第十八話 爆速の石畳工事と、土魔法の神業
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第17話『新しいお友達と、次なる改革』では、新しく仲間になった焦げ茶色のモグラに『モカ』という可愛い名前をつけ、スノウとの最強の『カラーコンビ』を結成させたアルカ。
そして、スキルの検証で外に行くついでにパパとママへお披露目した結果、昨夜のやらかし(魔導具音痴)を大人が勝手に「次々と聖獣を呼び寄せるための神聖な光だったんだわ……!」と凄まじい脳内補完で納得してくれました(笑)。
第18話の舞台は、その直後の領主邸の敷地内から始まります。
ガタガタな未舗装路による流通のボトルネックを解消するため、アルカはいよいよモカの『土魔法』の検証へと乗り出します!
ちんまり可愛いモカが、全長10kmの巨大な幹線道路『ルートハーバー東西通り』を舞台に巻き起こす、爆速・規格外のインフラ大改革をぜひお楽しみください!
パパとママに見送られ、私はモカのスキルの検証のために領主邸の敷地内へと出てきた。
(さて、まずは領主邸の中の、カーブがある約100mの道から試してみましょうか。モカ、お願いね)
私が声をかけると、私の右の肩に乗っていたモカが、ちょこんと芝生の上へと降りて、ちんまりとした前足でガタガタの土に触れた。
すると、モカは部分部分に『土魔法』を使い、ガタガタだった未舗装路が一瞬にして美しい石畳の道へと変質させていく。
(凄い……! まさに大地の専門家だわ。それにしても、これほど寸分の狂いもなく土を操れるなんて、あの個体能力は具体的にどこまで詳細に大地を探知できるのかしら……)
私がそう考えた、まさにその瞬間だった。
目の前の空間に半透明のウィンドウがバチッと出現し、その詳細を解説し始めたのだ。
表示されたシステム画面をプロの目で精査していくにつれて、私の学者脳がその凄まじいポテンシャルに静かに震えた。
『個体能力:【地脈感応】』
『効果:周囲の大地の構造を完璧に探知する。どこが未整備か、どこが凸凹しているかを一瞬で見抜くことができる』
『※レベル10で、探知可能な対象が増える』
(……素晴らしいわ! レベル10で探知できるものが増えるのね。これ、モカのレベルが上がったら一体何が見つかるのかしら、今から楽しみだわ!)
モカの底知れない将来性に私が大興奮していると、モカは領主邸の南向きの正門を出た瞬間、ただ土を平らにするだけでなく、なぜか道の両端にそって器用に深い溝を掘り始めた。
それを見た私は、すぐにその意図を理解する。
(なるほど、あの溝は側溝ね! 敷地内の約100mの道には作らなかったけれど、外の道からは排水処理まで計算してインフラを整えるなんて。モカ、本当に優秀な土木工学の天才だわ……!)
正門を出ると、正面にははるか5km先にある城壁の南門まで真っ直ぐに突き抜ける、幅15mの『ルートハーバー南大通り』が見える。ちょうど邸の真裏には、同じく北門へと続く幅15mの『ルートハーバー北大通り』が伸びているはずだ。
さらに、領主邸から出ると、目の前には右(西門)から左(東門)へと伸びる、幅10mの巨大な『ルートハーバー東西通り』が横切っていた。
半径2kmの住宅街、商業地の外側に広がる広大な穀倉地帯を繋ぐ、全長10kmに及ぶ大幹線だが、舗装率は最悪。夏の大豊作を前にした次なる明確なボトルネックだった。
(よし、モカ。この右から左に10kmにわたって伸びている『ルートハーバー東西通り』を、丸ごと綺麗にしてもらえるかしら?)
私が展望を伝えると、モカは「きゅきゅっ!」と力強く鳴き、大地の魔力と共鳴した。
そこからは、まさに神業だった。
夏の日差しが照りつける中、大通りには多くの領民や馬車が行き交っていたが、モカの類まれなる回避能力で完璧に避けていった。
歩いている領民、露店の荷物、走る馬車を誰一人傷つけず、寸分の狂いもなく完全に避けながら、モカがもの凄いスピードでタカタカタカッと大通りを駆け抜けていく。
ちっちゃな前足でカチチカチカチッと土を叩くたび、その軌跡を追うようにして、1ミリの隙間もないほど完璧に噛み合った美しい石畳が爆速で大地を埋め尽くしていき、同時に美しい側溝までが整備されていくのだ。
モカが私の元へと戻ってきたとき、私の目の前には、右の果てから左の果てまで、10kmに渡って完璧に舗装された芸術的な石畳の大通りが完成していた。
かかった時間は、ものの5分。
歩いていた領民たちは、自分の足元が歩いている最中にガタガタの土から最高級の平らな石畳へと一瞬で切り替わったことに気づき、「な、何が起きたんだぁぁっ!?」「道が勝手に綺麗になったぞ!?」と腰を抜かして大騒ぎを始めていた。
(……ちょっと待って。いくら魔力無限のバックアップがあるからって、これだけの広大なインフラ工事を、人を完全に避けながら5分で終わらせるなんて……モカ、きみのポテンシャルもやっぱり頭おかしいわね……)
さすがの私も、想定を遥かに超えた規格外な成果に、冷や汗を流して驚愕するしかなかった。しかし、これで流通のボトルネックは完全に崩壊した。
これからは夏野菜の運搬コストも大幅に削減されるだろう。
私が深い満足感に包まれた、その瞬間だった。
ピコン!
私の目の前の空間で、軽快なシステム音が鳴り響いた。
大画面に映し出されたのは、この圧倒的な大土木工事を成し遂げたモカの、爆発的な成長の記録。
『グランドモグラのレベルが15上がりました』
『レベルアップに伴い、新たな能力が解放されます』
画面に表示されたその通知と、モカが新しく手に入れたスキルを目にした瞬間、私の目は点になった。
(――え? モカ、きみが新しく手に入れた、このスキルって……!?)
第18話をお読みいただき、ありがとうございました!
まずは敷地内の約100mのカーブ道を美しい石畳へと変質させたモカ。
その個体能力【地脈感応】は、レベル10でさらに探知可能な対象が増えるという、将来性が楽しみな素晴らしい仕様であることが判明いたしました。
さらに門の外へ出ると、排水用の側溝まで器用に掘り進めるモカの動きに、アルカも「土木工学の天才だわ……!」と大絶賛。
そして、半径2kmの住宅街や商業地の外側に広がる広大な穀倉地帯を繋ぐ、全長10km・幅10mの巨大な幹線道路『ルートハーバー東西通り』の大改革へ!
多くの領民や馬車が行き交う中、モカは類まれなる回避能力で誰一人傷つけず完璧に避けながら爆走!
もの凄いスピードで大通りを駆け抜け、ちっちゃな前足でカチカチと土を叩くたび、1ミリの隙間もないほど完璧に噛み合った美しい石畳が爆速で大地を埋め尽くしていき、なんとものの5分で完全舗装路を完成させてしまいました。
あまりの規格外さに冷や汗を流して驚愕するアルカ。
しかし、これで流通のボトルネックは完全に崩壊し、大豊作となる夏野菜の運搬コストも大幅削減ですね。
大工事を終えた瞬間、モカのレベルが一気に15も跳ね上がる通知が鳴り響き――。
「え? モカ、きみが新しく手に入れた、このスキルって……!?」
一体、モカが新しく手に入れたバグスキルとは何なのか!?
次回の展開が今から待ちきれません。
「モカちゃんのカチカチ爆走工事が爽快!」「次回の新スキルが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




