第65話: 鎮魂歌
ジェイドは次の獲物を求めて走り出す。
ダッダッダッダッ
「次の標的を発見した」
スッ
「本当にぶっ壊して良いんすかね?」
「ここまで来たらヤるしかないだろう。幸いにも戦況は上々だ」
「そうっすy……」
バタンッ
「おい! どうした!」
「次 は お 前 だ」
「<フェンダ>」
ザクッ!
深々と矢が背中から刺さる。
「うっ……」
バタン
「意識にダメージを与えただけだ。外傷はない」
残った一人が銃口を向ける。
「それ以上近づいたら撃つからな」
カチャッ
「あぁその必要はない」
「はぁ?どういう事だよ」
「既にくたばっているからな」
ぐらっ
「う、頭が…」
その場で倒れ込む。ジェイドへの反撃は許されない。もはやジェイドの魔力は暴走状態にあった。
「後は本陣か」
ーーーーーーーーー
ドガーーーーーーーーーン
「どうなっている?今の状況は!」
「教員数名が負傷! 警備隊は混雑により遅れるそうです!」
「くっ 頼みの綱までか…」
状況は悪化の一途を辿っていた。集団はもはや自身の体など捨てるが如くリスクのある攻撃を繰り返してくる。
ダダダダダダ ダダダダダダ
「突撃しろ!」
次々と負傷者が出る。集団は想定よりも何倍よりも多かった。何が目的なのかも分からず、只々戦い続けているのである。
「アニキ…これ以上追撃しますよと息切れしますぜ」
「ダメだ。攻撃を続けろ」
あまりの砂塵に前が見えない。かつて平和であった校舎が思い出と共に崩れていく。その時だった。
ドーーーーーーーーーーーーーーーン
プス プス プス
一際大きな爆風がお互いの陣との間に起きた。教員たちも困惑していた。
「ここが本陣か…」
ジェイドは爆風と共に姿を現した。ダストが舞う中しっかりと敵を捕捉している。まるで悪魔のような姿に、後ろ足が出てしまう。
「首謀者は誰だ…」
「ヒッ! 一旦退却を…」
ダンッ!
「お前に用はない。何処だお前のトップは」
「い、言えるわk…」
ドンッ!
「そこで跪いておけ」
この状態になったジェイドに歯向かえる者など存在しなかった。戦火の中悠々と進むジェイドに一同は退却する。
「おい、誰だあのバケモンは!」
「執行会のやつじゃねぇな。ただの生徒か?」
ジェイドが近付くと敵からの集中放火を受ける。
「<ボア>」
「ゼイラ>」
……
「<リーフェン>」
ガガガガガガガガガガガガ
受けた魔法を全て跳ね返す。跳ね返った魔法は忽ち敵陣の中心部へ放たれた。
「リーフェンで全ての魔法を跳ね返しただと?リーフェンには耐久値があるはず…」
「<レイズ>」
ジェイドが詠唱すると、敵の何倍もの速度で接近する。
「逃 が さ な い」
キュイーーーーーーーン
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
ドンッ!
「まだトップの場所からは遠いか」
ジェイドが呟く、狂気的な笑みは敵だけではなく後方にいる教員たちにまで恐怖が与えた。
「あれがジェイド君ですか?」
「まるで鬼だ…」
最前線は完全に崩壊した。逃げ惑う者たち、何を撃っているかも分からず乱射する者たち。ジェイドよって戦況はひっくり返った。首謀者、すなわちリーダーに追いつくのも時間の問題であった。
「逃げましょう!ガチでヤバいです!」
部下がリーダーを説得する。猶予はない、鬼神がすぐそばにいるのだ。
「…面白えジェイド やろうじゃねぇか!」
「え、何を?」
「俺がやる。テメェらは先公とやってな」
そう言うと、自ら前線へと進み出した。険しい顔をしながら砂で覆われた前線を睨みつけた。
「よぉ ゴミ野郎が」
…砂の壁から声が聞こえる。ジェイドはその声に問いかけた。
「誰だ。俺はトップにしか興味がない」
「あぁ テメェの言うトップだ」
ザンッ!
いきなり砂の壁から剣が飛び出た。
「おっと」
辛うじて避けるも、敵の姿は把握できていない。
「さぁ始めようじゃねぇか」
バフッ!
視界が晴れ、そこにいたのは見覚えのある人物だった。
「モルダン…お前か?」
「あぁそうだよクソ野郎。あの後てめぇのせいで退学になってよぉ。こんなクソ見てぇな学園は制裁を受けるべきだ」
「お前が全て悪いだろ。誘拐など許されるものか」
「は? お前が自分の立場を無視してよぉ!俺を挑発しやがったせいだろうが!!」
ザンッ! ザンッ!
モルダンは両手から投げナイフを投げつける。ジェイドは紙一重のところで避け、問い続ける。
「立場ってなんだよ退学者」
その言葉が起点だった
ザンッ! ザンッ! カンカンカン!!
よほど腹が立ったのだろうか、両手に短剣を持ち、猛攻を仕掛けてきた。
だが、もうジェイドには何をしても無駄だ。
「失せろ犯罪者 <リア>」
「な、何だこれは!」
モルダンの体は、魔法によって蝕まれていく。体の先端という先端から崩壊していく。
「即死の魔法だ。お前は終わった」
「古代魔…法と……か……… グッ…うわぁぁぁぁぁぁ」
『%.:;,//;#!』
ドンッ!
突然ジェイドとモルダンの間に、謎の物体が落ちてきた。それmをジェイドは目を細めながら凝視する。
「おい、何やってんだお前」
聞き覚えのある声…それもつい最近…
「誰だ?」
ジェイドは問う。
「よく見ろ」
!
そこには執行長と副執行長がいた。
「なぜここに」
「もうやめだ。こんな戦いは」
ピーポー ピーポー
遅れていた警備隊や救急隊が駆けつける。散り散りになった集団は次々と確保されていった。
「後始末は我々がする。ジェイド君は安全な場所に戻りなさい」
「何故いつもあなたたちは卑怯なんですか。皆んなより早くこの現場に辿り着かなければいけないはずでは?」
「仕事をしていない訳じゃなかったんだぜ。少し面倒な敵を対処していただけだ」
「ええ、あの双子には手を焼いたわ」
どうやら副執行長も戦っていたらしいが、ジェイドの目には言い訳にしか聞こえなかった。
「じゃ、ジェイド君自分達は警備隊の所に行ってくるよ」
シュン!
瞬時にしていなくなった。
「執行会…もはや意味を成していないな」
呆れるも、大人しく崩れた校舎の方へ戻っていくのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「組織は壊滅。校舎も鎮火し終えました」
「そのまま原因を調査してください」
「了解!」
終わりは突然の事だった。学園の校舎はボロボロになり、見るも絶えない姿になっている。これではしばらく授業など出来ないであろう。
「執行会の諸君 お疲れ様。首謀者は?」
「あぁここにいますよ。眠らせておきました」
「おぉ、君たちが止めたのか?」
「いえ、ヤバい魔法かけられてたんでそこを治して…って感じですね」
「そ、そうかご苦労だった」
死者は幸いにも出なかった。事件に関わった者は全員逮捕され、事件は解決した…
ようであったが、ジェイドは顔を顰め執行会を睨むのであった。
「追求しなければ」
3000pvありがとうございます。忙しい忙しいと言っていますが、またか…と思いながら見守っていただければ助かります。




