白亜の謁見と、震える最高権威
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第6話『時速四百キロの書斎』では、3日間の優雅な飛行船の旅を経て、別の大陸の真ん中にあるエレシア教の総本山『エルディシア帝国』へと到着したアルカ一行。
第7話の舞台は、いよいよ最高権威である教皇セルディウスとの謁見です!
地元の田舎教会の水晶をバキバキに爆砕させたアルカの規格外な能力スロットを目にした時、世界最高の鑑定眼を持つ老練な教皇は一体どんな反応を見せるのか――!?
威厳に満ちた聖堂の中で、歴史がひっくり返るほどの衝撃の瞬間をぜひ見届けてください!
魔導飛行船を降りた私たちが案内されたのは、国土のすべてが聖地と化したエルディシア帝国の最奥――天を突くようにそびえ立つ、白亜の大聖堂だった。
一歩足を踏み入れれば、世界中の貴重な歴史資料や厳かな空気が肌を刺す。その圧倒的な格調高さに、10歳の兄レオンは珍しく神妙な顔で口を閉じ、8歳の姉ソフィアもパパのクラウスの服の裾をぎゅっと握りしめて緊張していた。
「アルカ、いいか、地元の教会の水晶を壊したときみたいに、教皇様の前でだけは絶対に何かやらかしたりするんじゃないぞ……?」
パパのクラウスは、完全に胃を痛めた顔で私の耳元でガチガチに震えながら囁いてくる。
(パパ、そんなに緊張しなくても、やらかそうと思ってやらかしたわけじゃないのよ。まぁ、中身はおばさんに近い38歳の元大学教授の私としては、これほど完璧に宗教主導で統治体制が敷かれた中央大聖堂の構造を観察できるのは、物凄く興味深いけれど)
大聖堂の最奥、美しい神聖な光が差し込む謁見の間。
そこに佇んでいたのは、白く長い髭を蓄え、深い知性と世界を包み込むような威厳をまとった老人――このエレシア教の最高権威、教皇セルディウス様だった。
「遠路はるばる、よくぞ参られた。ルートハーバー男爵家の幼き令嬢、アルカよ。ルートハーバー分教会の神官から連絡は受けておる。通常の測定器の限界を超えるほどの魔力を宿しているとか……。どれ、私がその能力スロットを直接読み解いて進ぜよう」
教皇セルディウス様は、穏やかな、だがすべてを見透かすような鋭い瞳で優しく微笑むと、私の前に進み出て、その老練な手を私の頭上へと優しくかざした。
教皇様がその世界最高峰とされる『鑑定眼』を起動した瞬間、私のステータスウィンドウが、彼の前にだけ鑑定ステータスとして展開される。
まずは、3つの通常スキルの並びを見た教皇様が、深く満足そうに顎を引いた。
「ふむ……『守護結界』に『風土豊盛』、そして『統治統計』か。どれも非常に優秀なスキルだ。レベルが上がれば領地を劇的に発展させるであろう、男爵令嬢にふさわしい見事な内政の資質よ」
パパのクラウスと母のエレナが、その言葉を聞いてホッと安堵の胸を撫で下ろしたのも束の間。
教皇セルディウス様が視線をその横――2つの最上位スキルが並ぶ『スペシャルスキルスロット』へと移した瞬間、その穏やかな顔がピキリと凝固した。
「な……『次元統括』、に……『万象真眼』……!? 出る確率が5割のスペシャルスロットから、空間を支配し世界の真実を見抜く最上位スキルを、二つ同時に仕留めておるというのか……?」
老練な教皇の額に、一筋の冷や汗がツッと伝う。
だが、そんなものはまだ、私のバグ設定の「入り口」に過ぎなかったのだ。
教皇セルディウス様の瞳が、後半の2つの特別なスロット。
【虹色】に輝いていたインフィニティ・スロットと、最高位の【金色】に輝いていたエクストラスキルスロットの鑑定結果を捉えた、その瞬間――。
ガタガタガタガタッ……!!!
謁見の間に、突如として激しい震動音が響き渡った。
部屋が揺れているのではない。
教皇セルディウス様自身が、目玉が飛び出んばかりに驚愕で見開き、あまりの衝撃に椅子から立ち上がり、その全身をガタガタと激しく震わせているのだ。
「ば、馬鹿な……信じられん……! 【魔力無限】……魔法の消費コストが完全に消滅しておる……!? それに、神級の能力は……『召喚術』だと……っ!?」
これまでの最高権威としての圧倒的な威厳はどこへやら、教皇様は真っ青な顔で自分の口を手で覆い、ガタガタと震えながら絶句して立ち尽くしている。
「きょ、教皇様……!? 一体、アルカのステータスはどうなっているのですか……っ!?」
あまりの異常事態に、パパのクラウスが悲鳴のような声を上げた。
そんな騒然となる白亜の大聖堂の中で、私は
(あぁ、やっぱり世界のトップでも、このバグ設定を見たらそうなっちゃうわよね……)
と、どこか他人事のように冷静に教皇様のビビリっぷりを見つめるのだった。
第7話をお読みいただき、ありがとうございました!
通常スキルを見て「非常に優秀なスキルだ」と褒めていた教皇セルディウス様でしたが、後半の【魔力無限】と脳波操作の最高位スキル『召喚術』を見た瞬間、椅子から立ち上がってガタガタと震え出してしまいました(笑)。
世界最高権威の威厳が一瞬で崩壊するほどの、アルカの圧倒的な規格外っぷり、最高にスカッとしますね。
次回、第8話。
あまりのバグ設定に絶句し、震えが止まらない教皇セルディウス。
しかし、この教皇の驚愕の鑑定結果が、巡り巡って王国の国王の耳へと届いてしまうことに……!?
のんびり快適な領地経営(引きこもり)をしたいアルカの元に、ついに国家最高権力からの「とんでもないスカウト(お断りイベント)」の足音が迫ります!
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次回もお楽しみに!




