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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
月光の夜、猫は旅立つ。
11/53

魔格者

感想、レビュー、ポイント、ブックマーク等宜しくお願いいたします!



「チッ避けられたか。」



誰だ?……。

俺達がつい先程まで居た場所には、黒い鎧を着た男が剣を地面に突き刺していた。

深く刺さったその剣は、殺意を持って振られたことを物語っている。


「オーク……じゃあ無さそうね。」


ノアが起き上がりながらそう呟く。


「そんなモンスターと一緒にするなよ。

俺は格式高い人間様だ。」


「なんでこの部屋に私とセナ以外の人が居るのよ。」


「多分僕達と同じ時に入ったんでしょう。

それも気付かれないように。」


ボスが居ない時にはボス部屋の扉を開けることが出来ない。

つまり目の前の男は俺達と同じ時に入った。

それ以外考えられない。


「ふふっ。

それはちげぇな。」


「何?」


「普段は答えねぇが教えてやろう。」


男は剣を引き抜いて髪を掻き上げる。


「俺は元より此処に居る。」


!?


「そんなのありえないわ!

ボス部屋にずっと居るなんて!

時間が経てば復活するボスを

毎回毎回倒し続けなければならないもの!」


「その通りです。

それにボスが居ない時や交戦中の時は、

外から新たな冒険者が入る事は出来ない筈です。

貴方がボス部屋に居るのならば僕達は入れない。」


「答えを教えてやろうか。」


刹那ーー

男の姿が消えて後ろから衝撃を受ける。


「セナッ!後ろ!!」


「ぐっ!?」


俺の身体は吹き飛ばされて、背中にはジンジンと痛みを感じる。

顔を上げて目を見開くと、蹴りを繰り出したであろう男の姿を捉えた。


「……瞬間移動!?」


「ご名答。」


詠唱も無しに発動した…。

今のはリングでは無いらしい。


「はぁっ!」


ノアが剣を取り出して斬りかかるが、軽く交わされて思いっきり殴り飛ばされる。

俺とは真逆の方向にノアは吹き飛ぶ。


「君達がこの部屋に入る少し前、

俺は瞬間移動で此処ここに侵入した。

あの扉をくぐって入らなかった俺は、

ダンジョンボスから敵と認識されずに攻撃を受けることはない。

そのあとノコノコと入ってきた君達の戦闘を見た後、勝利の隙を狙ったのさ。」


全く気付かなかった。

部屋に入る時も入った後の戦闘中にも、奴の気配すら感じ取れなかった。


「……冒険者にボスを倒させておいて隙を見て殺す

そしてアイテムを奪う事が目的ですか?」


「いや、

そんなつまらん理由では無い。」


「ならなんで私達を狙うのよ。」


「ルーキーが集まるこのダンジョンで将来厄介になりそうな人間を殺している。

大きな木を切り倒すのは難しいが、種を潰すのは簡単だろう?」


男は不気味な笑みを浮かべてわざわざ見える様にステータス画面を呼び出す。


【ーー】

シンボル 豚 (邪悪)

レベル45

スキル

『セーレの加護』

『剣技威力UP』

『ビギナースレイヤー』


「レベル45!?」


ノアはレベルの高さに驚きの声をあげるが、俺の注目点は異なっていた。


それはスキル『セーレの加護』。

こいつ魔格者だ。

リング無しの瞬間移動はこのスキルのお陰なのか?

…何にしろ厄介だ。


「魔格者…ですか。」


神格者と対になる存在。

世界に闇をもたらそうとする72もの悪魔の化身。

その内の1人が目の前に居る。


《セーレ》は70位で強さ的には低いが油断してはいけない。

格上の相手でさらに魔格者。

こいつはまずいことになった。


「逃げれるなんて思うなよ?」


…ボス部屋という密室でさらに相手は瞬間移動を繰り出す。

逃げれる筈が無い。

ならば…先制攻撃だ!


「《剣技》『ボルトダウン!!』」


地面を蹴ってクルクルと宙を舞う。

剣には雷が帯び始め、パチパチと音を鳴らす。

雷力は充分、今だ。


「はぁっ!!」


「《メインリング》『ダークペイン』」


男は宙に浮いた剣を取り、俺の一撃をいなしてみせる。


「はっ!

そんな剣技で俺を倒せると?」


「ボルトダウンは相手のスピードを下げる剣技です。

剣でいなしてもヒットに入りますよ?」


「なに?」


俺は着地しながら横目で男を見る。

思惑通り動きが少し遅くなっている。


「それに僕達は【連撃】出来ます。」


俺がそう言うとノアが動き出す。

先程目配せして置いたが理解した様だ。


「やぁっ!」


ノアの繰り出した突きは男の腕を掠めるが、

続いて放った俺の一振りが男を捉えた。


「ぐっ!」


「まだですよ!」


ガキィン

キィーン

流れるような剣さばきで男を攻め立てる。

何百と繰り出す太刀筋。

その何本かが奴の身体に傷を作っていく。


「は、速いっ!?」


ノアの驚く声がする。

それもそうか。

これは師匠に教わった流派で、音速で繰り出される連撃によって相手を翻弄する事が特徴だ。

もちろん隙あらば重い一撃もある。

キィーンと奴の剣を弾き飛ばす。


「《剣技》『ツインステップ!』」


光り出す剣が俺を導いて華麗な剣技を発動させる。

しかしワンツーステップの剣撃は、男を捉えることなく宙を切る。


「やるじゃないか。」


数メートル離れた場所から声が聞こえてくる。

瞬間移動で逃げたか。


「君達のレベルはそうだな…20そこらだろう?

その程度で私に勝てると思うなら改めた方が良い。」


「でも僕達は2人です。

2対1でもそう言えますか?」


「言えるね。

雑魚が集まった所で雑魚には変わりない。」


不意に目の前に男が現れる。

手に持つ剣を振り被り、真横に一刀を入れてくる。


「《リング》『クラック!』」


俺は右手の白指輪をなぞり魔法を発動させる。

右手から衝撃波を繰り出して男の剣を防ぐ。


「ほらほらついてこれるか?」


魔格者は瞬間移動を繰り返し、俺の周りをビュンビュン飛び回る。

何処から来る…。


「こっちだ。」


シュッ!

声に反応して剣を振るも、

宙を斬る音が虚しく響く。


「ここだ。」


シュッ!!

またも空振り。

ダメだ奴は速すぎる。

声に反応してたら遅いし、当たらない。


「返してやるよ。

《リング》『クラック』」


!!


背中から物凄い衝撃を受けて俺は手前に吹き飛んでしまう。

くそっ。いてぇ……。

レベルが違うと同じ魔法でも威力が違うな。


「やめなさい!!」


「君は威勢が良いな。」


男は不気味にニヤついて、青指輪をなぞる。

そしてノアの方を向いて魔法を発動させた。


「ほら逃げ惑え。

《リング》『ダークフレイム』」


「なっ!?」


…まずい。

ここで魔法は防ぎようが無い!


手元から闇の炎が舞い上がり、ノアの身体に襲いかかる。

追尾性能があるのか必死に避けようとしても逃げられない。


「ーーっ!!」


「お前からだ。」


男は目にも留まらぬ速さでノアの後ろに着く。

そのまま右足を振り抜いて黒炎もろとも彼女を蹴り飛ばす。


「きゃあッッッ!」


「ノアッ!!」


「人の心配より自分を見てみろ。」


!!

足元を見てみると地面は泥に変化しており、足を上げようとしても自由がきかない。

いつの間に土系の魔法を使われていたんだ!?


「動けないのか?

形勢逆転だなァ!」


不意に目の前から右ストレートが繰り出される。

咄嗟に剣でガードするが続く二撃目、三撃目を防ぎきれずに食らってしまう。


「ぐっ…。」


体力が減っていくのが分かる。

レベルの差があるから今のでかなり持ってかれた。

このまま殴られ続ければ、すぐにでも死んでしまいそうだ。


「戻ってこい。」


男の声に反応して剣が手元へ飛んでいく。


「ほら、二人目だ。」


目の前から振り下ろされる剣。

俺の身体を真っ二つにするつもりだ。

ゾクッと背中に悪寒が走り、【死】を改めて実感する。


「はぁ…はぁ…。

《シンボルスキル》

『炎虎の咆哮!!』」


すぅーっと空気を吸う音。

やべっ!

咄嗟に耳を塞いでノアのスキルに備える。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」


虎が放った咆哮は空気をピリつかせて、男の動きを無理矢理止めた。


「はぁはぁ…。

《剣技》『炎虎の牙ァァ!!』」


「グァァァッ!!」


続けて放ったノアのスキル。

虎の牙を形どった炎が男に襲いかかり、背中と顔にクリーンヒットする。

数秒後、男の顔に大きな火傷痕を残し、炎は火力を弱めて消えた。

ナイスだノア!

俺は泥を抜け出して体勢を整える。

それほど動いてる訳でも無いのに、汗と疲労が尋常ではない。

体力が厳しい証拠か…。

ノアの方は立つのもやっとで、肩で息をしている状況だ。

何より虎耳と尻尾が生えて来ているのでMPが底を尽きていることが分かる。


「はぁはぁはぁ。

これが今の限界よ…。

セナ。

ここは任せて貴方は逃げなさい。」


彼女はそう言ってその場に倒れこむ。


「お、俺の顔に傷をォォ!!!

この死に損ないがァ!

《剣技》『バトルドライブ!!』」


激昂した男は満足に動けないノアに剣技を発動させる。

俺は軋む体にムチ打ってノアの元へ。

助けられた分を返せるのは今だ!


「オラァ死ねぇ!」


キィーン!

俺はノアを殺そうとした剣を辛うじて防ぐ。

ギリギリと火花を散らす激しい鍔迫り合いは、俺の力を徐々に奪っていく。


「セナ……。

あんたは逃げなさいよっ!」



「逃げません!

こいつを倒して一緒に帰ります!」


「このままじゃ…2人共死ぬわ!」


ノアの悲痛な叫びが俺の心に突き刺さる。


…死なせない。

神格者である俺の前で仲間は死なせねぇぞ。


「セナ!そこを退きなさい!

私のことなんかほっといて良いわ!!」


「そうだどけぇ!!

俺に傷をつけた奴は女であろうと許さん!!」


「くッッ!」


鍔迫り合いの最中、思いっきり振り切られた蹴りを受けて俺はその場に崩れ落ちる。


「セナァ!」


「死ねぇ女!!」


仲間に向けられた剣先。

…ドクン。

迫り来る絶望。

…ドクン。

彼女の祈るような叫び。

…ドクン。


…ドクンドクンドクン!!


光を纏い身体に寒気が走る。


…ドクン!!!


分かる。

これは猫じゃねぇ。

本当の姿に戻る時が来た。


【おせぇよセドナ

















それは雷鳴の如く目の前に現れたーー

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