↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/75

第62話: 執行者

 コン コン コン

「失礼します」

 放課後、ジェイドは執行会室の前にいた。


「どうぞー」


 ガチャン



「やぁジェイド君、例の書類でも出来上がったのかい?」

 部屋には一人しかいなかった。だがいつものように執行長は机に腰をかけていた。


「はい、かなりの分量でしたがなんとか」


「あぁすまないね。警察にも出さないといけないから面倒だったかもね」

 そう言うと渡された書類に目を通す。ある程度の所まで見ると頷いてジェイドを見る。


「思ってたよりしっかりしてるね。これで安心して提出出来るよ。ありがとう」


「いえいえ、やる事をやったまでです」

 ジェイドは謙虚に接するも興味深く執行長が見てくる。


「そういえばまたフェイズをぶっ倒して表彰されたらしいじゃないか。いい感じの生徒がいてくれて嬉しいよ」


「いえ…フェイズは絶対に許さないと…そう決めたので」

 拳を握り、ジェイドは床を見た。

 執行長は察したのか首を回し、ダルそうに近付いてきた。

「実際この学園に入学してきた大きな理由に“フェイズへの復讐”と言う人も少なくないからね。無理もない」

 手に持っていたペンを回しながら言う。それは少し失礼な態度のようにも見える。ジェイドの目には少しばかりの怒りが込められていた。

「まぁ無理すんなよ。卒業してから色々考えたらいい」

 執行長の言葉に部屋の空気が一変する。


「…執行長は街でフェイズに遭遇したらどうしますか…」

 ジェイドが下を向きながら問う。


「逃げるね。学内ならまだしも、それは警備隊か軍の仕事だろ? 第一どんな立場になろうが自分の命を守ることを優先するべきだ。そうだろ?」


 バッ


「それでもあなたは執行長ですか!」

 ジェイドは執行長との距離を一気に縮めた。


「おっと落ち着いてくれジェイド君、君に敵意はない。それにここは話し合いの場じゃないか」

 こんな状況でも、真剣な様子を見せない執行長に嫌気が差したが、ジェイドはグッと堪えた。


「そうですね…俺が間違えていました…失礼しました」


 ガチャン


「何か癪(しゃく)に触(さわ)ったのかな」

 不思議そうな目で、ジェイドの跡を見る。するとどこからもなくシェミカが現れた。


「執行長ー 書類はもう仕上げましたかー?」

「うん、ほら見てみろ」

「え…これ執行長の字じゃないよね!?」

「…知らないね」

「あ!全部ジェイド君に書かせたんでしょ!!」

 執行会のメンバーで一番ダメなのは執行長なのかもしれない。



 ーーーーーーーーーーーーー

 ジェイドは生徒会室に来ていた。


「あら、お久しぶりねジェイド君」

 会長は会長席に座り、作業をしていたようだ。

「あの件はお世話になりましたっ!」

 副会長は相変わらずどこか堅苦しい。それでも安心出来る空間の一つだ。明るい雰囲気と気品溢れる佇まいは、この学校の最高生徒組織であることを実感させられた。

「今日はどんな要件で?」

「はい、執行会について尋ねたいのですが」


「あ…それは…」

 副会長がそっぽを向いて言う。

「ふふ、ジェイド君も挑戦的になったのかしら」

 禍々しいオーラが会長から出る。触れてはならぬ禁忌なのか、ジェイドは慌てて返答する。

「タブーに触れてしまいましたか?」

「いえ、ただ表面上は生徒会と対を成す組織になっているから、ちょっと空気感を変えてみただけよ」

 微笑しながらキッパリと答えた。オーラは消え、いつもの会長に戻った。


「さては執行会の事が知りたいのね?」

「はい、あまり事情を知らないもので」

 会長は頬に手をやり、話し始める。

「執行会ねぇ…結構歴史のある組織なのよ。何せ生徒会と共に開校時からあったのだから」

「そうなんですね。それは副会長の自分も初めて聞きました」

「ふふ、後で反省文ね❤️」

「可愛い口調で恐ろしい事を言わないでくださいよ会長…」


「話が逸れたわね。元々は生徒会が全ての事柄を管理する予定だったの。でも学園を創設したフェストル師が『風紀は別の組織が管理せよ』と言ったのは始まりよ。それからは生徒会と対となる存在として活動しているわ」

「執行長は派遣されたと言っていましたが」

「あら、よく知っているわね。執行長は風紀執行専門校から派遣されるのよ」

「随分恐ろしそうな名前をしてますね」

「そうは言っても専門教科があるだけで中等部とさほど変わりはないわ。名前の割に過度に厳しくはないから人気の学校なのよ」


「だから あんな感じなんですね」


 ジェイドの一言に一同は沈黙する。和やかであった雰囲気は一瞬にして変わった。


「さては何かあったのね」


「今日はお忙しい中ありがとうございました」


 バタン


 颯爽と部屋を出て行く、生徒会のメンバーは困惑しながらもジェイドを目で追うことしか出来なかった。


「会長、ジェイド君に何かあったのでしょうか」

「ふふ、何か大変な予感がするわね」



 ジェイドは冷静ながらも決意を持った目で廊下を進む。誰もいない廊下で一人事を呟いた。

「執行会を潰す」



 運命は思いもよらない展開をお望みのようだ。

やっとコンディションが整いました。明日から1日2本投稿できそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。