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元女性教授の異世界開発経済学 〜神界のスロットで魔力無限を引き当てたので、最強スキルの組み合わせで快適な領地経営を始めます〜  作者: つむ教授


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爆砕せし水晶の余波、あるいは大空のプロローグ

お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!

第4話『インフィニティと、神級の魔導書』では、虹色と金色のスロットから【魔力無限】と神級スキル『召喚術』を引き当て、現実世界で魔力測定器を大爆発させてしまったアルカ。

第5話の舞台は、その大騒動の直後です!地元の田舎教会では手に負えない規格外のステータスを読み解くため、アルカたちは海を隔てたすぐ先にある『エルディシア帝国』の教皇の元へ会いに行くことに!?

王都までの2日間の馬車旅、そして王都から飛び立つ未知の超テクノロジー『魔導飛行船』での3日間の空の旅が、今始まります!

床にバタリと倒れていた地元の教会の神官が、父クラウスと母エレナの必死の介抱によって、ようやくうっすらと目を覚ました。


しかし、意識を取り戻した神官は、祭壇の横に粉々に砕け散っている魔力水晶の破片を目にした瞬間、再び白目を剥きそうになりながらガタガタと震え出したのだ。


「あ、アルカ様の魔力は……地元の教会にある測定器では、器が小さすぎて計測の負荷に耐えきれません……!」

「し、神官様、落ち着いてくれ。そ、それで、あの……壊してしまった測定器の弁償は、我が男爵家の予算で足りるだろうか……?」


冷や汗を流しながら財布の心配をする父に、神官はかぶりを振り、真剣な眼差しで私を凝視して告げた。


「ルートハーバー男爵、弁償などどうでもよいのです! これほどの規格外な能力スロットを読み解くことができるのは、海を隔てたすぐ先にある大国――『エルディシア帝国』の『教皇セルヴィウス』様ただお一人です……! 一刻も早く、アルカ様を帝国の総本山へお連れし、鑑定を受けてください!」



「まさか、5歳になったばかりのアルカを連れて、海を越える大移動になるなんてな……」


男爵邸へと戻ったルートハーバー家では、パパとママが頭を抱えて大慌てしていた。

我が家の領地は海に面しているのだが、海路を使って普通の船で帝国を目指すと、なんと半月(約十五日間)もかかってしまうのだという。一刻を争うこの「測定不能事態」において、そんな悠長な時間はかけられない。


そこで父が決断したのは、ここから馬車を2日間走らせて王国の王都へと向かい、そこから臨時の超特急便を手配するという強行軍だった。


だが、そんな親の焦りを余所に、10歳の兄レオンと8歳の姉ソフィアは目を輝かせていた。


「おいソフィア、聞いたか!? アルカと一緒に、あのエルディシア帝国に行けるんだってよ!」

「ええ、レオン! 帝国の総本山には、世界中の珍しい魔導書が集まっているって本で読んだわ! 私、アルカと一緒ならどこまでも行く!」

「よし、俺が道中しっかりアルカを守ってやるからな!」


大事件だというのに、私の可愛い兄姉は完全に遠足気分で盛り上がっている。そんな賑やかなやり取りを見つめながら、私は内心で小さく息を吐いた。


(この子たちは完全に旅行気分ね……。まぁ、のんびり快適な領地経営を始めるはずが、5歳にして早くも国境を越える大移動になってしまったのは不本意だけど……。開発経済学者として、海を渡った別の大国エルディシア帝国の市場やインフラ、経済状況を実際にこの目で観察できるのは、学術的に物凄く興味深いわね)


すぐさま旅の準備を爆速で整え、ガタゴトと馬車に揺られること2日。

私たちは王国の中心である『王都』へと到着した。

そして、王都の巨大な発着場へと案内された私たちが乗り込んだのは、大空に浮かぶ巨大な【魔導飛行船まどうひこうせん】だった。


「うわぁ! すっげえ、本当に空を飛んでるぞ! ちょっと外の風を――」

「こら、レオン! 窓を開けようとしたら危ないだろ!」


大はしゃぎで窓を開けて外へ顔を出そうとしたレオンだったが、即座に父から雷が落ちた。驚いたレオンがそのまま魔法の防護ガラスにコツンと頭をぶつけている。時速四百キロメートルで飛ぶ船だ、ハメ殺しの頑丈な結界ガラスになっていなければ、風圧で一発で吹き飛ばされてしまうだろう。


船内には、上品な女性船員による、落ち着いた案内アナウンスが響き渡っていた。


『当船はこれより、高度二千メートルを維持し、巡航速度「二百五十マイル」にてエルディシア帝国へと向かいます。どうぞ快適な空の旅をお楽しみください』


(二百五十マイル……?)


案内を聞いた私の前世の脳が、習慣的に瞬時に対比計算を始める。

この世界における1マイルが地球のそれと同じ約1.6キロメートルだと仮定すると、二百五十マイルは時速に換算して約四百キロメートル。


(時速四百キロそこそこ……。現代のジェット旅客機の半分に満たないくらいのスピードね。空を飛ぶ船としては少し遅めののんびりとした飛行速度だけど、新幹線よりは速いし、この世界の技術としては十分すぎるほどの超特急だわ。前世の航空力学を完全に無視して魔導だけでこれだけの巨体を飛ばすなんて、技術的にも物凄く興味深いわね)


飛行機の半分ほどの速度で進む魔導飛行船。海を隔てたすぐ先にある国とはいえ、こののんびりとした空路の旅では、到着するまでに3日の時間がかかるらしい。普通なら半月かかる海路を、この船を奮発したことで3日間に縮めた父の必死さが窺える。


飛行船の頑丈な窓から、眼下に広がる青い大海原を見つめながら、私はそっと顎に手を当てた。


(美味しいものを食べてのんびり暮らす夢のスローライフは、一体いつになったら手に入るのかしら……)


5歳にして早くも空を飛び、海を越えることになった私の前途多難な異世界ライフ。前世の知識を総動員しながら、私は飛行船の心地よい揺れに身を委ねるのだった。

第5話をお読みいただき、ありがとうございました!

ルートハーバー男爵領は海に面しているのですが、海路で帝国を目指すと普通の船では「半月」もかかってしまいます。

一刻を争う事態だからこそ、パパのクラウスは2日かけて王都へ走り、わずか3日で海を渡る超特急の『魔導飛行船』を奮発したわけです!

飛行機の半分のスピード(時速400km)でのんびり進む、優雅な空の旅。アルカの学者脳ツッコミも冴え渡っています。レオン兄ちゃんは窓を開けようとしてパパに怒られちゃいましたね(笑)。

次回、第6話『時速四百キロの書斎』。3日間のフライトの間、アルカは魔導飛行船の中で『エルディシア帝国』の政治や経済についての勉強(予習)を始めることに。

前世の知識とすり合わせるインテリな空の旅の果て、3日目の終わりに飛行船の窓の向こうにいよいよ壮大な大帝国の姿が現れます――!

「飛行船の旅、ワクワクする!」「早く続きが読みたい!」と思ってくださった方は、ページ下部から【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の飛行船がさらに加速します!次回もお楽しみに!

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