第五十一話 合成スキルの検証と、新たな可能性の発見
お読みいただきありがとうございます。つむ教授です!
第49話『無限のハクスラサイクルと、新たなスキル』では、何ヶ月かかるかも分からないアーマーアントとの総力戦の中、完璧なハメ連携とゾンビ戦法で大量の魔石を獲得。さらに、たくさん剣を振ったことで基礎スキル『剣術』を後天的に獲得し、ついに召喚レベルが3へと上昇しました。
今回の第51話では、レベル3になって解放された待望の新スキル【合成】の本格的な検証が始まります!
自室にこもって魔導書を開くアルカ。異なるFランクのカードを組み合わせる未知の合成に、元大学教授としての研究者魂が激しく燃え上がります。様々な組み合わせが失敗し、魔石がどんどん消費されていく中、アルカがたどり着いた意外な法則性と、そこから生まれる新たな可能性の瞬間をどうぞお楽しみください!
ルートハーバー子爵邸、私の自室。
アーマーアントとの果てしないハクスラサイクルによって、私の召喚レベルは無事に3へと上昇した。
それと同時に、管理画面ウィンドウの下部をスクロールできることを発見し、各スキルの詳細な経験値ゲージや、新しく解放された派生スキル【合成】の仕様もクッキリと可視化された。
前世で大学教授として数々の研究や実験を繰り返してきた私にとって、この未知の新スキルの登場は、検証好きの血を激しく騒がせるのに十分すぎるものだった。
「せっかくアーマーアントたちをたくさん殺して、Dランクの魔石が大量に手に入ったんだもの。さっそくこの【合成】の仕様を徹底的に検証してみなきゃね!」
私は机の上に、これまでの戦闘で集まったピンポン玉ほどの大きさのDランク魔石を山のように積み上げた。
新スキルの説明文によれば、【合成】とはタイプの異なる2つを組み合わせ、魔石を消費することで新タイプの召喚獣を生成する能力だ。
それと、魔導書にメモ欄があるのを初めて見つけた。どうやら脳内で打ち込むことができるようだ。情報収集や整理が楽になって助かる。
私はさっそくそのメモ機能に仮説を立て、さっそく検証を開始した。
「まずは、一番イメージが湧きやすい動物系の掛け合わせから試してみよう。ケース1、獣タイプと鳥タイプの組み合わせね」
私は魔導書を開き、ホルダーからFランクの『ウルフ』と『イーグル』の魔導カードを合成枠へとセットした。 そして、山の上の魔石を1個、カードを入れる下の枠に注ぎ込んで念じる。
(合成!)
変化がない。
と思ったら、ログになにか来ている。
【合成は等価交換はできません。Eランク魔石を1個下の枠にはめてください。】
(えっ…合成って等価交換できないの…?でもEランクの魔石なら次元統括にあったはずだわ。)
道中で狩った魔物で、Eランクのものを倒していたから大丈夫だ。
Eランクに置き換えてもう一度やってみる。
(今度こそ、合成!)
しかし、変化がない。
カードもそのままだし、どうやら失敗のようだ。
だが、研究者たるもの、一度や二度の失敗でへこたれていては新しい発見など掴めない。
「次はケース2。今度は虫タイプと鳥タイプの組み合わせを試してみるわ」
Fランクの『ヤンマ』と『イーグル』をセットし、再び魔石を消費して合成を実行する。
しかし、結果は同じく不適合による失敗だった。
「うーん、動物同士の単純な掛け合わせじゃダメなのかしら。それならケース3、今度は生物と無機物の組み合わせね。獣タイプと石タイプはどう?」
『ウルフ』と『ストーン』を合成してみる。
結果はまたしても失敗。
「ダメね……。それじゃあケース4、虫タイプと石タイプは……?」
これもまた、失敗に終わった。
メモの欄がどんどん埋まっていく。次元統括の中にあるEランクの魔石も、気づけば半分以下にまで減っていた。
(適当な組み合わせを試すだけじゃ、新しいタイプは開かない仕組みになっているのね。このままだとジリ貧ね。何か、もっと根本的な属性の法則性があるはずよ……)
私は椅子に深く腰掛け、小さな手で顎を撫でながら、経済学者、そして科学者としての思考をフル回転させて考察を巡らせた。
これまでに試したのは「動物×動物」や「動物×無機物」だ。
では、まだ試していない、全く異なるカテゴリー同士の組み合わせはどうだろうか。
(例えば……『無機物』と、『植物』。正反対に位置するようなこの2つを掛け合わせたら、一体どんな化学反応が起きるのかしら?)
「よし、ケース9。石タイプと草タイプの組み合わせね。これでダメなら、一度アプローチを変えましょう」
私はホルダーから、『ストーン』のカードと『アズキ』のカードを合成枠へとセットした。
そして、祈るように手元のDランク魔石を注ぎ込み、頭の中で強く念じた。
(頼むわよ……。【合成】!!)
その瞬間だった。
これまでの失敗した時にはなかった、目が開けられないほど眩しい光が巻き起こった。
「――っ!? 光が……!?」
カード同士が成功した時の枠にまとまり、光を放っている。
ログの枠に、銀色の文字が浮かび上がった。
【新タイプ『魚タイプ』が解放されました】
「やったわ……! 大成功よ!」
私は思わず椅子から立ち上がり、小さな拳をぎゅっと握りしめて大歓声を上げた。
石と草という、一見すると水とは無縁の組み合わせから、まさかの『魚タイプ』が誕生する。
検証好きな元教授としての頭が、最高の達成感とともにこれ以上ないほどに激しく沸き立っていた。新たなバグ枠を開いた興奮冷めやらぬ中、私は新しく手に入れた『魚タイプ』のカードを覗き込み、笑みを浮かべるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
召喚レベルが3に上がったことで解放された新スキル【合成】、検証好きなアルカちゃんの研究者魂がさっそく大炸裂した素晴らしい検証回でしたね。
アーマーアントたちを倒して集めた大量のDランク魔石を机に積み上げていたのに、結局Fランクの魔石じゃないといけなかったんですね。
新しく見つけた機能のメモを開いて仮説と実験を繰り返す姿は、まさに元大学教授の貫禄そのものでした。獣や鳥、虫や石など、様々なFランクのカードを組み合わせるも、ことごとく失敗して、リアルな試行錯誤があって最高にワクワクしました。
しかし、そこで諦めずに「石タイプ」と「草タイプ」という無機物と植物の意外な組み合わせに目をつけたのがアルカちゃんの天才たる所以です。これまでにない眩い光とともに、銀色の文字で【魚タイプ】の解放ログが流れた瞬間は、鳥肌が立つほどの爽快感でした!
新しく手に入れたこの『魚タイプ』が、一体どんな姿や能力を持っていて、ルートハーバー領の開発にどう活かされていくのか、今から本当に楽しみですね!
「メモ機能に仮説をどんどん立てて検証するアルカちゃんが格好いい!」「魔石がどんどん減る中での大発見の瞬間が気持ちいい!」「新しく解放された魚タイプの性能が気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




