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第63話: 静けさ

 「執行会を潰す」それはジェイド一人だけの目標ではなかった。


「なぁちゃんと準備は進んでいるんだろうなぁ」

「は、はい。しっかりと」

 深夜。辺りは暗く、虫の声が周りに響く中1点だけ明かりが見える。

「これを改造すれば兵器にも劣りませんぜ」

「あぁ、威力の出るもんはドンドン作り出せ」

 ここは廃倉庫。入ると集団を成しており、怪しげな雰囲気は一気に増幅する。ばら撒かれた廃材が軋む音を出し、古いランプは静かに揺れていた。

「本当に成功するんですかね?アニキ」


 バンッ!


 カラン…カラン…


 いきなり廃材を投げ出した。

「疑うくらいなら従え、それがお前の最良の選択だろうよ」


「す、すいません!アニキ!」


「ケッ 次はねぇぞ」

 男たちは暗闇の中、静かに作業を続けていた。



 翌朝


「ジェイド〜 おはよう!」

「おはようルーナ、今日も元気だな」

「いっぱい朝ごはん食べたからね!」

 いつものルーナがそこにいた。すると一人の少女が駆けてきた。

「おはようみんな  ふぁぁ」

「メルスにしては珍しいねアクビなんて」

「撮り溜めしていたドラマ見てたら遅くなっちゃったのよ」

 たわいもない会話、そんなときジェイドの目は据わっていた。


「どうしたの元気ないねジェイド」


「あ、いや何でもない。少し考え事をしていただけだ」

 図星を突かれ狼狽える。

「それならいいんだけど」


 …これは誰にも知られてはならない事。学校の一組織を終わらせる。この重みを跳ね除け、実行しなければならない。

「俺は先に行ってるから後でな」


「あ!ジェイド!」

 ルーナとメルスを置き去りにする。その不自然な姿にただただ疑問が頭を回るだけだった。

「やっぱりおかしいわ…ジェイド」

「好きな人でも出来たんじゃないの?」


「ヘッ!? イヤイヤイヤ ソレハナイ ソレハナイ」

「ジェイドの事だから分かんないでしょ」

「まぁ…それはそうね」

 落ち着きを取り戻し、学園に向かう二人であった。



 ガヤガヤガヤガヤ


 二人が教室に入ると、すでに多くのクラスメイトが雑談を楽しんでいた。

「あ、もうこんな時間!遅刻ギリギリだったじゃん!」

 ルーナが時計を指すと、ホームルームまで後4分と差していた。

「ゆっくり歩きすぎたわね」

 ダルそうにカバンを机に置くと、アズ先生が教室に入ってきた。


「おはよう 今日は学年集会があるから第2体育館に集合な」

 突然の事だった。

 クラスも慌ただしく移動を始める。

「久しぶりの学年集会だな。1ヶ月はやってないぞ」

「何かあったのかな」

「またまた事件の香りがするな!」

 ナブラは先の行いで反省して欲しいところだが、ウキウキで体育館に入って行った。



「うわっ 流石9クラスもあるだけあるな。1学年とは思えないほどの人数だぜ」

 すでに何クラスかは整頓を終え、緩く座っていた。

「早く並ばないと怒られるよ」

「おっと そうだな」


 ガヤガヤガヤガヤ



「静粛に!」


 ガヤガャ…… シーーーン


「皆さんごきげんよう。今日は大切なお話がある。心して聞くように」

 ナブラが小声で囁く。

 こ、こえー 学年主任。相変わらずすげぇ面してやがるぜ…


「そこ! 静かに!」


「は、はい!すみません!」

 厳しい目つきで指を差す。曲がった眉からは恐ろしいほどの圧を放っていた。


「全く、どうなっているんだFの連中は… まぁいい、最近素行が悪い生徒が多い事についてだ」

 マイクを持ち、ステージをズカズカと歩きながら話を続けた。

「去年解散したはずの不良グループがまだ活動を続けているらしい。いや、正確には元メンバーが問題を起こしている事だ。君たちの中にも、学園組織に反発している者もいるかもしれない。だが…


 バンッ!


 そうした場合容赦はしないぞ」


 ヒェ っと言う声が上がりそうなくらいの圧力があった。学年主任はステージから降りると、諸連絡を行い体育館を先に出て行った。


「…で、では学年集会はこれで終わりにします」


 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

「ふぅ〜 今日はこっちが怒られている気分だったぜ」

「あんた実際に怒られたでしょ」

 いつもの4人組で体育館を後にした。

「それにしても物騒な話ね。治安が悪化しているなんて」

「ナブラが追っていた時もそうだったな」

「僕は怖いから真っ直ぐ帰ろうかな…」

「買い食いくらい大丈夫だろうよ」


 朝はこのような話がありながらも、昼には皆その事をすっかりと忘れてしまっていた。


「さぁ 今日紹介するのはっ  エリクサーだ!」

 午後は魔法薬の授業だ。いつもの可笑しなテンションで解説していた。いつもは過剰にも感じるが、午後の眠たい時間帯にはありがたいのかもしれない。


「ん? 反応が薄いぞ? ゲームの定番アイテムではないか!」


「せんせー 飲んだらどうなるんですか?」


「よく聞いてくれたね! これを飲むと…… 死んでしまうのさっ」

 ……ん? 予想外の回答に寝ていた生徒までもが飛び起きた。

「え? マジですか?」


「その通りさ! 昔は魔力に良いとか言われてたけど、飲んだ人大体早くに死んでるんだよね」


「全然定番アイテムじゃないじゃん」

 クラスがツッコミを入れるも、キルメ先生は凛とした態度で答える。

「いやぁ 体に蓄積するタイプの毒だから気付きにくいんだよね。でも味には評判で、これを求めて戦争が起きたこともあったんだっ。 ふふ、私ももう我慢できないよっ 試しに一口…」


 ガラッ!


「紹介するだけで飲まないって言いましたよね!」


「キャッ!? 校長なんでまたっ」


「問答無用で職員室に来てもらいますからね!」


「そ、そんなぁ」

 キルメ先生はまたまた校長先生に引きずられて教室を後にした。


 なんなんだこの先生

 考えるのをやめた方が良い。





 ドガーーーーン


 パリンッ

 パリンッ

 バリンッ


「「「うわぁあーーー」」」


 轟音が鳴ると、教室の窓ガラスが一斉に割れ出した。


「くそっ 何だこれ」

「シニタクナイ シニタクナイ」


 突然の展開に俺たちは戦慄した。


「1日2本出せる」そう言ったな。アレは嘘だ


ってならないように頑張ります。日を跨いでも今日って事で許してください。

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