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元女性教授の異世界開発経済学 〜神界のスロットで魔力無限を引き当てたので、最強スキルの組み合わせで快適な領地経営を始めます〜  作者: つむ教授


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門外の青竜と、返還されし三分の一

お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!

第1話では未完成の研究への無念を抱えたまま、赤ん坊『アルカ』として異世界へ転生してしまったあさひ。

第2話の舞台は、転生から2年後。ルートハーバー家に刻まれた没落の歴史と、それを覆すパパとママの執念の死闘が始まります。

なぜ平民のルートハーバー家が『男爵』へ成り上がることができたのか。

門外の青竜を前にした、実力派元冒険者夫婦の泥臭くも熱いコンビネーションをぜひご覧ください!

私がこの世界に生まれて、2年が経った。


少しずつ言葉を覚え、短い手足で歩けるようになった私の頭脳は、今も『一ノ瀬あさひ』としての記憶を鮮明に保っている。


我が家には、兄のレオンと、姉のソフィアという二人のきょうだいがいた。

両親が若き冒険者として活動していた頃に生まれた兄と姉。私はこの温かい家で、歳の離れた末っ子として可愛がられて育つことになったのだ。


実は、我が家――ルートハーバー家には、少し複雑な過去がある。

かつて我が家は、王国内でも上位に位置する先祖代々の高貴な『侯爵家』であり、広大なルートハーバー領の主だった。しかし、父クラウスが10歳のとき、私の祖父にあたるクラウスの父が大きな不祥事をやらかしたことで、爵位を完全に剥奪され、一族丸ごと平民へと没落してしまったのだ。

以来、その広大なルートハーバー領は貴族の手を離れ、再びルートハーバー家が爵位を受け取るその日まで、すべて王家が直接管理する土地(王家直轄領)となっていた。


家名が没落した後、祖父は没落のショックから父クラウスが14歳のときに亡くなってしまった。残された父は、家名が失われた重圧や周囲の目から逃れるようにして15歳で故郷を離れ、隣の領地へと渡って冒険者登録をした。

外の世界へ飛び出した父は、その2年後、17歳のときにギルドからの指名依頼を受けることになる。それが、当時まだ15歳で冒険者なりたてだった母エレナの護衛任務だった。


その出会いをきっかけに二人はパーティを組み、実に15年以上もの間、絶え間なくコンビとして己を鍛え上げてきたのだ。かつて失われた誇りと、自らの力を証明するために。


隣領でトップクラスの腕を磨いた二人が、巡り巡って戻り、暮らすようになったのが、ルートハーバー領の隣にあるフェルクレスト領の領都ランバートだった。

そこで、私たちの運命を大きく変える出来事が起きた。

Aランク魔獣『ブルードラゴン(青竜)』の襲来である。


ドラゴン。その響きだけで絶望を植え付ける、生態系の頂点。

幸いだったのは、襲ってきたのがブルードラゴンだったことだ。

この魔獣は他の上位種ドラゴンに比べて数が多く、ドラゴン種の中では最も弱い部類に属していた。


とはいえ、フェルクレスト領騎士団ですら、討伐するには多大な犠牲を払うほどの化け物だ。領都ランバートの巨大な門の外まで迫り、街が恐怖に包まれる中、それを食い止めたのは、他でもない私の両親だった。


「レオン、ソフィア、アルカを連れてここに隠れているのよ!」


母が私たちきょうだいを門の外の自宅にある頑丈な床下に隠し、祈りを捧げる。

床下の暗闇の中、兄のレオンと姉のソフィアは、恐怖に震えながらも、私の身体を必死に抱きしめて守ろうとしてくれていた。


外からは、地を揺らすようなドラゴンの咆哮が聞こえてくる。

だが、立ち向かう二人の実力は本物だった。


現在、父・クラウスは34歳。母・エレナは32歳。

元Aランク冒険者の魔術剣士である父と、元Bランク冒険者の回復役たる僧侶の母。

長年の鍛錬に裏打ちされた、息の合った夫婦連携が領都の門の外で始まった。


父は風の魔術を剣にまとわせ、ブルードラゴンの鋭い爪を鋭利な刃で受け流していく。

他の強大なドラゴンなら一撃で剣ごと砕かれていただろう。だが、比較的力の弱いブルードラゴンだったからこそ、15歳から鍛え上げた父の技量で完璧に受け流すことができたのだ。


それでも、ドラゴンの巨体から放たれる凄まじい衝撃は圧巻で、父の身体に傷が刻まれていく。

そこへ、母の正確無比な祈りが飛ぶ。


「――光よ、彼の傷を癒せ。『治癒ヒール』!」


短く、だが力強い詠唱。傷ついては即座に癒え、また前衛で刃を交える。

かつて数々の死線をくぐり抜ける中で培われた、見事なまでの無限ループ。

やがて、体力を削られ、焦りから大振りの一撃を放ったドラゴンの隙を、父は見逃さなかった。


「これで……終わりだァ!!」


魔力を込めた渾身の一撃がブルードラゴンの首筋を深く切り裂き、巨体が凄まじい地響きを立てて崩れ落ちた。


領都の危機を、たった二人で救った元実力派冒険者の夫婦。

平民がドラゴンを討伐したという驚くべき大金星の噂はすぐに王都へと届き、私たちは国王から呼び出しを受けることになる。


国王は、かつて没落したルートハーバー家の血脈が挙げた見事な功績を称え、我が家に『男爵』の爵位を授与した。

公爵や侯爵といった元の高い身分には遠く及ばないものの、父クラウスの執念と実力によって、我が家はついに貴族の列へと戻ることに成功したのだ。


正式に返還されたその領地は、かつて王家によって没収された先祖代々の広大なルートハーバー領を、今回の功績によって王家から三分の一だけ返してもらえた場所だった。


かつて祖父が失い、14歳の父が追われた因縁の故郷。父クラウスが領主となったそのルートハーバー男爵領へと、私たちは移り住むことになった。


この領地こそが、私の前世の知識(開発経済学)と、5歳で手に入れる能力によって、世界で最も豊かな場所へと変貌していく舞台となる。


だが、このときの私はまだ知らなかった。

この世界の誰もが持つ能力スロットのさらに上――伝説の【勇者】や【聖女】、そして私のような【無限術士】になる「素質」がある者だけに許された、最高位の【エクストラスキルスロット】が、5歳の私に解禁されること。


底知れない【魔力】の無限化、領地を発展させるための3つの通常スキル、2つのスペシャルスキル、そして――最高位の枠で私が規格外の【召喚術サモン】を引き当ててしまうことを、まだ誰も知る由はなかった。

第2話をお読みいただき、ありがとうございました!

ランバートの門の外で青竜を食い止め、先祖代々の土地を「三分の一」だけもぎ取った父クラウス。

没落の過去を実力で撥ね退けた両親の姿は、何度見ても熱いものがありますね。

次回、第3話『鑑定の儀と神界の女神』。

舞台はついにアルカが5歳を迎える【鑑定の儀】へ!10歳で『剣豪』の素質を持つ兄レオン、8歳で『大魔道士』の素質を持つ姉ソフィア。

超エリートなきょうだいたちに応援され、祭壇で祈りを捧げたアルカの意識は神界へ引き飛ばされます。

そこで待っていたのは、世界のシステムを司る美しい女神エレシアと、まさかの「スロットマシン」!?アルカが引き当てる最初の最強スキルセットとは――。

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