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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
紙飛行機は空高く
29/53

小競り合いは飄々と

小さなこだわり選手権。

ドリンクバーでジュースを飲むとき、水、原液、水、原液の順に出ますが、最後に原液が注がれたタイミングでボタンを離す。そうする事で少しばかりジュースが濃くなる感じがします。

友人に教えると目を閉じて優しく微笑んでました。



突然ですが、twitter始めようと思います。

この物語にまだまだ付き合ってくれる方、宜しければフォローを!※まだアカウントは作っていません。



アルカナ図書館最上階。ギューンと伸びた廊下を遠目から見ると、厳かに構えられた扉が最奥に待つ。その外見から、否が応でもボスは此処に居ると教えてくれる。

さぞかし厳重警備なのだろう……と思いきや、警備員は愚か、扉は開けっぱなしにされていた。


「入って……良いよな?」


声に出してみるだけ。許可なんて要らないし、許可無くても入る。だってこの図書館に呪いを解くキーがあるかも知れないから。


俺とノアは最奥の部屋に足を踏み入れる。

目の前に広がるのは幾千、いやもっとか?とにかく膨大な量の本棚がズラッと並べられていた。仕舞われている本は、それはもうジャンルがバラバラ。

重要そうな文献から、子供向けの童謡まで。

そして全く読めない文字で記された本。

この世界のありとあらゆる言語は読める筈だが……。


「下階の本に比べて、後世に残しておくべき本をこの部屋に置いてるようね。ほら。」


ノア手に取った本には「絶滅危惧本第一級 特別貸出し枠」と印が押されていた。


「おお。この本……相当希少価値が高いみたいだな……………ッ!!?」


俺は自分の言葉を放ち終わる前に、思いっきり横へと転がる。

振り向くと同時に、いく層に重なった風が2秒前居た場所を切り刻む。床、本棚はズタボロ、しかし本そのものは無傷で、宙にふわふわと浮いていた。


「へぇ……流石特別保護、今の攻撃で塵になったりしないのか。」


俺は皮肉をたっぷり込め、立ち上がりながらそう呟いた。腕の中にはノア、咄嗟に抱き寄せ助けたのだ。因みに彼女は顔を赤らめて、もじもじしている。


「当然だ、最高レベルの防御用リングが使用されている。私の魔法でさえ効かない程のな。

それよりも貴様ら、何故ここに入れた?」


ビュンビュンと風を切る音は、彼の掌から聞こえる。俺の目の前に現れた大柄な男性はそう言いながら、白髪の髪を掻き上げ、顎を上げる。


「侵入も何も開いてたぜこの部屋。それで俺らを咎めようってんならオタクは相当タチが悪い。」


「開いてた……それは可笑しいモノだな、神格者様が、 許可を下ろした人物のみ開いて見えるのだが?」


「いつ得たかはしんねーけど……俺達が許可を貰ってたとは考えられないのおっさん?」


いきなり攻撃とか客人に失礼すぎ。図書館にはもっと物静かで、人を見てから論理的に行動する奴が居ると思ってたんだが……どうやら面倒な人に捕まったらしい。


「入ってきて、いきなりその本を手に取ったら……誰もが良い顔をせんだろう?」


彼が指差すは、俺とノアの頭上にふわふわと浮かんでいる本。先ほどノアが手に取った物だ。


《高貴なる闇の呪術指輪》


金の刺繍で本の表紙を飾るタイトル。

あぁ、なるほど。


「え!?違うわ!これはたまたま手に取っただけでーー」


「貴様らが何を考えていて、何者かはどうでも良い。私は用心深くてな、1度疑ってしまうともう信じられん。よって貴様らはここから立ち去れ!」


立ち去れ?冗談はよしてくれ、俺は神格者だ。そもそも見てわかんねーとは、なんて世間知らずの老人だ。


「要するに用があるなら、アンタを倒してからって事だろ?」


「物わかりの早い奴は……嫌いじゃないッ!!」


男は腰の剣を抜き、猛ダッシュで斬りかかりに来る。ノアが剣に手を伸ばそうとするのを見て俺は待った合図を出す。


「ここは俺で十分だノア。」


彼女はコクリと頷いて少し後ろに距離を置く。

セナとは違う、神格者であるセドナを信じてくれた行動だ。


「はぁぁ!!」


俺目掛けて振り下ろされた剣をクルリと避け、ステップを踏むように続く連撃もかわしていく。


「なんと、避けるのは上手いようだ。」


「アンタじゃ俺に剣も取らせられない。ほら、観念して俺らの話に耳を傾けろよ。」


右へ左へ上へ下へ。流れる剣撃を文字通り流して。俺のステータスで1番高いのは『スピード』、並みの人間に目視させない程速度を出す事も可能だ。


「……ッ!!」


俺は振り下ろされる腕にタイミングを合わせ、蹴りを入れる。カランカランッと男の手を離れ床を這う剣、痙攣する片手を抑えながら指輪をなぞる。


「《リング》『風流の斬撃!!』」


彼の指輪から魔法が起動する。空気がざわつき、殺意の込められた風が荒れ狂うが、先程と同じ様に避ければ問題無い……と思ったが。


「…………なるほど、二股の風ね。」


攻撃を喰らった横わき腹を抑え、敵を分析する。あの風は放った後、分裂する。

軽く避けるだけでは、魔法の攻撃範囲内らしい。


「まだまだいくぞ。貴様の首を貰うまでな!」


風量が上がり鋭さも増す。軽く避ける事が有効で無いのならば対処を変えれば良い。


「ほら!剣を抜け!出し惜しみして負けるなんてくだらない事してくれるなよ?」


「剣は抜かない。避けれないなんて誰が言った?もっと速く動けば良いだけだ。」


「…………なっ!?」


目で追えるか、無理だろう?

風を避けつつ四方八方に飛び、狼狽える相手の背後に回り囁く。


「諦めな。」


「……くッ!!」


「アンタじゃ俺についてこれないぜ、ここらでやめとけ。そしたら誰も傷つかず、指輪も無駄遣いせずに済むだろ?」


「…………。」



男は黙りこくってその場から動かない。しかし口元が笑っている事を俺は見逃さなかった。


「何が可笑しい。」


「…………感じないか?この部屋が狭くなっていると。」


「!!」


本棚は男の呼吸と呼応する様に、唸りを上げて動いている。まるでバリケードを作る様に。俺が動き回れない様に本棚で部屋を縮めたのか。


「そら、お前は終わりだ。足元を見ろ。風の鎖をその位置に仕込んでおいたのさ、動けまい。」


男はモノイレロから、金の指輪を取り出し指にはめる。


「いくら速かろうが動けなければ意味も無い。

《リング》『風神の吐息』」


本がバタバタと踊り、風の荒さを際立たせる。

流石金指輪、ヒリつく様な魔力だ。


「終わりだ。ハァッ!!」


「セドナ危ない!!」


まるで小さな台風。

風の塊が空気を切り裂き、容赦無く俺を襲った。


※ ※ ※


埃と塵が舞って煙の様に辺りを包む。


「…………。」


今回の敵はなかなか強者だった。私に何枚ものカードを切らせ、挙げ句の果てには金指輪まで使わせるとは。だがそれが彼の敗因だ、使わせてしまった事こそミスなのだから。


「あともう1人、逃げ出すなら今のうちだぞ。」


もくもくと立ち込める煙が晴れると、私は衝撃を受ける。

何故なら、倒したと確信した男が不敵な笑みを浮かべ立っていたからだ。


「おいおっさん、まだ俺を倒せて無いぜ。」


汚れひとつ無い無傷の彼は舌を出して挑発をする。


「ッッなにッ!!?」


確かに倒した筈だ。足は取っているし、逃げれる道も無い。私の攻撃を防ぐ方法など……!!


彼の左手には1冊の本、背表紙には「絶滅危惧本第一級 特別貸出し枠」の印。


「まさか貴様……」


「ご名答♪」


どうやらタイムリミット、足元の風の鎖は解けたらしい。彼はぴょんぴょんとジャンプし自由を確認する。


「俺達を狙った風魔法、床はズタボロ、本棚も塵に。けれどそこにあった特別保護の本は無傷。そんだけ分かればこの本を使って身を守るぐらい考えるだろ?ノアが持っていた本をずっと懐に忍ばせといたのさ。」


やられた。

ものの数分で得た知識を最大限に生かされた。

動きで撹乱し、剣では捉えられないと知らしめる。そして私を魔法主体の戦闘に切り替えさせ、まんまと大技を無効化させた。

私の行動全ては、掌の上で踊らされていたのか……。


「!!!」


右腰にぶら下げていたホルダーが見当たらない!?


「ちなみにアンタが隠し持ってたナイフはここだ、残念賞。道具の無いバッターは空振り、今日の打席は三振の模様。」





ノア『私、見てるだけで良いよね!?』

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