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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
7章 VS剛強無双の大男 平将門
56/80

第56話

そのハンドガンはわたしがオオカミさんと戦った時に貸してもらった鮮やかなピンク色のもので、中には普通の対悪魔用の弾が入っているはずだった。

将門には効かないとわかってて用意するということは、その中身が違うことはさすがのわたしでも予想はついたけど、それがどんな弾なのかはオオカミさんがすぐに説明してくれた。


「このハンドガンには閃光弾を込めてあるわ。殺傷能力は全くないけど一瞬でも動きは止めれるはず。強烈な眩しさだから、目を開けていればしばらくは視界を奪われるぐらいの威力よ。これをあなたが将門に攻撃する直前で撃つ。合図は今よ!って言うからその時に目を閉じてね。光るのは一瞬だから、すぐに目を開けてね」と性能の高さを喜々として語りつつもどこか不安気なのは、この閃光弾は最近試作で作っただけで使ったことはないとのことだった。どうして試したことがないのかと聞いてみると、試す相手がいなかったという理由だけらしい。自分で試すことも可能だけど怖いから嫌と言われた。可愛い。

まぁとにかくこれぐらいしか今は出来ないと言われたが、わたしにとっては大きな手助けだ。

試作で作ったからどうなるかわからないなんて、それはこっちも同じだ。

青白く光を放っているだけで全く威力がない見た目が綺麗なだけの鑑賞用かもしれない。

そうだった場合困るのは他の誰でもなくこのわたしだけどね!

ここまで不安なのは、光っている腕に何も感じていないからなんだよねぇ・・・普通は「うぉぉ力が漲ってきたぞー!!!」ぐらい感じるはずなんだけど、ほんとになーんにも感じないんだよ。

正直わたしが一番ビビってるのはわかりきっていることだ。

しかし!ぶっつけ本番には強いことで定評のあるこのわたしなら大丈夫(学校のテストも勉強はしていなかったが普段の授業をちゃんと聞いていて全科目八十点は超えてたのである)。


「やるぞやるぞー!それじゃオオカミさん、合図は理解したのでベストなタイミングでぶっ放してやってください!」


「わかったわ。メサイアもぶちかましてきな!!」


『そうだそうだ!やってやりましょう篝様!』


迷いがなくなった今!ここで躊躇していられるかぁっ!!

わたしは将門の心臓に狙いを定めて飛翔し、勢いそのままに歩いてくる将門に一直線に向かっていった。この状況でも動じない将門は恐らくわたしのことを何も脅威には感じていないのだろう。

その油断が命取りってことを教えてやるよぉ!!!

将門まで残り五メートル。


「今よ!」


来た!合図だ!目を閉じるっ。

真っ暗な視界の裏でどんな光景が広がっているかはわからない。もしかしたら全く効果がなくて、わたしを殺そうとしている将門がいるかもしれない。

心臓が急激に高鳴る。

バッと目を開ける。

そこには悶えている将門の姿。


「成功した!」


あとはこの右腕叩きこむだけ。


「『くらいなぁ!!!!!』」


わたしとガーディアンは気づいたら同じ言葉を叫んで心が震えた。

将門の左胸に直撃した右腕はさらに光り輝き、わたしも眩しくてつい目を閉じてしまったがその体を貫いたのは感覚でわかる。目を開けると予想通り。

心臓を貫かれてもなお立っているのには驚いたがかなりの手応えを感じている。

というか手応えしか感じていない。

勝ったでしょこれ。

オオカミさんの元へととびっきりの笑顔を見せながら戻る。テストでいい点を取れてお母さんにウキウキしながら報告する小学生のようになっていたに違いない。お礼を言いつつお互いを褒めあいまくる。べた褒めもべた褒め。浮かれまくる。


「メサイアすごいじゃない!あんな力が出せるなんて知らなかったわ」


「いえいえ、わたし自身驚きを隠せてないです。それにオオカミさんも!あれだけ不安そうにしていたのに凄い効果じゃないですか。!いやーサタンの出番を奪っちゃって申し訳ないけど、まぁ勝ったからいいよね。ガーディアンもお疲れさま」


そもそもこの力が出せるのもガーディアンのおかげだ。

だからわたしが誇っていいものじゃない。

労いの言葉だけじゃ足りない、お願いがあるなら聞いてあげよう。


「ねぇガーディアン。お礼っていっちゃなんだけど、わたしが叶えられる範囲のお願いなら聞くよ。今回の功労者だしね」


そう問いかけるもいつものような軽い返事はない。

ん?どうした。


「ガーディアン?」


『か、篝様・・・・・・・・・』


「もうどうしたの。疲れたんなら休んどく?お願いは後で考えておいてよ」


『もう俺たちは、あいつに勝てないかもしれないです・・・』


こんな時に冗談なんて、ガーディアンも悪い子だなぁ。

だってさっきこの腕でっ・・・

冗談だよね。


「オオカミさん?」


さっきの喜びの表情はなく、体は小刻みに震えていた。

見たくない。後ろを見たくない。

見たらわたしはまた絶望を味わうのは明白だから。

そう思っていたのに、自然と視線は将門に向き直る。


「再生・・・してる・・・・・・」


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