第二十八話 広がる快適な歩道と、材料ゼロの土魔法
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第27話『爆速の温泉掘削と、白い湯気のパニック』では、広大な空き地でモカが温泉を爆速掘削! 見事に極上温泉を掘り当てたものの、まだ建物も湯船も何一つできていないフライング状態だったため、お湯が周囲に溢れ出すやらかしが発生してしまいました。
しかし、第18話でモカが作っておいた大幹線道路の側溝へと温泉が綺麗に流れ込み、領主邸の水没は大回避! ……と思いきや、ドバババ流れる熱いお湯のせいで、全長10kmの東西通り全体からもの凄い白い湯気がモクモクと立ち込め、大通りが一瞬でサウナ状態の濃霧に包まれて領民たちが困り果ててしまいます。
第28話の舞台は、その湯気パニックの現場から始まります。
厨房から戻ってきたミントが抱える、夏にぴったりの美味しい特製差し入れ。そして大通りで困っている領民たちのために、アルカとモカが仕掛ける、材料すら必要としない圧倒的なバグインフラ工事をぜひお楽しみください!
「みんなー! 夏の日差しに負けないように、新鮮な夏野菜をふんだんに使った特製の冷製パスタを作ってきたよー!」
一面に立ち込める真っ白な湯気の中から、厨房へ戻っていた13歳のミントが、最高に美味しそうな匂いとともに大きなお鍋を抱えて戻ってきた。
大通りを流れる温泉の川と、そこから爆発的に吹き出す湯気の熱気に目を丸くしながらも、ミントはテキパキと全員分の器に料理を盛り付けていく。
私は、シェラやルーク、マイヤやニーナたち内政チームと一緒に、その冷たくてみずみずしい夏野菜の冷製パスタをみんなで美味しく頬張り始めた。
口の中に広がるトマトやキュウリの爽やかな酸味と冷たさが、体の中にこもった熱を一瞬で引かせてくれる。最高の差し入れだ。
美味しい料理を味わいながらも、私の頭脳は、大通りで起きているパニックを解決するために爆速で回転を始めていた。
(ただでさえ夏の日差しが照りつけて暑いのに、全長10kmにわたる東西通りの側溝からこれほど熱い温泉の湯気が吹き出したら、大通り全体が地獄のサウナ状態になって領民たちが暑さで困り果てちゃうわね。視界不良だけでなく、このままじゃ熱中症のボトルネックまで発生してしまうわ。だったら、側溝の上に完璧に噛み合う石の蓋をして、湯気と熱気を100%地下に閉じ込めましょう!)
明確な温泉インフラの展望を組み立てた私は、パスタを綺麗に平らげると、足元で誇らしげに胸を張っているモカを見つめた。
「モカ、お仕事のお手伝いをお願いね! あの大きな道の溝の上に、ぜんぶ綺麗に石の蓋をポンポンってはめていってほしいの!」
私の可愛い声でのおねがいを受けて、右の肩の上へと戻ったモカが「きゅきゅっ!」とやる気満々に鼻を鳴らした。
そこから始まったのは、材料すら何一つ必要としない、モカの『土魔法』による圧倒的なチート無双だった。
モカは領主邸の正門前から、東西通りの側溝に沿って、もの凄いスピードでタカタカタカッと駆け抜けていった。
外部から運んでくる石材なんて一切不要。モカがちっちゃな前足で大地の土をカチカチカチッと叩くたび、大地そのものの岩や土の成分が一瞬で変質し、側溝の上に平らで美しい石の蓋が自動生成されて、一寸の狂いもなく次々とはめ込まれていく。
まるで精密な機械が爆速でパズルを組み立てていくかのように、10kmに及ぶ大幹線道路の側溝が、ものの数分という信じられない速さで完璧に密閉されていったのだ。
その瞬間、東西通りのすべての側溝に石蓋がセットされ、大通りを覆っていた熱くて白い湯気が一瞬にして完全に消失した。
熱気が地下へと完全に閉じ込められたことで、地獄サウナのようだった大通りは一転して、夏の爽やかな風が吹き抜ける最高に涼しくて快適な道へと戻った。
さらに、側溝に蓋が閉じたことで、側溝の幅の分だけ『歩道が劇的に広くなる』という、歩行者環境における素晴らしい副産物まで生まれたのだ。
「おお……! 暑い煙が一瞬で消えたぞ……っ!?」
「前がハッキリ見える! それに、歩ける場所が広くなってめちゃくちゃ歩きやすいぞ!」
「領主様は仕事が早くて助かる!」
暑さと霧で困り果てていた領民や馬車乗りたちは、一瞬で視界がクリアになり、涼しく広くなった大通りを見て、まともな大絶賛と感謝の声を全土で爆発させた。
領民たちのルートハーバー男爵家への信頼が、全土でさらに限界突破していく。
(ふふ、材料ゼロの爆速土魔法で、やらかしの余波を一瞬で最高の快適歩道に変えちゃったわね。モカ、きみは本当に優秀な土木工学の専門家だわ)
遠くから響いてくる領民たちのまともな感謝の声を心地よく聞きながら、私は足元に戻ってきたモカを抱き上げ、お部屋へ戻るために14歳のシェラと17歳のルークを振り返った。
「シェラ、ルーク、大通りの湯気は解決したよ! 排水ルートも完璧だし、次はいよいよ、東横の空き地にまともな温泉施設を建てる準備を始めましょう!」
「はい、アルカ様! 側溝の蓋でこれほど領民の支持が集まったのですから、建築に必要な職人や人道的な人員の募集はすぐに集まります。すぐに次の内政書類を組み立てますね!」
「予算と物資の管理は僕に任せてください! 一円の無駄もなく、最高の温泉施設を建ててみせます!」
私の言葉に、シェラとルークが頼もしい知的な笑顔を浮かべて力強く頷く。
3体のカラーコンビと、湯気の中でまともで優秀に笑う最高の右腕たちを前に、私はやらかしを最高のチャンスに変えた満足感とともに、心の中でニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
第28話をお読みいただき、ありがとうございました!
夏の炎天下と温泉の熱気によって地獄サウナ状態になってしまった東西通り。
そんなパニックの現場に、13歳のミントちゃんがみずみずしい「夏野菜の冷製パスタ」を届けてくれました! トマトやキュウリの爽やかな酸味と冷たさで体を潤しながら、脳内で爆速で解決策を組み立てるアルカ、本当に格好良かったですね。
そして始まった、モカの『土魔法』による圧倒的なチート無双。
外部から運んでくる石材などの材料なんて一切不要で、ちっちゃな前足で大地の土をカチカチと叩くだけで、大地そのものの成分が一瞬で変質して美しい石の蓋が自動生成され、次々とはめ込まれていく描写は爽快感マックスでした!
10kmに及ぶ側溝がものの数分で完璧に密閉され、熱い湯気が一瞬で完全に消失。夏の爽やかな風が吹き抜ける涼しい大通りへと戻っただけでなく、蓋が閉じたことで歩道が劇的に広くなるという最高の副産物まで生み出してしまいました。
これには暑さで困り果てていた領民や馬車乗りたちも、「最高の領主様だ!」とまともな大絶賛と感謝の声を全土で爆発させていましたね。
工程管理のフライングというやらかしを、材料ゼロの爆速土魔法で一瞬にして最高の快適歩道へと変え、ルートハーバー家への絶対の信頼へと昇華させたアルカの手腕、さすがです。
排水ルートも完璧になり、領民の支持もさらに集まったことで、次回はいよいよ東横の空き地にまともな温泉施設を建てるための、本格的な建築プロジェクトが始動いたします!
「ミントちゃんの夏野菜の冷製パスタが最高に美味しそう!」「材料なしで石の蓋を自動生成するモカちゃんの魔法が凄すぎる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




