第二十九話 赤茶色の新メンバーと、召喚術のレベルアップ
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第28話『広がる快適な歩道と、材料ゼロの土魔法』では、夏の炎天下と温泉の熱気によって東西通りが地獄サウナ状態に! 領民たちが暑さと霧で困り果ててしまう中、ミントが夏にぴったりの特製「夏野菜の冷製パスタ」を差し入れ。冷たいパスタで涼を取りながら、アルカの頭脳が爆速で解決策を組み立て、モカの材料不要な『土魔法』によって側溝を一瞬で完璧に石蓋で密閉し、パニックを最高の快適インフラへと昇華させました。
第29話の舞台は、その大解決の直後、領主邸へと戻ってきたところから始まります。
東西通りの排水ルートを完璧にクリアし、いよいよ東横の広大な空き地に温泉施設を建てる『建築』の工程へと進むアルカ。
パパやママからの頼もしい全面バックアップを受け、アルカがリビングのど真ん中で次なる召喚術を敢行した瞬間、神級スキルに驚くべきレベルアップのバグ仕様がもたらされることに――!
モカの材料不要な神業によって、全長10kmに及ぶ『ルートハーバー東西通り』のすべての側溝が平らな石蓋で完璧に密閉され、地獄サウナだった大通りは一転して、夏の爽やかな風が吹き抜ける最高に涼しくて快適な道へと進化した。
視界がクリアになり、歩道が広くなった大通りで領民たちの歓声が響き渡る中、私は領主邸に戻ると、パパとママの前にちょこんと座ってまともな相談を持ちかけた。
「パパ、ママ、あのね! 領主邸のすぐ東横にある、あのひろーい空き地の下ね、深さ10mのところに、すっごくたくさんの『温泉』があるの! だから、そこに最高の温泉施設を作りたいの!」
私の可愛い声での提案を聞いたパパとママは、もう以前のように顎を外して石化したりはしなかった。昨日までの私の数々のインフラ改革を間近で見てきたからこそ、父親として、母親としてのまともで頼もしい信頼の表情を私に向けてくれたのだ。
「アルカが暴き出した資源なら間違いなく本物だな。よし、ルートハーバー家として全面的にその建築プロジェクトをバックアップしよう。街から優秀な大工や建築職人を募る手配は、パパが責任を持って引き受けるよ」
「ええ、アルカ。お母様たちも、あなたのために最高の温泉施設ができるのを全面的に応援するわ。予算や書類の手続きも、新しく入ったシェラやルークたちと一緒にすぐに進めましょうね」
頼もしい親の顔で全面的に承認し、バックアップを約束してくれたパパたち。
シェラやルークたち内政チームが、さっそく次の建築書類や予算の手続きを組み立てるため、パパたちの隣で頼もしく動き出す。
私はその姿を見届けながら、次なるインフラの工程を前世の頭脳で完璧に計算し始めていた。
(温泉の排水ルートは、さっきモカが作った東西通りの蓋で100%完璧にクリアしたわ。次はいよいよ、東横の広大な空き地にまともな温泉施設を建てる『建築』の工程よ。だったら、木材を自由自在に加工して、建物を爆速で進めてくれる新しい仲間を呼び出しましょう!)
すべての仕込みのタイムラインを脳内で繋ぎ合わせた私は、リビングのど真ん中で床に向かって小さな手をそっとかざした。パパとママ、そしてシェラたちが見守る中、私は新たな仲間を迎えるために、力強く声を響かせる。
「――召喚術!」
スキルが発動し、リビングの全体が視界を遮るほどの眩い光の渦に包まれていく。
その激しく輝く光の中心で、私の脳内に神のシステムアナウンスが響き渡り、サモンスキルのレベルアップが告げられた。
同時にステータス画面のような物に銀色の文字でこう書かれていた。
【召喚レベルが2になりました。召喚術の新能力が解放されました。Fランク召喚獣が召喚可能になりました。】
光がゆっくりと収まった床の上に現れたのは、スノウ、モカ、オアゲに続く、待望の4体目のカラーコンビだった。
異世界ならではのバグ変異種として生まれたその子は、モカの土っぽい焦げ茶色とは完璧に見分けがつく、建築のプロにふさわしい温かみのある鮮やかな赤茶色の毛並みを持った、最高に愛くるしいビーバーだった。
「ビー!」
新しく生まれたその子は、器用に短い手先を動かして私に挨拶をしてくる。私はその愛らしさに微笑みながら、5歳児らしい無邪気な笑顔でその子の名前を決定した。
「レンガ色だから、きみの名前は『レンガ』よ!」
可愛い名付けに、レンガは嬉しそうに平らな尻尾を床にパタパタと打ち付けて喜んでいる。
私はごくりと唾を呑み込み、スキルを発動させてレンガのステータス画面を看破した。
(――万象真眼――)
目の前に半透明のウィンドウが出現し、私の学者脳はその完璧な建築特化のバグステータスに、不敵な笑みを深く刻み込んだ。
『種族:建築栗狸 ※変異種』
『ランク:G』
『個体能力:【木材工作】』
『スキル:【高速建築】【乾燥加工】』
(……素晴らしいわ! どんな硬い木材でも一瞬でミリ単位の狂いなく切り出し、スキルで一瞬にして水分を飛ばした『乾燥木材』へと変質させ、パズルのように爆速で頑丈な建物を形にする完全な建築特化のバグ召喚獣じゃない!)
温泉の湿気や湯気でも絶対に腐らない最強の建材を一瞬で作れる神スキルの並びに、私は内心で大喝采を送っていた。
だが、本当の衝撃は、レベル2になった私の召喚術スキルの恐るべき新機能を確認した瞬間に訪れた。
(ちょっと待って……これ、いつでも一瞬で召喚獣たちを魔導カードとしてホルダーに入れておいて出したいときにカード化して出し入れできるだけじゃないわ。半径100m以内の見える場所ならどこにでも自由に召喚可能で、何より、同じ召喚獣を同時に複数、何頭もの軍団として一斉に生成して同時に使役できるようになったの!?)
私の学者脳が、その新機能がもたらす圧倒的な工程管理の効率を爆速でシミュレーションする。
これまでは、手のひらサイズの可愛いモカが1匹で頑張って10kmの道路を舗装していたが、これからは、半径100m以内で目の届く範囲であれば、モカやレンガの軍団を一斉に何十頭も同時召喚して、大規模なインフラ工事を同時並行で一瞬で行うことができるのだ。
(ふふ、この能力があったら、温泉施設の建設だけじゃなく、これからの領地全体のインフラ改革がより早く終わるわね)
4体の見事なカラーコンビと、新しく加わった頼もしい天才チームを前に、私はのんびり快適な暮らしをさらに完璧にするための次なる展望を胸に描き、心の中でニヤリと笑うのだった。
第29話をお読みいただき、ありがとうございました!
東西通りの大パニックを爆速で解決し、パパとママへ「東横の空き地に最高の温泉施設を作りたい!」とまともな相談を持ちかけたアルカ。
パパたちもこれまでの実績からアルカを100%信頼し、領主として大工や建築職人を募る手配を全面的にバックアップしてくれる流れ、親子の絆と領地経営のリアリティがあって本当に頼もしかったですね。
正式に、建築工程を爆速で進めるためにリビングのど真ん中で敢行された、4体目の召喚術。
眩い光の中から誕生したのは、モカの焦げ茶色とは完璧に見分けがつく、温かみのある鮮やかな赤茶色の毛並みを持った建築栗狸の『レンガ』でした!
5歳児のアルカが「レンガ色だからレンガ!」と無邪気に直球で名付ける愛らしさと、「ビー!」と元気に挨拶する姿が最高にキュートです。
ですが、その中身を看破すると、どんな硬い木材でも一瞬でミリ単位の狂いなく切り出す【木材工作】に加え、水分を一瞬で飛ばす【乾燥加工】に【高速建築】という完全な建築特化のバグステータス。温泉の湿気や湯気でも絶対に腐らない最強の建材を一瞬で作れてしまうあたり、これからの温泉施設建設の無双ぶりが今からワクワクしますね。
さらに、レンガの誕生と同時にアルカの召喚術スキルのレベルアップ!
いつでも一瞬でカード化して出し入れできるようになり、半径100m以内の見える範囲ならどこにでも自由に召喚可能、そして何より同じ召喚獣を同時に複数、何頭もの軍団として一斉に生成して同時に使役できるという、凄まじいバグ仕様が判明いたしました。
これからはモカやレンガの軍団を一斉に同時召喚して、大規模なインフラ工事を同時並行で一瞬で終わらせることができるという、前世の頭脳を持つアルカにとってこれ以上ない最高のチート進化となりました。
「この能力があったらより早く終わるわね」と不敵にほくそ笑むアルカ。
次回、第30話。
ついにレンガの爆速建築チートと、進化した複数サモン能力が火を噴く!
東横の広大な空き地に、誰も見たことがない前代未聞の極上温泉施設が爆速で組み上がっていく新章が開幕いたします!
「レンガちゃんの『ビー!』という鳴き声が可愛すぎる!」「複数召喚可能になった召喚術のレベルアップに鳥肌が立った!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




