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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
紙飛行機は空高く
30/53

藍色の

夏……投稿のスピードを上げます。頑張ります!



カランッとナイフを放り投げる。

恨めしそうに男は睨みを効かせるが、心では敵わないと分かっているだろう。


「武器が無かろうと……私自身で戦えば良いだけだ。」


「おいおい、もうやめたほうがーー」


「おやめなさい。」



誰だーー!?


「私がやめなさいと言っています。」


俺の声を遮った透き通る声。

発信源は頭上、本と共にふわふわと浮いている1人の女性だ。柔らかい金髪セミロング、サイズの合ってない黒縁メガネ。メガネが大きいのか?いや、彼女が小柄なのだ。


「この方は私と同じ神格者です。敵対する必要ありません。」


「し、神格者様だと!?」


驚いた様に男はたじろぎ1歩引く。


「まったく……警戒心が強いのが長所であり短所ですよ?付け足すならばバリトン、彼が本気を出していたなら貴方の身が危険でしたよ?」


「だから話を聞いてくれって何回も言っただろ?ちなみにスキルの秘匿も一時的に解いてある、アンタがスコープ覗けば1発なんだが……まぁ過ぎた事は良い。俺はディアナの神格者、セドナ・フルムーンだ。この街の神格者、つまりミネルヴァの加護を纏った君に話がある。」


「はい、この街に入った時から知っています。少し落ち着かせてからお話を伺いますね。バリトン、本棚の移動と御二方に謝罪を。」


「……はい、ハイネ様。」


目の前の男、バリトンは本棚を元の場所へ移動させる。ゴゴゴと動き出し、本来はこんなにも広かったのだなと感心する程スペースが生まれる。

完全に場が戻ると、彼は俺達2人に深々と頭を下げた。


「この度は申し訳ない。神格者様とそのお連れ様。呪いの重要文庫を手に取られたので早とちりしてしまいました。私も仲介者として古株、今までその本を最初に手に取った者は魔格者関係の輩でしたので。」


彼はもう1度頭を下げる。


「……まぁ良いさ。」


呪いを受けた身からすれば、物騒な本を手に取った奴は罰する。分からなくも無いからな。


「ねぇセドナ、なんで神格者のお付きの人が他の神格者を知らないの?」


ごもっとも。ノアの質問に俺は答える。


「神格者は自分の国の防衛で忙しい。他の神格者の事なんて構ってられないんだよ。勿論関係者もだ。俺だって、俺の師匠だって……んーと、【ハイネ】だっけか?彼女がミネルヴァの神格者だと知らないしな。」


「成る程成る程、つまりセドナは国を放り出してサボってるのね。」


「ちょ!?違う違う!!師匠に任せてあるだけで!俺は呪いが解呪されたらすぐ戻るって!!」


神格者ともなれば旅など以ての外、なんだかんだ呪いのお陰で他国を見て周れる。そんな風には言いたく無いが……。


「ふふっ。それでもセドナ様は有名な方です。史上最年少で神格者になった天才、迅雷の剣、メリナの右腕、雷猫などなど、特に有名な文庫を出版されているのが大きいですね。」


有名な文庫?そんなの執筆した覚えは無い。

俺が頭の上にハテナマークを浮かべていると、ミネルヴァの神格者は口の動きでそれを伝えてくる。


『しゃしんしゅう』


読心術は使えない。しかし、彼女の口がそう動いたのを俺は見逃さなかった。


「ねぇセドナ?有名な文庫ってーー」


「む、昔俺が出した剣術の本だよ!ノアには必要無い!俺がいつも隣にいるだろ?」


写真集……カノンはこの図書館で借りたと言っていた。図書館の主である彼女が目を通していても可笑しくない、ってかノアには絶対知られたく無い!!


「私の……セドナがいつも隣に!?…………えへへ。」


どうやら心配する必要は無さそうだ……。


「ふふっ、面白い方ですね。安心して下さい、その文庫は現在ここにはありませんよ。」


当たり前だ……カノンから俺が回収したからな!

ハイネは微笑み段々と下降してくる。スタンッと地面に足を着け、そのまま近くにあった椅子へ腰掛けた。


「さて、雑談はここまでとして、貴方が何故私を訪ねて来たか聞きましょうか。」


※ ※ ※


「って事なんだ。今は良いがいつ変化するか全くわからない。」


「……なるほどそれは厄介ですね。」


バリトンは先程の一戦とは打って変わり、落ち着き払った態度で目を閉じる。


「ハッキリ申し上げると解呪方法、それに準ずるものを私はセドナ様に提示出来ません。この図書館にあるモノは全て熟読して知恵として保存していますが。」


「そんなっ!!貴方は知恵の加護を受けた神格者じゃないの!そんな人が分からなかったらきっと誰もがこの呪いを…………」


ノアは「解けない」と言いかけて俺を見る。そして口を閉じる。


「申し訳ありません……。貴方は呪いを解くために旅を続けている、しかしこれ以上は無駄かも知れません。」


場が静まり図書館とは本来、静寂に溢れた場だと再度思い知らされる。


「なぁハイネ。俺はどちらかの手の中に指輪を入れている。どっちだと思う?」


俺はにこやかに彼女に話しかける。


「セドナ何をー?」


「なぁノアにも聞くよ。どっちだ?」


俺は両腕を前に突き出し急かす様に選ばせる。右か左、左か右だ。


「……私は左です、セドナ様。」


「なら私は右よセドナ、こんな事なんの意味があるのよ!」



「…………ははっ。」


……あぁそうか。なんだか笑いが込み上げて来た。


「ははははっ。」


「何が可笑しいのです?セドナ様。」


「ハイネ様、呪いが解けないと分かり精神が不安定かも知れませぬ。」


「いやいや……ははっ。違うぜ、おっさん、いやバリトンとハイネ。俺はまだ可能性があると分かって嬉しいのさ。」


「どういう事?」


「ん。」


ノアの問いかけに俺は舌を出して見せる。


「……口の中に指輪!?」


「そう、2人共ハズレ。

それで確信したよ。この世界最高峰の頭脳の持ち主、知恵の加護を受けた彼女すら間違える事はある。知らない事もある。」


バリトンは驚き、ハイネは目を見開き、ノアは聞き耳を立てる。


「この呪いを解く方法が、文書に無いことだってあるだろ?」


「……つまり旅を続けて解呪の方法を探し続けると、そういう事ですね?」


「ああ。そうなるな、俺はこの世界来てから負けず嫌いになったみたいなんだ。こんなんじゃ止まらねぇ。」


「なるほど、貴方という人物が何故ディアナの神格者なのか良く分かりました。

そして本当に素敵な方だと言う事も。」


ハイネはまたも微笑み、メガネをクイっと上げる。


「ノアさんと言いましたね。少し神格者同士で話をさせて頂けませんか?バリトン貴方もです。」


「…………。」


ハイネは真面目な顔つきで2人に声を投げかける。普段なら自分も残り話に加わると言い張るであろうノアも、流石に引いた様だ。バリトンはノアを案内しながら、この部屋から立ち去っていった。


クルクルと本が宙を廻り、天井から注ぐ柔らかい光は次第に弱くなっていく。

そして光は完全に消え、代わりに煌びやかな星座が浮き上がる。


「プラネタリウムか……。」


「知らない言葉……先の指輪と言い知恵の加護を受けた神格者のクセに知識が不足していると嫌味を言っているのですか?」


ハイネは無邪気に微笑み目を閉じる。

ミネルヴァ、メリクリウス、セレス、ウゥルカヌス 、アポロ 、ネプトゥヌス、ディアナ、ウェヌス 、バッカス 、マルス 、ユノ、ユピテル。

定かでは無いが……きっとこの星座は12神だ。

俺達神格者に力を与えた神々、民が崇めるべき存在。


「私はそこ、貴方はそちらです。」


彼女は話を続ける。


「ご覧になってどうですか?貴方は12神格の1人だと、もう1度胸に刻めたでしょうか?」


「何が言いたい?」


「貴方は神格者としての自覚が足りません。

身体が弱体化してしまう。その事をまさか他人に伝えてないでしょうね?

今貴方は国を元神格者に委ねているのでしょう?それで安心ですか。普段ディアナの神格者が2人居る状況よりも、遥かに攻めやすいのに気付いていますか?

貴方がディアナの神格者だと名乗る度に魔格者がその背を追っているかもしれません。」


ハイネは微笑む事無く淡々と告げる。


「近々魔格者は動くでしょう。

それを止めるのは悪を許さない全ての人、12神格軍、そして我々神格者です。神に選ばれ各々の国を護る者。その自覚をもっとお持ちなさい。」


「今の俺じゃむしろ師匠の迷惑と考えての行動だ。それに彼女を信頼しているし、国の神格軍も優秀だ。」


「……。」


「それにな、猫ってのは自由気ままに生きるもんだ。俺が神格者だからって、それに縛られる道理は無いだろ?あぁ、勿論やる事はやる。」


「到底……貴方は愚かだ。

自分の解呪を優先し、国を任せるなど……」


「そーかよ、どうとでも言ってくれ。それよりな、ハイネも俺と同じ神格者として、一刻も早く帰れるよう手伝ってくれよ。」


「……手伝ってはいます。

変化を促す引き金を、何度も引いたではありませんか。」


ハイネは一粒の飴玉の様なモノを取り出す。

ほのかに灯った揺れる藍色の光、透明の飴玉の中に閉じ込められてるみたいだ。


「貴方が宿の女将から頂いたジュース。あの中に仕込ませておいた私の魔力の塊です。」


「!?」


「私は元々空間転移の魔法を主としています。

空間を捻じ曲げればそれぐらい赤子でも出来ます。」


そう言って彼女は右手で宙を撫でる。

モノイレロでは無いが、それと酷似している空間の穴が現れそこに腕を突っ込むと……


「なるほどな。」


俺の目の前に空間の歪みが現れ、そこからハイネの腕が伸びて来る。飴玉を手渡すと空間の歪みに飲み込まれて消えた。


「神格者の魔力とは他とは異なり聖なるもの。

それを集め凝固させた今の飴玉を、同じ神格者が飲めばある程度の呪いぐらい解呪出来ると思いました。しかし貴方のソレは強力、せいぜい姿を変えるのが限界だったようですね。」


姿を無理やり変える。その力があったのは、女将のジュースで無く、ハイネがこの飴玉を溶かしていたからだったのか。


「ハイネが話しても無いのに俺の呪いを知っていた事。俺達を監視していたならあの戦いを止める事。その他もろもろ。聞きたい事は山積みだが今は1つで良い。」


ゴクリと唾を飲み俺はハイネを強く見つめる。


「神格者の魔力を集めれば、俺の呪いは解けるのでは無いのか?」




ノア「遅いなぁ。」

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