第三十話 赤茶色のレンガたちと、異世界の和風温泉
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第29話『赤茶色の新メンバーと、召喚術のレベルアップ』では、パパとママが領主として温泉施設プロジェクトを全面的にバックアップしてくれることに! アルカがリビングのど真ん中で次なるサモンを敢行すると、光の中から赤茶色の鮮やかな毛並みを持った建築栗狸の『レンガ』が誕生。それと同時に、召喚獣を魔導書にカード化してストックし、半径100mの視界内ならどこへでも同時に何頭もの軍団を一斉に呼び出せる【複数召喚】へとスキルがレベルアップを果たしました。
第30話の舞台は、その直後の領主邸の東横にある広大な空き地から始まります。
パパが街から手配してくれた、頑固そうなまともなベテラン大工や職人たちが集まる現場。現実的な工期の長さを語る彼らの前で、アルカが進化した複数召喚能力と、レンガたちの圧倒的な建築チート能力を初披露いたします! プロの職人たちをも深く感服させる、驚天動地の爆速内政無双をぜひお楽しみください!
リビングでの作戦会議とサモンを終えた私は、再び領主邸のすぐ東横にある広大な空き地へと戻ってきた。
私の後ろからは、シェラやルークたち内政チームがしっかりと付き従っている。
夏の強い日差しが照りつける広々とした敷地には、パパが約束通り街から手配してくれた、頑固そうなまともなベテラン大工や建築職人たちが大勢集まっていた。
職人たちは、側溝へと綺麗に流れていく温泉の湯気を見つめながら、プロの視点で現実的な工期をまともな口調で語り合っている。
「領主様からお聞きして来ましたが、本当に極上の温泉が湧いているとは驚きました。ですが、これほどの規模の温泉施設を建てるとなると、基礎工事だけで数ヶ月、木材の乾燥や切り出しを入れたら年単位の大仕事になりますぜ」
職人たちのまともな意見を聞きながら、私は前世の頭脳でのんびりと不敵な笑みを浮かべていた。
(ふふ、普通の建築工程なら確かにそうね。でも、新しくレベルアップした私の複数召喚能力と、レンガがいれば、そんな生産管理のタイムラインは一瞬で崩壊するわ)
私は視界いっぱいに広大な空き地を捉えると、進化した召喚術スキルの新機能をフルに稼働させた。
レベルアップした今の私の能力は、事前に生成してストックしておいた仲間の中から、その場に合わせて好きな数だけを自由に呼び出せる仕組みになっている。
(ホルダーの最大容量には100体までっていう制限があって、こうして外に召喚している間はずっと実体化した分のホルダー容量を使い続けるルールだけど、この空き地の建築工事には100体の枠があれば十分すぎるわね。さあ、一気にいくわよ!)
「みんな、お仕事のお手伝いをお願いね! ――召喚術・レンガ!」
私の口から発動キーワードが力強く紡がれた瞬間、私の目の前にずらりと並んで、赤茶色のビーバーたちがぱっと一斉に出現した。
赤茶色のレンガたちが、一寸の狂いもなく私の目の前に美しく整列して一瞬で複数召喚されたのだ。
突然現れた、温かみのある鮮やかなレンガ色の毛並みを持った小さな職人たちは、一斉に短い手先を動かし、息の合ったまともな動きで作業を開始した。
「ビー!」
何十頭ものレンガたちが一斉に力強い鳴き声を響かせ、パパが敷地に用意してくれていた大量の原木や木材に向かってトコトコと突撃していく。
そこから始まったのは、職人たちの常識を根底から覆す、圧倒的な建築チートの無双だった。
大量の木材を前に、レンガたちの個体能力【木材工作】とスキル【乾燥加工】が、同時多発的にバチバチと発動する。
現実なら数ヶ月から数年もかかる木材の乾燥工程が、レンガたちが手先で触れた瞬間に一瞬で完了し、湿気や湯気でも絶対に腐らない最高級の完全乾燥木材へと次々に変質していく。
さらに、ちっちゃな前歯と手先でトントントンとリズム良く触れるだけで、ミリ単位の狂いなく、完璧な建築用パーツへと爆速で切り出されていくのだ。
その様子を見ていた本職の大工たちは、プロだからこそ技術の凄さが分かってしまい、深い感心と絶賛の声を漏らしていた。
「バ、バカな……。完全に乾燥しきっていやがる。歪みも狂いも一切ねえ、国宝級の建材が一瞬で山のように作られていくなんて……!」
加工が終わるや否や、今度はレンガたちがスキル【高速建築】を一斉に発動させた。
切り出された建材をパズルのように爆速で組み上げていくその様子を眺めていた私は、目の前でみるみるうちに出来上がっていくその建物の外観に、思わず冷汗を流していた。
(……ちょっと待って。なんで異世界なのに、風情あふれる和風の2階建て温泉旅館が建っているの!? 私の頭の中にあった前世の高級温泉地のイメージを、レンガたちが爆速で思考共有して勝手に具現化しちゃったんだわ……!)
大地を固めて頑丈な基礎が作られ、太い柱が立ち、梁が通り、美しい漆喰調の壁や瓦屋根が綺麗に張られていく。ものの数分という信じられないスピードで、広大な空き地に立派で頑丈な和風の2階建て温泉施設の骨組みと外観が、完全に形になっていった。
本物の職人たちは、その圧倒的な神速のクオリティに腰を抜かすのではなく、ただただプロの建築家として深く深く感服し、感銘を受けていた。
「俺たちの出る幕がねえな……。完璧な寸法と構造だ。まるで建築の神様を見ているようだぜ……」
(完璧だわ! 複数召喚による同時並行の工事のおかげで、私の理想とする温泉施設的外観と基礎が、本当に初日だけで出来上がっちゃったじゃない。レンガ、最高の棟梁ね)
建物が爆速で完成し、役割を終えたレンガたちが私の目の前に再び美しく整列し直した。
「みんな、カードに戻れ」
私が心の中で静かに指示を出すと、その場に並んでいたレンガたち全員が一斉に光となって、魔導書のカードホルダーの中へと綺麗に戻っていった。
静かになった広大な敷地を見上げながら、外枠としての建物がこれだけ早くできたなら、次はいよいよ内装、そして温泉のお湯を施設内へ引く配管インフラ工事の仕込みへと移ることができると確信する。
(さあ、外枠はできたわ。次はシェラやルーク、そして深く感服しているプロの大工職人たちを指揮して、ルートハーバー領に前代未聞の温水エコインフラを完成させましょう!)
私はのんびり快適な暮らしをさらに完璧なものにするため、心の中でニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
第30話をお読みいただき、ありがとうございました!
パパが街から手配してくれた本物の大工職人たちが集まる広大な空き地で、ついに披露されたレベルアップした【複数召喚】の新機能。
アルカが手をかざして発動した瞬間、魔法陣の前触れすらなく、赤茶色のレンガたちが目の前にずらりと一斉に整列して出現する絵面、最高に格好良かったですね!
正式に始まった、レンガたちの【木材工作】と【乾燥加工】のチート無双。
現実なら数ヶ月から数年もかかる木材の乾燥工程を手先で触れただけで一瞬で完了させ、湿気や湯気でも絶対に腐らない最高級の完全乾燥木材へと次々に変質。ミリ単位の狂いなくトントントンと爆速でパーツを切り出す神業は爽快感マックスでした。
プロの大工だからこそその技術の凄さが分かってしまい、「国宝級の建材が一瞬で山のように……!」と深い感心と絶賛の声を漏らすまともな反応、読んでいて実にニヤリとさせられました。
さらにそこからの【高速建築】の一斉発動。
建材がパズルのように爆速で組み上げられ、ものの数分で立派で頑丈な2階建ての建物が形になってしていきました。
何より面白かったのは、アルカの頭の中にあった前世の高級温泉地のイメージを、複数召喚されたレンガたちが爆速で思考共有して、異世界なのに風情あふれる和風の2階建て温泉旅館を勝手に具現化してしまったところです! これにはアルカ自身も冷汗を流して納得。本職の大工たちも「まるで建築の神様を見ているようだぜ」とプロとして深く深く感服し、感銘を受けていましたね。
作業を終えたレンガたちが、再び目の前に美しく整列し直して、アルカの指示で魔導書のカードホルダーの中へと綺麗に戻っていく流麗な帰還描写も素晴らしかったです。
基礎と外観が本当に初日だけで出来上がり、次回はいよいよ内装、そして温泉のお湯を施設内へと引く配管インフラ工事の本格的なプロジェクトが始動いたします!
「レンガたちの複数召喚と勝手に和風旅館が建つチートが爽快すぎる!」「プロの大工たちが技術の凄さに感服する展開が格好いい!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




