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【いせけい】 元女性教授の異世界開発経済学 〜神界のスロットで魔力無限を引き当てたので、最強スキルの組み合わせで快適な領地経営を始めます〜  作者: つむ教授
第一章 最強スキル、領内の改革【前編】

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第四十四話 深まる信頼と、動き出す子爵領の未来

お読みいただきありがとうございます。つむ教授です!


第43話『初めての授業と、底知れぬ幼女のポテンシャル』では、新しくやってきた二人の家庭教師との本格的な授業がスタート。ヴィンセント先生の出す入学レベルのテストを難なくクリアし、ギルガ先生の魔力操作訓練では底知れない魔力の片鱗を見せつけて度肝を抜きました。


今回の第44話では、授業開始から一週間が経過し、お勉強がさらにステップアップします。


ヴィンセント先生からは学園の上級生レベルの複雑な問題を突きつけられ、午後からはギルガ先生による過酷な実践訓練が始まります。厳しいプロの洗礼に、アルカがどう立ち向かっていくのか。さらに夕方には、最高の右腕シェラやルークが集まり、いよいよ領地の次なる展開に向けたワクワクする会議が始まります。お勉強をしながらの領地経営をどうぞお楽しみください!

家庭教師の先生方による本格的な授業が始まってから、一週間が経過した。


ルートハーバー子爵邸の書斎には、毎朝、カリカリとペンが紙を滑る心地よい音と、ヴィンセント先生の冷徹な声が響いている。


「アルカ様、基礎的な四則演算や国語の読み書きは完全にマスターしているようだな。ならば今日からは、学園の上級生が学ぶレベルの応用問題に移行する。単なる計算ではなく、領地における物資の流通や、税収の計算を含んだ実践的な文章題だ。じっくりと考えて答えなさい」


ヴィンセント先生が差し出してきた問題用紙には、複雑な条件がいくつも書き連ねられていた。


『ある村で冷害が発生し、収穫量が三割減少した。隣領から食糧を買い付ける際、関税と移動にかかる馬車の費用を考慮し、領民一人あたりの配給量を維持するためには、いくらの予算を動かすべきか』


この問題は学園の上級生であっても頭を抱えるような、かなり実務に近い内政問題だ。


だが、前世で開発経済学の教授だった私からすれば、これはまさに専門分野そのものだった。


現在のルートハーバー領の物価、周辺の街道のインフラ状況、工程を頭の中で瞬時に組み合わせる。


(関税の割合がこれなら、街道の整備状況を考えて輸送コストはこのくらい。なら、補正予算はこの額が最適解ね)


私は小さな手でペンを握り進めると、淀みなく数式と解答を書き進めていった。


「……終わりました、ヴィンセント先生」


「何だと……? いくら何でも早すぎる。応用問題の意味を理解していな――」


ヴィンセント先生は不機嫌そうに問題用紙を取り上げたが、そこに書かれた解答に目を落とした瞬間、ピシリと身体を硬直させた。


「……素晴らしい、どころではないな。単に計算が合っているだけではない。物資が動く際のロジスティクス、つまり輸送経路の無駄まで計算に入れ、最も領地の損害が少なくなる完璧な予算案が出されている。アルカ様、あなたは数字の裏にある『物資と人間の動き』がすべて見えているというのか……?」


ヴィンセント先生は眼鏡の奥の鋭い瞳を大きく見開き、信じられないといった様子で私を凝視した。


「パパやルークがいつも頑張って領地を動かしているので、お話を聞いているうちに覚えたんです」


私がほんわかと微笑みながらそう答えると、ヴィンセント先生はふっと表情を和らげ、冷徹な口調のまま、どこか誇らしげに語尾を整えた。


「よろしい。どうやら私の想像を遥かに超える器のようだ。ならばこちらも手加減は一切不要だな。明日からはさらに高度な、数理モデルを教える。しっかりついてきなさい」


「はい!」


冷徹なエリート教師の瞳に、見たこともないような熱い教育の炎が灯るのを見て、私は嬉しくなった。


そして午後からは、裏庭でのギルガ先生による武術の授業だ。


「よし、アルカの嬢ちゃん! 午後は体を動かすぜ。魔力操作の感覚は掴んだな? だったら次は、その魔力を常に全身に流したまま、俺のステップに合わせて動く訓練だ。サバイバル戦術の基本中の基本、敵の攻撃を最小限の動きで躙る足捌きだ。いくぞ!」


ギルガ先生が巨体に似合わない俊敏な動きで、芝生の上を滑るようにステップを踏む。


「はいっ!」


私は小さな足を必死に動かし、先生の背中を追った。


しかし、私の肉体はまだ五歳の幼女だ。筋力も体力も圧倒的に足りていない。


数分も走り回れば、すぐに足が鉛のように重くなり、呼吸が激しく荒くなっていく。


「はぁ、はぁ……っ」


「ガハハ、キツいだろ! そこでへばるならいつでも休んでいいぜ?」


ギルガ先生がニカッと不敵に笑う。


だが、ここで諦めるわけにはいかない。私には四月の学園入学が迫っているし、何より私にとって自分の身を守る最低限の力が必要なのだ。


(まだいける……! ギルガ先生が言った通り、魔力を常に体の中に流しんだ……!)


私は奥歯を噛み締め、体内の魔力をさらに激しく循環させた。


私の莫大な魔力が、小さな筋肉や関節の細胞ひとつひとつに染み渡り、肉体的な疲労を強引にカバーしていく。


足の重さがフッと消え、視界がクリアになる。


「――お?」


ギルガ先生が驚いたように眉を上げた。


へばるどころか、さらに速度を上げて自分のステップにしがみついてくる五歳児の姿に、元Aランク武術家の目が細められる。


「おいおい、本当に大した根性だ。それに、魔力循環を肉体の強化に回すコツを、一週間でもう我が物にし始めてやがる。本当に末恐ろしい嬢ちゃんだぜ……!」


夕方、訓練が終わる頃には全身汗だくだったが、なんとか最後までメニューをやり遂げることができた。


「ありがとうございました、ギルガ先生!」


「おう! 嬢ちゃんのその根性、気に入ったぜ。明日からはさらに実戦に近い身のこなしを叩き込んでやるからな!」


ギルガ先生は豪快に笑いながら、私の頭を大きな手でガシガシと撫で回した。


こうして、二人の優秀な家庭教師による容赦のない英才教育の日々は、私にとって最高に充実した時間へと変わっていった。


授業を終えて部屋に戻ると、待っていたのは最高の右腕であるシェラと、物資管理を担うルークだった。二人の前には、冬の間に『薪』を売りさばいて得た莫大な利益の計算書と、領地の新しい地図が広げられている。


「アルカ様、お疲れ様です。薪の経済効果による子爵への昇爵、改めておめでとうございます。これで我がルートハーバー家の資金力は、以前の数倍に膨れ上がりました」


シェラが固有能力【国家財務(マクロ・ファイナンス)】の光を宿した瞳で、凛とした笑みを浮かべる。


「これでいよいよ、残りの六割の開拓……春からの本格的なインフラ投資と新しい産業の開発に着手できますね。ルーク、物資の準備はどう?」


「いつでもいけるよ。アルカ様の指示通り、建築職人のロイの工房や、木こりのジャックのチームとも連携はバッチリだ。さらに、今の段階でできるところから、もう新しい城壁を作り始めているよ。防御陣地の構築も順調さ」


ルークが【市場看破(トレード・ビジョン)】のスキルを光らせながら頼もしく頷く。


家庭教師の先生方から学ぶ高度な知識、そして過酷な環境に耐えるための体力。そのすべてが、これからの領地経営に直結していく。


「シェラ、ルーク、ありがとう。さあ、残り六割の開拓も一気に進めましょう!」


私は小さな拳をぎゅっと握り、二人に負けない最高の笑顔を浮かべた。お勉強と開拓の両立という、新しい挑戦の日々がいよいよ加速していくのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


家庭教師の先生方による授業初日、アルカちゃんの規格外っぷりがさっそく炸裂しましたね。


ヴィンセント先生が出した学園入学レベルの試験問題をスラスラと解いて驚愕させ、午後にはギルガ先生の補助を受けながら、内に眠る圧倒的な魔力量の片鱗を見せつけて冷や汗を流させました。冷徹なヴィンセント先生も豪快なギルガ先生も、アルカちゃんの才能を前に驚きながらも、完全に教え甲斐を感じてやる気に火がついているのが最高に格好良かったです。未履修の歴史が白紙だったのも五歳児らしくて愛らしかったですね。


ここから始まる英才教育と、残り六割の領地開拓の両立が、一体どんな素晴らしい経済効果を生み出していくのか今から本当に待ちきれませんね!


「ヴィンセント先生の冷徹な命令形が最高にシビれる!」「どれだけ大変でも頑張っているアルカが最高!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!


次回もどうぞお楽しみに!

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