第四十八話 無限のハクスラサイクルと、新たなスキル
お読みいただきありがとうございます。つむ教授です!
第47話『新たなる脅威と、伝説の再来』では、開拓区域の洞窟からDランクの強敵『アーマーアント』の巨大な巣が発見されました。ミスリル以上でなければ切れない硬い鎧を持つ兵隊蟻と、最奥に潜むという五百年間誰も見たことがないBランクのクイーンの存在に、アルカのハクスラ精神が火を吹きました。
今回の第48話では、何ヶ月かかるかも分からない大規模な蟻の軍勢との総力戦が本格的にスタートします。
Dランクの鉄壁を前に、アルカは手持ちの魔石をフル活用してFランクの召喚獣たちを量産。単体では突破できない格上の相手に対し、ヤンマとウルフを組み合わせた完璧なハメ連携と、魔力無限を活かした驚異のゾンビ戦法で挑みます。さらに、実戦とこれまでの訓練の成果が結実し、この世界の常識を揺るがす驚きのログが流れることに。アルカの果てしないレベル上げと検証の様子をどうぞお楽しみください!
南の山脈の近くの森、アーマーアントの巣がある巨大な洞窟の前。
何ヶ月かかるかも分からない、漆黒の鉄壁を持つ蟻の軍勢との大規模な総力戦が、いよいよ本格的に幕を開けた。
パパたち冒険者部隊が前線で戦う中、私も後方から全力でハクスラサイクルを回し始めていた。
まずは事前準備だ。私はこれまでに溜め込んでいた大量のEランク、Fランクの魔石を惜しみなく【魔導書】へと注ぎ込んだ。等価交換ルールで、手元にある魔石の数だけFランクの召喚獣カードをどんどん量産していく。
ストックしたカードの数だけ、私の最大体力や敏捷力、知力がメキメキと底上げされていく。五歳の幼女の肉体とは思えないほどのステータス補正だ。
解き放たれた実戦。洞窟の入り口から、体長一・五メートルのアーマーアントがカチカチと顎を鳴らしながら次々と湧き出てくる。
「みんな、いくよ! 召喚!」
私は量産したFランク召喚獣たちを次々に戦場へと呼び出した。
相手はオークと同じDランクの強敵。ミスリル以上でなければ切れない硬い鎧を持つアーマーアントに対し、さすがにFランクの召喚獣が正面から一対一で挑んでも、硬い鎧に攻撃を弾かれてダメージを与えることはできない。
だが、ハクスラにおいて重要なのは、個々の力ではなく「完璧なハメ連携」だ。
「ヤンマ、仕掛けて! ウルフは回り込んで!」
私の指示を受け、虫タイプのヤンマが超高速移動による【残像】を発動した。激しい残像で目を眩まされたアーマーアントが、平衡感覚を失ってゴロンと仰向けにひっくり返る。
鎧に覆われていない、唯一の弱点である「柔らかいお腹」が完全に露出した。
「今だよ、ウルフ!」
すかさず獣タイプのウルフが突撃し、鋭い爪で引き裂く【爪撃】をお腹の急所へと叩き込み、鋭い牙で噛みついていく。
ギチチッ、と短い悲鳴を上げてアーマーアントが絶命し、その場にDランクの魔石が転がった。
もちろん、戦いは常に理想通りにはいかない。アーマーアントのランクのほうが上であるため、鋭い顎でこちらの召喚獣がやられることが多い。
だが、私には【魔力無限(∞)】という最高のバグがあるのだ。
(やられたら、その瞬間に新しいカードを作って、すぐにまた召喚すればいいだけ!)
倒す、やられる、カードを作る、召喚する、また倒す。
この一連のサイクルを、私は一切の魔力枯渇のリスクなく、マシーンのように高速で回し続けた。パパやギルガ先生が「なんだあのゾンビ戦法は……」と呆気にとられているが、効率は抜群だ。
さらに、私は後方でただ見ているだけではない。ギルガ先生から教わっている魔力循環の足捌きを常に維持し、襲いかかってくる兵隊蟻の突撃を、私自身も小さな体で躙るように避け続けていた。
討伐してどんどん経験値が表示される中、銀色の文字でこの言葉が表示されていた。
【スキル『剣術』を獲得しました。】
(……えっ!? 今、スキルを獲得した……?)
私は目を丸くした。この世界において、スキルは神から与えられる「素質」だと思っていた。だが、私は今までに剣をたくさん振ったことによって、後天的にスキルを手に入れたのだ。
(なるほど……。神から与えられる固有能力のような上位スキルは無理だけど、国語や数学の学習と同じように、努力を重ねれば『剣術』のような基礎的なスキルだけは後天的にゲットできる仕組みになっているのね!)
経済学者としての考察がピタリとハマり、この世界のルールが一つ紐解けた。
そうしてハクスラサイクルと実戦検証をひたすら繰り返し、何百体目かのアーマーアントをハメ殺した、その時だった。
次々に流れてくるログの中に、また銀色の文字が現れた。
【召喚レベルが3になり、派生スキル『合成』が解放されました。Eランク召喚獣が解放されました。】
「召喚術のレベルアップ……! ついに3になったわ!」
私は興奮を抑えきれず、目の前に管理画面のウィンドウを出現させた。
前世が理系の研究者でもあった私は、この画面にまだ隠された仕様があるはずだと睨んでいた。今までなかったわけではないけれど、何かないかと探していたらタッチしてスクロールができることに気づいたのだ。小さな手で、ステータス画面をぐーっと一番下までスクロールしてみる。
(やっぱり……! 下に隠された表示があったわ!)
そこには、今まで表示されていなかった、各スキルの詳細な経験値ゲージが明確な数値で可視化されていた。さらに、新しく解放された派生スキル【合成】の仕様もクッキリと記載されている。
【派生スキル:合成】
仕様:現在召喚(カード化)されていない、Fランクの異なる2つのタイプを組み合わせ、魔石と対象の魔導カードを消費することで、新タイプの召喚獣を合成・生成する。
(なるほど、手持ちのカードと魔石を使って、新しい変異種をガチャのように検証できるスキルね。これは教え甲斐があるわ!)
何ヶ月かかるか分からない大討伐の途中で、私はとてつもない手応えを感じていた。新スキルの確認を終えた私の視界に、現在の私の最新ステータスが映し出される。
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【名前】アルカ・ルートハーバー
【年齢】5
【職業(素質)】無限術士
【レベル】27
【経験値】11万/300万
【体力】756+1000
【魔力】∞+1700
【攻撃力】482+300
【耐久力】482+400
【敏捷力】783+630
【知力】1132+345
【運】316+270
【スキル】召喚術〈3〉、合成〈1〉、共有、削除、次元統括〈1〉、万象真眼、守護結界〈1〉、風土豊盛〈1〉、統治統計〈1〉、剣術〈1〉
〇召喚レベル
・召喚 3
・合成 1
〇召喚スキル経験値
・召喚 0/1億
・合成 0/100万
〇召喚可能召喚獣
【変異種】 G
【 石 】 EF
【 獣 】 EF
【 虫 】 EF
【 鳥 】 EF
【 草 】 EF
【 ー 】 E
〇召喚ホルダー(全100枚)
【変異種】 計0枚 G0枚
【 石 】 計20枚 F20枚
【 獣 】 計30枚 F30枚
【 虫 】 計10枚 F10枚
【 鳥 】 計23枚 F23枚
【 草 】 計17枚 F17枚
【 ー 】
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「よし、この調子でどんどん魔石を集めて、召喚レベルも合成の検証も, 全力で進めましょう!」
私は転がるDランクの魔石を『次元統括』の収納空間に吸い込ませながら、ほんわかと、しかし不敵な笑みを浮かべた。大量の経験値と魔石を前に、私の最強のレベル上げはさらに加速していくのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
アーマーアントの巣を最高のレベル上げスポットに変えてしまったアルカちゃん、圧倒的なハクスラサイクルを回していましたね。
ヤンマの残像でひっくり返し、露出した柔らかいお腹にウルフが爪撃と噛みつきを見舞うハメ連携は見事でした。格上相手にやられることも多い中、魔力無限で即座に再召喚するゾンビ戦法には大人たちも呆気にとられていましたね。
今回は検証回としても非常に熱い展開でした。今までに剣をたくさん振ったことで基礎スキル『剣術』を後天的に獲得し、「努力次第で基礎的なスキルならゲットできる」という世界のルールを紐解いたのはさすが元教授です。さらに管理画面のタッチ&スクロールに気づき、隠されていたスキル経験値の可視化や、レベル3で解放された新工法ならぬ新派生スキル【合成】とEランク召喚獣の解放まで確認できました。
集まったDランクの魔石を元手に、ここからどんな新しいタイプの合成検証が始まるのか今からワクワクが止まりませんね!
「ヤンマとウルフのハメ連携がスマートで爽快!」「タッチ&スクロールで隠しステータスを見つけ出すアルカちゃんが賢くて可愛い!」「新スキル【合成】のガチャ検証が楽しみ!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




