第三十九話 Fランク召喚獣の能力と、流れるような連携
お読みいただきありがとうございます。つむ教授です!
第38話『初めての魔獣討伐と、異次元のスピード』では、未開拓の魔獣の森の入り口へついに到着。現れた野生のスライムに対し、百体の召喚獣の重複加護を宿したアルカが異次元のスピードで一撃討伐を達成! 5歳児とは思えない圧倒的な身のこなしにプロの冒険者たちが顎を外して驚愕し、視界には「レベルが1上がりました」のステータス画面が浮かび上がりました。
今回の第39話では、手前側の安全を確保するため、アルカが新しく加わったFランクの仲間たちの能力をいよいよ実戦でお披露目します!
さらに、クラウス、エレナと昔パーティーを組んでいた冒険者の名前が明らかに!?
宙に浮かんだ魔導書をめくり、次々と仲間たちを召喚していくアルカ。それぞれの役割をしっかりと活かして魔獣の群れを次々と無力化していく、一分の隙もない見事な戦闘をどうぞお楽しみください!
スライムを討伐してレベルが上がった後、私たちはさらに鬱蒼とした森の奥へと歩みを進めていた。
街の一番近くで待機している木こりたちが安全に伐採作業を進めるためには、まずこの手前側のエリアに潜む魔獣たちを完全に一掃しなければならない。
「よし、ここからは召喚獣の能力を見てみましょう!」
私は胸を高鳴らせながら、宙に浮かんだ【魔導書】のページをめくった。
「まずは空からの索敵よ。――召喚術、イーグル!」
私の掛け声とともに、魔導書から柔らかな光が放たれ、鋭い嘴と強靭な翼を持つ大鷲が私の頭上へと飛び出した。
「イーグル、【鷲の目】!」
私が指示を出すと、イーグルは強靭な翼を大きく羽ばたかせて薄暗い森の上空へと鋭く舞い上がった。
しばらくして、上空での索敵を終えたイーグルが私の元へと戻ってきた。イーグルは頭上の枝に止まると、笛のようにピューッと高く澄んだ声を響かせ、特定の方向を嘴で指し示して円を描くように飛び回った。
召喚獣同士の意思疎通を通じて、イーグルが見つけた魔獣の気配が私の元へと明確に伝わってくる。
(なるほど、この先に魔獣の群れが隠れているのね。木々が鬱蒼としていて、ここから正確な数はまだ見えないけれど……確実に何かが潜んでいるわ)
「パパ、ルーク、みんな! この先の右側の茂みと、そのさらに奥に魔獣の反応があるわ!」
私がイーグルの案内をもとに注意を促すと、周囲を固めるプロの冒険者たちが驚愕に目を見開いた。
「おいおい、木々が遮ってここからは何も見えないっていうのに、そんな正確な位置がわかるのかよ!?」
「常識的に考えてあり得ねえ索敵精度だ……!」
冒険者たちがザワつく中、私は間髪入れずに次のカードへと指をかけた。
「奇襲される前に、こちらからお掃除しちゃうわよ。――召喚術、ウルフ!」
今度は私の足元に、気高き灰色の狼が音もなく実体化した。
「ウルフ、【爪撃】!」
「グルルァ!」
ウルフは低く唸るような声を漏らすと、大地を蹴って凄まじいスピードで突撃していった。
ガサガサッ、ギャッ!?
茂みの奥から、ゴブリンたちの短い悲鳴が響き渡る。ウルフは個体能力である【爪撃】の鋭い一閃を次々と繰り出し、木々の隙間を縫うように疾走しながら、ゴブリンたちを一瞬でお掃除していった。その圧倒的な戦闘効率に、冒険者たちは言葉を失って固まっている。
「ウルフがゴブリンを全滅させたわ! だけど、奥からさらに大きいのが怒ってこっちに向かってくる!」
ズシン、ズシンと、地響きを立てて三体の大型オークが巨木をなぎ倒しながら突撃してきた。正面からの突進をまともに喰らえばひとたび大惨事だが、回り込んで背後や側面から攻撃を仕掛けられれば、Eランクの冒険者でも十分に倒せる相手だ。しかし、この鬱蒼とした狭い森の通路で正面から突っ込んでこられると非常に危険だ。
「私たちの邪魔はさせないわ。――召喚術、ストーン!」
私の前に実体化したのは、片手に大きな盾を持った重厚な石の人形だ。
「ストーン、【硬化】!」
ストーンは個体能力である【硬化】を発動し、その巨体をさらにカチカチの頑丈な石壁へと変化させた。そこへ、オークの力任せの体当たりが激突する。
ドゴォォォンッ!
激しい衝撃音が森に轟いたが、なんとストーンは傷一つ負わずにその場にガッチリと仁王立ちし、オークの猛烈な突進を完全にその場で受け止めてみせた。
「嘘だろ……Dランクのオークの突進を真っ向から止めてびくともしないなんて、どんな硬度をしてやがるんだ……!」
冒険者たちが驚愕の声を上げる中、オークたちは完全に動きを止め、体勢を崩している。私はその完璧な隙を見逃さなかった。
「最後はあなたよ。――召喚術、ヤンマ!」
頭上に出現した巨大なトンボのヤンマが、美しい羽をパタパタと超高速で羽ばたかせた。
「ヤンマ、敵の動きを封じて!」
ヤンマは個体能力である【残像】を発動。目にも留まらぬ超高速移動を開始し、オークたちの周囲をぐるぐると旋回する。
「グガッ……!? グ、ルゥ……」
完全に目を眩まされたオークたちは、混乱してその場に立ち尽くし、完全に行動不能の状態に陥った。正面からの脅威が完全に消失し、ただの無防備な標的へと成り下がっている。
索敵、攻撃、防御、そしてデバフ。これ以上ない完璧なまでの召喚獣たちの連携だ。
「パパ、今よ! 動きの止まったオークたちを倒して!」
私の頼もしい号令に、それまで呆気に取られていたパパが我に返り、ニヤリと力強い笑みを浮かべた。
「よしきた! アルカがここまでお膳立てしてくれたんだ、行くぞ、お前たち!」
「おう、応戦するぞ!」「この隙を逃すな!」
パパとプロの冒険者たちが一斉に武器を構えて突撃し、ストーンは3体ともやられたものの、側面から隙だらけになったオークたちを一瞬で手際よく討伐することに成功した。
【初めてEランク魔獣を討伐しました。経験値を50ゲットしました。】
【初めてDランク魔獣を討伐しました。経験値を200ゲットしました。】
【ゴブリンを1体討伐しました。経験値を100ゲットしました。】
【ゴブリンを1体討伐しました。経験値を100ゲットしました。】
【ゴブリンメイジを1体討伐しました。経験値を150ゲットしました。】
【ホブゴブリンを1体討伐しました。経験値を200ゲットしました。】
【ホブゴブリンを1体討伐しました。経験値を200ゲットしました。】
【ゴブリンメイジを1体討伐しました。経験値を150ゲットしました。】
【ゴブリンメイジを1体討伐しました。経験値を150ゲットしました。】
【オークを1体討伐しました。経験値を250ゲットしました。】
【オークを1体討伐しました。経験値を250ゲットしました。】
【オークを1体討伐しました。経験値を250ゲットしました。】
【レベルが6上がりました。】
あのステータスがまた出てきた。しかも盛りだくさん!
(召喚獣が戦っても経験値が入るみたいね。それにとどめを刺していなくても経験値はもらえるみたい。)
倒した魔獣たちの残骸はみるみる空気中へと溶けていき、その場にはオークのDランク魔石が3つと、ゴブリンのEランク魔石が7つ、そしてオークの毛皮と何やら丸い物が出てきた。
「これは魔核といって、錬金術の材料になるものですよ。」
そう教えてくれたのは、今回同行してもらっているBランク冒険者で拳闘士のキースだった。
昔クラウス、エレナとパーティーを組んでいたもう一人の人で、今はソロで活躍しているらしい。
それはさておき、落ちている魔石や毛皮をルークが手際よく回収していく。
「完璧です……。索敵から無力化まで、一分の隙もない見事な経済的戦闘です。アルカ様、これなら安全を完全に担保したまま、爆速で開拓を進められます!」
ルークが回収した魔石を数えながら、その完璧な効率化に深く感動して震えている。
「ええ、手前側の安全は完全に確保できたわ! 木こりの皆さん、ここから順番に木の伐採をお願いします!」
私の指示を受け、遠くで待機していた木こりたちが元気よく斧や鋸を手に動き出す。
(ふふ、5年くらい掛かりそうな魔獣の森の開拓を1年くらいに縮める、マクロ経済学の拡大再生産サイクルがいよいよ本格的に回り始めたわね。手に入った魔石で、また新しい召喚獣をストックしていきましょう!)
秋の心地よい涼風が吹き抜ける未開拓の森で、私は新しく加わった頼もしい仲間たちの実力に確かな手応えを感じ、次なる領地改革の成功に向けて、ほんわかと不敵に微笑むのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
イーグル、ウルフ、ストーン、ヤンマによる見事な役割分担によって、オークたちをあっさりと無力化していく姿には、これぞ最高のカタルシスがありましたね。
正面から受けなければEランクでも倒せるオークですが、完璧に動きを止めた隙に、パパやキースのようなプロの冒険者たちも突撃してくれました。
「召喚獣たちの流れるような見事な連携が凄すぎる!」「これからの開拓の進展が気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




