋を加工してアリアン嬢の武器を作ってくれる……。想像しただけでもワクワクが止まらない。
シャルロッテさんが、後を続ける。
「お願いというのはですね、あなたたちみたいな優秀なパーティーに、今度私たちが挑む依頼のサポートに参加してほしいということです」
「サポートですか。僕たちはまだEランクですが」
「でも、Bランクの魔物を倒せるんだろ?」
わはは、と、豪快にドロシーさんが笑う。
「メインの標的はあたしたちが対応するんだけど、周りにめちゃくちゃ取り巻きがいて、それがうざったいんだよね。だから、そいつらの相手をしてほしいんだ」
「あ、もちろん、声をかけてるのは君たちだけじゃないよ。取り巻き全員を相手にしろなんて言わないから安心してほしい。相手にするのは、おそらくCランク程度の魔物だろう。他のパーティーと協力してそいつらにあたってほしい」
ドロシーさんに続いて、リザさんがフォローしてくれる。ジョッキを空けながら、依頼中に獲得した素材は基本的に自由にしてもらって構わないとも語ってくれた。
アリアン嬢を見ると、にっこりと笑って頷いてくれた。Cランクの敵なら願ってもない。今の俺たちでは手に入らない、貴重な素材を得ることができる。
「わかりました。是非よろしくお願いします」
「そうこなくっちゃ。それじゃ、早速職人を紹介するよ。私たちの依頼は大体一か月後だ。それだけあれば、新しい武器も出来上がってるだろうさ」
俺たちの分も含め、新しいジョッキが運ばれてくる。
高々と掲げ、力強くぶつけ合った。




