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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
紙飛行機は空高く
26/53

アンクルブレイク

推敲しておりません、誤字脱字がある可能性がございます。


「酷い……。」


カノンが呟く先に広がる光景。

ドラゴンを中心に広がる瓦礫の山と、倒れている多くの冒険者。

それでも被害が此処ら一帯で済んでいるのは、交戦を続ける副隊長のお陰だ。彼のお陰でまだ美しい街並みを保てている、しかしそれも時間の問題。ここで抑えなければ、正直この街は落ちる。


「彼を援護します!!

ノア!カノン!続いて下さい!!」


2人は頷いて駆け出した俺に付いてくる。瓦礫の山を上手く乗り越え前へ。


「セナッ!」


ノアが俺を呼んで目配せをしてくる。

オッケー分かった。

それだけでどう動けば良いか分かるほどに、俺とノアのコンビネーションはダンジョンで培われてるんだ。

足を止めずに両手で耳を塞ぐ、それを見たカノンも急いで猫耳を覆う。


「《シンボルスキル!》『炎虎の咆哮!!』」


ノアが大きく口を開けると、空気がピリピリと揺れわドラゴンの動きはピタッと止まる。耳を塞いでいなかった副隊長も、痙攣したように震え、スタンする。

ごめんな、でもココで決めてやるから勘弁してくれ副隊長君。

魔力を足に廻して速度を急速に上昇させる。大きな岩を蹴りつけて、ドラゴンの前へとジャンプする。


「《メインリング》『シャトルーズ・ムーン』」


「《剣技!!》『ローレベルカット!』」


俺の剣は雷を帯びているので、硬い鱗を持ったドラゴンに対しても弾かれることなく傷を作っていける。


「《剣技!》『ハイレベルカットッ!』」


続けて繰り出す剣技は、ローレベルカットとのコンボ技。

タイムロス無く発動出来て、続けて繰り出すと威力と速度が上がる優れものだ。


「はぁぁぁ!!!」


続く連撃は軽い火花を散らし、敵の身体に傷を増やしていく。

押し切れそうだな……。

ならばココでキメてやる。

シャトルーズ・ムーンが光輝き、高密度の雷が付与される。


「《剣技》『雷震!!』」


俺の放つ一振りは空間を揺らしながらドラゴンの首を斬り落とす。

ヌルリと頭の無い胴体が瓦礫の上に崩れ落ち、ピクピクと痙攣を起こしやがてピクリとも動かなくなった。


「ーーッッッ!!」


ドガァーン!!


『雷震』は自分の体力を削る代わりに身の丈以上の一撃を繰り出せるといったものだ。

放った後に身体が硬直してしまい空中から地面に叩きつけられる。


「はぁ…はぁ…倒した……?」


いや……おかしい。こんなにも簡単に倒せるなら、冒険者や副隊長は苦労しない筈……。


「それじゃあダメだよ!!今すぐ逃げろ!!」


副隊長の声よりも先に飛んできたのは、巨大な竜の尾。数秒の間動けない俺は、為す術無く吹き飛ばされる。


「ーーッ!!」


痛覚よりも先に抱いたのは何故?という疑問。瓦礫を払いのけ目線をドラゴンに向けると、その答えは自分の記憶の中に存在していた。

ドラゴンゾンビ……。

奴のステータスには確かにそう書いてあった。

斬り落とした筈の首がギュルギュルと音を立て胴体へと戻っていく。

数秒後、眼に光が戻ると寝そべっていた巨体がのそのそと立ち上がった。


「セナ大丈夫!!?」


「セナさん、大丈夫ですか!?」


ノアとカノンが俺の安否を確認しに飛んでくる。俺は大丈夫と告げると2人は安堵の表情を見せてくれた。

それよりやってくれるなアイツ……。


「あの竜……セナさんが首を斬り落とした筈、不死身……なんですか?」


「それは違うよ。《リング》『HPポーション』」


いつの間にか隣にいた副隊長が俺の体力を回復させてくれる。

副隊長自身は、交戦していたにも関わらず何の傷も無い、きっと今みたいに自分を回復して戦っていたのだろう。


「奴はゾンビ系統のモンスターだ。

倒すには何処かに存在する核を破壊する必要があるんだ…………はぁ。こんな事になるなら、わざわざこの街に来なければ良かったなぁ。」


ブツブツと呟く彼に、躊躇なく質問をぶつける。少し強い言い草で。


「貴方の強さなら核を叩いてドラゴンを倒す事など造作も無いでしょう!!それが出来ていない何か問題でもあるんですか?」


現状を見れば問題が有った事など言わなくても分かる、けれどその内容までは分からないのだ。


「まぁそんなに怒らないでくれよ。奴は手強い。遠距離をカバーする熱線に中距離を支配する瓦礫の雨、近距離には尻尾が鞭の様に荒れ狂っている。

ただ単に倒すにも十分苦労する類いのものだが、倒せないレベルでは無い、難易度を引き上げたのは奴の蘇生能力だね。

普通ゾンビ系のモンスターの核は1つだが、奴の場合は右眼と心臓に2つ構えられている。片方ずつ潰していては遅い。同時に破壊しなければ奴は数倍強くなって完全に復活してしまうのだ……おっと。《リング》『水波』」


話の途中で飛んできたのはドラゴンが吐いた熱線。副隊長は青指輪をなぞり水の衝撃波発生させ、迫る攻撃を相殺させた。

逃げようと構えたけど意味無かったな。

キラキラと散る水飛沫の中、奴の咆哮だけが街に響く。


「今のを含めて君達に頼みがあるんだ。奴を倒すのを……手伝って欲しい。」


思いも寄らぬ共闘の誘い。ここから逃げろと注意を受けると思っていたが……。


「……。」


戦ってこの街の皆を守らなければならない。けれど今の俺は役に立つのだろうか?モノイレロに保存してある特製ジュースを飲めばセドナに戻れる、しかし何時までもその姿に頼っていたら、何時まで経っても成長しない。


「良いわよ、けど1つ条件があるわ。」


ノアは俺達の事など気にせず即答し、更には神格軍副隊長に条件を突きつける。


「なんだい?」


「私達は所詮レベル30程の冒険者。

貴方にとっては気にもならない攻撃も致命傷になり兼ねないわ。

だから常に私達のHP管理を貴方に任せたいの、分かりやすく言えばピンチの時にHPポーションで回復してって事よ。」


「了解したよ。元より君達を死なせるつもりは無いからな、しっかりと目を配って置く。と言っても僕が出来るのはHP回復ぐらいだね。

強力な指輪は僕とモノイレロを共有している愚弟が使ったみたいでな。」


副隊長はモノイレロから数個、指輪を取り出して指にはめる。見た所全ての指輪が白色なので、言葉通り有用な指輪は回復だけらしい。


「作戦は既に決まっているんだ。

まず最初に僕が呪い魔法を奴に掛ける、効果は数分の間敵のスピードを激減させる、といったもの。

この間に僕は心臓を、君達3人は右眼の核を狙う。

敵のスピードを落としておけるのはせいぜい5分が限度、効果が切れる少し手前で声を掛けるからそのタイミングで同時に核を叩いてくれ。」


5分の間に上手く立ち回り、右眼をいつでも狙える様に準備するのか。

俺達の方は3人居る、速度の遅い敵に対して誰かが合図に間に合えば勝ちだ。

なので悩むべき問題は『呪い魔法は強力な代わりにデメリットがある』って事だ。


「セナちゃん……と言ったかな?

芳しくない表情を浮かべているのは僕の指輪……呪いの代償について考えているから。で良いよね?」


「……はい。貴方の強さなら心配無いと思いますが念の為、何が起こるか教えてくれませんか?」


「数時間の間、移動速度の大幅低下だね。使った後すぐに効果が現れるわけでは無い、5分ぐらいなら通常通り動けるさ。けれど問題はそこでは無いんだよ。」


カールがかった髪を指でクルクルと遊ばせながら副隊長は不安そうな顔をする。


「あのドラゴンの事を俺は倒せるレベルと言ったがそれは今の状態での話だからね。

もし次に復活させてしまうと更に強力になりこの街ごと焼け野原にされてしまう。」


「……つまり失敗は許されないって事ですね。」


これで倒せなければどちらにせよ次は無い。だからこそ副隊長はこの消耗戦がぐだぐだ続くのを嫌い、ここで終わらせる気なのだ。


「グォォォォン!!」


「見た所敵は知能の低いモンスターだし、目の前の敵が居なくなるまで動き続ける化物だ。

ならいっそ僕達は、敵の攻撃が飛んでくる前に動き出そうか。」


副隊長がなぞるは金指輪、使用者にデメリットを与えつつも使用された側に強力な呪いを付与する魔法。


「さぁ聴いてくれ。

《リング》『魔笛』」


宙に現れたのは紫色の縦笛。

彼が息を吹き込むと禍々しい見た目とは違い、禍々しくも妙に引き寄せられる音色が街に響く。

するとドラゴンの動きがみるみる鈍くなっていく。


「ノア!カノン!!」


2人に声を掛けつつ、魔力を脚に廻す。地面を蹴りつけて持ち得る最大走力で奴に近づくつもりなのだが……くそっ瓦礫の山が道を阻んで動きづらい!!


「《リング》『エスケープロード!』」


!!

カノンが流暢に詠唱をすると、俺の目の前に光の道が現れる。

っナイスだカノン!!

レベルの低い彼女が放った魔法なので所々に穴が開いていたり、薄く透けている部分もある。だが走れない訳では無い。

ならば全速前進だ、5分の間に奴を征するには進む他ない!

魔笛の音が鳴り止んで副隊長も加勢に入りはじめる。彼はドラゴンの足元を目指して器用に瓦礫の山の穴を縫い潜って行く。


「セナ!!来るわ!」


咄嗟に空を見上げると無数の岩や鉄が俺に襲いかかってくる。

……尻尾で弾き飛ばして来たか。

撃ち落としてやる。


「《剣技!》『ディスチャージ!』」


剣がパチパチッと破裂音を纏い、きっさきから枝分かれした雷が降ってくる瓦礫を粉々に粉砕していく。


「ノア!先に!!」


「分かったわ!!はぁっ!」


剣技を発動して歩みを止めた俺を追い越し、金髪美少女は穴の空いた光の道を進む。目指すのはもちろんドラゴンの右眼だ。


「グァァァッ!!」


剣技を撃ち止めて、咆哮と共に飛んで来る熱線を身体を捻り間一髪で躱す。左腕に少し掠ったがどうってことは無い……進める。

再び降ってくる瓦礫の間を潜り抜けてノアに続く。


「《リング》「クラック!』」


既にドラゴンの手前に身を置く彼女ノアは衝撃波を地面に向かって撃つことでその身を空高く持ち上げた。


「はぁーー!!」


振り下ろされた黄金の剣は炎を纏ってドラゴンの身体に傷を付ける。

空中で身体を回転させ、もう1斬浴びせたノアは敵の攻撃に備えて背後へバックジャンプする。


「グァァァー!」


荒れ狂うドラゴンは翼を広げて空へ逃げようとするが、副隊長が先読みしており、右翼を剣技で斬り落とす。

バランスを崩した敵の懐はガラ空き、今現在のウィークポイントはきっとココだ。


「はぁー!」


ダッシュから突きの連撃、右にステップを踏んで剣技をーー


「っ!?」


突然の攻撃を剣で防ぐが、強い衝撃に体が軋んでノックバックする。

今のは……咆哮か?

奴に近づき過ぎると咆哮にまで攻撃判定があるのか。


「《リング》『HPポーション』」


副隊長が俺に回復魔法をかけてくれる。そうだHPは気にしなくて良い。

俺は常に攻撃の手を休めずに、時間まで右眼を狙い澄ます。それが俺の役割だろ。


「セナッ!!アレやるわよ!!」


「ーー!!分かりました!!」


何度も何度もダンジョンで練習した技。成功率は低いけど今なら出来そうな気がする!


「《剣技》『ディスチャージ!!』」


「《剣技!》『炎虎の牙!!』」


同時に放つ黄色と赤の力。

雷鳴を纏った虎の牙がドラゴンの首元に噛みつく。


「カノン!!足場を作って下さい!」


「は、はいっ!!《リング》『氷結!!』」


眼の前に現れていく氷の足場に飛び乗って右眼を目指す。俺を捉えようと両腕を叩きつけて来るが、呪いの効果で遅くなっているその攻撃は容易に避けられる。


「《剣技!》『ツインステップ!』」


決められた型の2連撃を繰り出した後、空中で身体を捻り無理矢理3波目を打ち出すが力無く空振りに終わる。自分でも気付かないうちに消耗しているのか??



「グァァァァァァ!!」


「ーー!!」


ドガァーンッ!!!

剣技の後の隙、背後から迫る尻尾に気付かずに瓦礫を蹴散らし地面へ叩きつけられる。

……いってぇ、一発が重すぎるんだよ、レベルの差がモロに影響してんじゃねーか!


「ーーっっ!!」


すぐさま起き上がって緊急回避をする。目線を戻すと同時に身体中か冷や汗が溢れ出てくるのが感じ取れた。俺が先程まで居た場所は熱線により焼け爛れた地面が広がっている。久しぶりに感じる恐怖に何故だが笑みが溢れる。


「後1分30秒だよ!僕は何時でも心臓を掴める!右眼はどうだい!?」


副隊長……焦ってるな。声が裏返って声量も大きくなっている。


「もう少しかかります!」


攻撃を剣で受け止めているノアはドラゴンの足元に、それを支援するように魔法を繰り出すカノンは2ブロック程引いている。

俺は2人よりも更に遠くに位置している。

今現在は核に届きもしない状況、能力と距離で考えて右眼に向かうべきはノアだろう。


「ノアーー!!右眼へ向かって下さいーー!!」


「ーー!! 分かったわ!」


俺の声に押されて動き出すノア。

カノンが足元を作って居るので道としては問題無く進める筈だ。


「……尻尾!!」


たった1人でも合図に間に合えば良い……なら踏み台にでも何にでもなってやろうか。

走り出す足、カノンを抜かして更に前へ、物と物の間を巧みに躱し身体を宙へと誘う。


「残り1分だ!」


呼び出された骸骨討伐に勤しむ副隊長を超え、前へ進む。

彼は街に影響を与えない様、この付近から外へ出ようとする輩を優先的に倒している。そして本来の目的もクリア出来る位置取り、つまりドラゴンの心臓を何時でも貫ける位置に身を置いている辺りが、副隊長たる所以だろう。


「《剣技!!》」


剣に出来るだけ魔力を廻す。

雷鳴が轟き眩しい光が枝分かれし、宙に散る。

本日2発目はMP的にも体力的にもまずい……それに威力も大幅ダウンだ。けれど撃てば一気に流れを持ってこれるだろう!


「『雷震ッ!!』」


騒めく空気ーー

散る火花ーー

宙で一回転しながら放つ雷神の如き一斬。

雷の衝撃波は空間を揺らしてドラゴンの尾と背後の建物を数件真っ二つに斬り裂いた。


「ギァァグァァッッ!!!!」


撃った反動で更に空高く飛んでいく。


「後は……任せなさい!」


動かない身体は自然の摂理に従って落ちていく。

身体はボロボロMPも空、声も喉が潰れた様に上手く発せられない、俺に出来る事はもう見当たらないな。

後は祈るだけだ。ノア……頼むぞ。


「残り40秒だ!!準備してくれ!!」


副隊長の声が響き渡り、ノアは氷の足場を蹴ってひたすら上へ。

もう少しで届くーー

熱線は近すぎて当たらないだろうし瓦礫を飛ばす尻尾は無い。



「行け……。」



※ ※ ※


「うぅ……。」


瓦礫の中で目を覚ました俺は、横たわる身体を手で支えながらも立ち上がろうとする。

しかし思い通りにならず体勢を崩した。


「う……腕が……ねぇ!!」


走る痛みで気を失った前の事を思い出す。そして覚えた感情は【怒り】だ、憤怒だ。


「俺をこんな風にしやがって……ユルさねぇぞォォ!!!」


ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな!!!

俺はダモダ様だぞ!?この街を牛耳る大金持ちで、全て思い通りに生きてきたんだァ!!

それが今は何だ??

奴隷との勝負には負け、手は斬り落とされた。召喚したドラゴンこそ生きて暴れているが、尾も無く今まさに4人がかりで討伐されかけている。

コレでは俺のプライドが崩れる。

こんな屈辱許されるわけ無い、許してはいけない!!

奴(副隊長)に踏み潰された指輪の中で唯一使えそうな物を拾い上げる。俺はおもむろにこすりあげ、魔法を発動させる。


「こ、これダァ!!

《リング!!》《魔手ゥ!!》」


発動した魔法は闇系の足止め魔法。

数十本の手が地面から奴目掛けて伸びていく。

……チッ!!此処でただの足止め魔法しか撃てねぇのかよ!


※ ※ ※


行ける!

私自身が作った氷の足場を飛び越えドラゴンの右眼まであと少し。

これでやっと敵を倒せる!


「行ってくださいノアさーーん!!」


私は役に立ってるのかな?

今の私にはセナさんの様に強い剣技や、副隊長の様に立ち回る事は出来ない。ましてやノアさんの様に失敗を恐れず進む事もだ。だから出来る事はする。それは声をかけて皆を奮い立てる事かも知れないし、一歩引いて補助をするだけかも知れない。


「……!!」


ノアさんが最後の足場を蹴ると同時に、視界に入って来たのは闇を纏った手。禍々しいソレは咄嗟に構えた私を通り越して副隊長目掛けて伸びていく。


「こっちは大丈夫よ!!」


「あぁこちらもーーなっ!!!?」


副隊長の身体に巻き付く闇の手。

斬り落としても煙と化してすぐに再生してしまう。数本の手は徐々に数を増やし副隊長をドラゴンの足元から引きずり出していく。


「あ、足止め魔法かよっーーッッ!!」


あのダモダがこのタイミングで目を覚まし、更に足止めの魔法を選択したのは最早奇跡と言っても言い程最悪の事態だ。

刻々と迫るタイムリミットと引きずられて身動きの取れない副隊長。

このままでは心臓を貫く役が不在となりあのドラゴンは復活してしまう。


「残り20秒程よ!!どうするの!?」


ドラゴンの頭の上から叫び声が聞こえる。ノアさんが落ちない様しがみついているのだろう。

誰か代わりを立てなければこの作戦は失敗に終わる。復活を恐れてノアさんの方の核も破壊しないという手もあるが、そうすると副隊長の呪いが、自分に戻り到底戦闘など出来なくなるのだ。

と言っても今動けるのは私だけ…………なら。


「わ、私が行きます!!」


「ーー!!頼むわカノン!!」


ノアさんの返事が少し遅れたのはーー。

……私じゃ不安なのは分かってる……けど!何もしないで突っ立ってるのは嫌なんだ!

モンスターが闊歩する道を駆け抜け、向かうはドラゴンの心臓へ。

迫り来る敵を相手にしてる暇は無いし、私如きでは太刀打ち出来ない。逃げて逃げて進むんだ。


「これを使ってくれッ!!」


必死に走る私の目の前に、副隊長の剣がカランと投げられた。動けない彼のせめてもの援助だ。剣を拾い上げてただ走る、襲い来る骸骨の攻撃を何度も何度も喰らいながらも足は止めない、止めてはいけない!


「はぁ…はぁ…!!」


「行くわよカノンッッ!!」


聞こえたノアさんの声、タイムリミットだ。慣れない剣を振り被り、眼の前の巨体へと振り下ろそうとしたがーーダメだ。明らかに間に合わない。私ではドラゴンの皮膚を貫くことは愚か少しの傷も付けられない。


「危ないッッ!!!」


セナさんの叫び声で目線を上げるとドラゴンの巨大な口から殺意を込めた淡い光が溢れ落ちる。


「……ごめん……なさい。」


ここで終わりかぁ……ドラゴンと戦ってブレスで死ぬ、何とも冒険者らしい良い死に様かもしれないなぁ。


「カノンッーー!!伏せろォォ!!」


ただ1人、間に合わない事を確信し死を確信し、誰に向けたかも分からない謝罪呟いた私の耳元をーー

一筋の光が掠めていった。


「まだ呪いだと思ってるのかなぁ?折角僕達が助けてあげたのに……。」

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