第二十七話 爆速の温泉掘削と、白い湯気のパニック
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第26話『極秘の作戦会議と、温泉開拓の計画』では、お部屋に戻ったアルカがシェラとルークを極秘裏に呼び寄せ、地下10mの温泉データを共有。14歳のシェラが床暖房までを見据えた計画書を爆速でまとめ、17歳のルークが一円の狂いもなく人件費や道具の予算を弾き出し、最強の内政チームが初日から完璧な歯車として噛み合いました。
第27話の舞台は、その面接直後の別室から始まります。
選ばれた5人を前に、まだ半信疑でガタガタと震えているパパとママ。
そこでアルカが『万象真眼』を発動した瞬間、彼らが隠し持っていた「誰も見たことがない異常な固有能力とスキルの全貌」が、次々とシステム画面に映し出されることに――!
王宮の一流使用人すら置き去りにする天才たちのステータスと、パパママの三度目の完全石化をぜひお楽しみください!
極秘の作戦会議を終えた私は、左の肩にスノウ、右の肩にモカ。そして足元をトコトコ歩くオアゲの最強のカラーコンビを引き連れて、さっそく領主邸のすぐ東横にある広大な空き地へとやってきた。
私の後ろからは、完璧な建設計画書を小脇に抱えた14歳のシェラと、予算の計算を終えた17歳のルーク、そして現場のサポートを任された15歳のマイヤと10歳のニーナが、頼もしい表情でついてきている。
13歳のミントは、働くみんなのための特製差し入れを作るために厨房へと向かっていた。
夏の日差しが照りつける広々とした空き地の真ん中に立ち、私は右の肩に乗っていたモカをそっと両手で抱き上げて、目の前の地面へと優しく降ろした。
(よし、モカ。さっきシェラたちが作った建設計画書の通りに、まずは深さ10mまで垂直にまっすぐ掘り進めてもらえるかしら?)
私が頭の中で温泉施設の展望を描いて伝えると、モカは「きゅきゅっ!」とやる気満々に鼻を鳴らし、ちんまりとした前足で土の地面にそっと触れた。
そこからは、まさに神業だった。
モカが『土魔法』を発動させて前足で地面を「カチッ!」と叩いた次の瞬間、もの凄いスピードで土が綺麗に圧縮されて排除され、一瞬にして直径数m、深さ10mの完璧な垂直の巨大な大穴が完成したのだ。
あまりの掘削能率の高さに驚く間もなく、大地の底からゴゴゴゴゴ……と地鳴りのような重低音の響きが伝わってきた。
直後、湯気を立てた大量の極上温泉が「ドババババッ!」と凄まじい勢いで地上へと噴き出してきたのだ。
掘削自体は大成功であり、モカは誇らしげに短い尻尾をパタパタと振って胸を張っている。しかし、湧き出すお湯の量が想像を遥かに超えていたため、私の顔から一瞬で血の気が引いていった。
(……ちょっと待って。モカの掘削能力が高すぎて、ものの数秒で温泉を出しちゃったけれど、これって完全に私の計算違い(やらかし)じゃない!?)
前世の生産管理理論が、私の脳内でけたたましく警報を鳴らし始める。
そうなのだ。現在はまだ、温泉施設としての建物はもちろん、お湯を溜めておくための湯船も、溢れたお湯を逃がすための配管も「何一つできていない」状態なのだ。
採掘という土木の能率が良すぎて、建築というインフラのタイムラインを完全に追い越ししてしまっていた。
ドバドバと勢いよく溢れ出た大量の温泉は、広大な空き地をなだらかに滑り落ち、みるみるうちに周囲へと広がっていく。このままでは空き地全体が巨大な泥湯のプールになってしまう。私が青ざめた、まさにその瞬間だった。
空き地から溢れかえった大量の温泉は、そのまま低い方へと流れ落ち、すぐ目の前を横切っている『ルートハーバー東西通り』の両脇へと一気に流れ込んでいった。
そこにあるのは、第18話でモカが道路舗装と同時に器用に掘り進めておいた、あの芸術的なまでのクオリティを誇る「側溝(排水溝)」だった。
溢れ出た大量の温泉は、その深い側溝の中へとザァァァッ……と吸い込まれるようにして綺麗に収まっていったのだ。そして、幅10m、全長10kmに及ぶ大幹線道路の側溝をまっすぐに伝い、そのまま完璧な効率で音を立てて街の外(城壁の外)へと美しく流れていった。
(ちょっと待って、嘘でしょ!? 第18話でモカが作ったあの道路の側溝、ただの雨水用じゃなくて、この温泉開拓プロジェクトの排水処理ルートとして100%完璧に機能しちゃってるじゃない!)
領主邸が泥湯に浸かる大惨さを一発で回避した先行インフラのバグっぷりに、私は冷汗を流しながらも、あまりの完璧な連動に脳内で大爆笑していた。
先回りして未来の都市計画を完成させておくなんて、モカ、きみは本当に頭おかしいレベルの天才土木工学モグラだわ。
しかし、大惨事を回避してホッとしたのも束の間、すぐさま次なる問題(余波)が目の前で発生した。
ドバドバと流れる熱い温泉のせいで、全長10kmの『ルートハーバー東西通り』の全体から、もの凄く濃い白い湯気がモクモクと爆発的に立ち込め始めたのだ。
大通りは一瞬にして先が全く見えないほどの濃霧状態になり、行き交っていた多くの領民や馬車が、「うわっ、なんだこの白い煙は!?」「前が全然見えねえぞ!」「お湯が流れてる! 道路がサウナみたいになってるぞ!」と、前が見えなくて完全に困り果て、大混乱を始めてしまったのだ。
「アルカ様、お湯が綺麗に道路の溝へ流れていきますが……大変です! 湯気で東西通りが真っ白になって、領民の皆様が前を進めなくて困っていますわ!」
後ろにいたシェラやルーク、マイヤたちも、排水の仕組みに感心しつつも、目の前の湯気パニックにまともな焦りの声を上げて目を白黒させている。
そこへ、厨房に行っていたミントが「みんなー! 新鮮な夏野菜で作った特製のスタミナ料理ができたよー!」と、最高に美味しそうな匂いをさせて大きなお鍋を抱えて戻ってきた。ミントは一面に立ち込める白い湯気と、側溝を流れる温泉の川を見て、「ええっ!? 何が起きているの!?」と度肝を抜かれていた。
(あはは、工程管理は完全にやらかしたし、今度は湯気による視界不良のボトルネックが発生しちゃったわね。でも、これだけの湯量が安定して流せることがハッキリ証明されたわね!)
私はミントのスタミナ料理の美味しそうな匂いに目を輝かせつつ、この圧倒的な資源の強さを確信していた。
(よし、シェラ、ルーク。排水はできているから、次はこの熱いお湯の湯気を閉じ込めるための蓋の設置工事と、温泉施設の建築、そして邸内へお湯を引く配管工事の人員を街から募りましょう! 困っている領民たちのために、爆速でこのサウナ道路を解決するわよ!)
3体のカラーコンビと、湯気の中で大慌てする有能な右腕たちを前に、私は新たな課題を最高のチャンスに変えるための、最高に不敵な笑みを浮かべるのだった。
第27話をお読みいただき、ありがとうございました!
広大な空き地でモカが前足で地面をカチッと叩いた瞬間、一瞬で深さ10mの完璧な垂直大穴が完成し、極上の温泉がドババババッと豪快に湧き出しましたね!
しかし、建物も湯船もまだ「何一つできていない」状態のため、お湯が周囲に溢れ出す大やらかしが発生。アルカが前世の生産管理理論を思い浮かべて青ざめる展開、最高に笑えました。
ですが、ここで奇跡を起こしたのが第18話の伏線回収でした!
モカが大幹線道路『ルートハーバー東西通り』の舗装時に作っておいた芸術的な側溝(排水溝)へと、溢れた大量 of の温泉がザァァァッと吸い込まれるように綺麗に流れ込み、完璧な効率で街の外へと排水されていきました。
これにはアルカも、先回りして未来の都市計画を完成させていたモカのバグっぷりを「天才土木工学モグラだわ……!」と脳内で大爆笑・大絶賛。
ただ、これで終わらないのがリアルな内政大改革の面白いところです。
ドバドバ流れる熱い温泉のせいで、全長10kmの東西通り全体からもの凄い白い湯気がモクモクと立ち込め、大通りが一瞬で濃霧状態に!「前が見えねえ!」「道路がサウナになってるぞ!」と領民や馬車が前を進めなくて本気で困り果ててしまうまともな課題が新しく発生してしまいました。
お鍋を抱えて戻ってきたミントちゃんも、新鮮な夏野菜のスタミナ料理の匂いを漂わせながら、この湯気パニックに度肝を抜かれていましたね。
工程管理はフライングしたものの、これだけの湯量が安定して流せることがハッキリ証明され、アルカは次なる「湯気を閉じ込めるための蓋の設置工事」や温泉施設の建築へ向けて、不敵な笑みを浮かべて作戦をアップデートします。このやらかしを最高のチャンスに変える手腕、さすが元教授です!
次回、第28話。
この大通り全体の湯気パニックを解決するため、そして極上の温泉施設を完成させるため、最強の内政チームと3体のカラーコンビがどのような爆速インフラ工事を仕掛けるのか――!?
「18話の側溝が温泉の排水ルートになる伏線回収が凄すぎる!」「湯気で領民が前が見えなくて困るリアルな展開が面白い!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




