第60話: 校舎裏の事件
「はぁ はぁ はぁ どこまで行ってるのよナブラ!」
メルスは苦言を呈しながらもナブラを追っていた。
タッタッタッタッ
遂に一同は校舎の裏まで来ていた。そこには怪しげな雰囲気が漂っていた。
「シーーーッ ちょっと危ない予感がするぜ」
ナブラは既にその予感を察知していたようだ。
「腕っ節担当、頼んだぞ」
「へ、簡単にやられてたまるかよ! おりゃああ」
金髪の男は、大男に向かってナイフを取り出した。
「相手にならん」
シャキーーン
大男は持っていたナタでナイフを弾き返した。
「ひ、何てパワーだっ」
「怯えている場合じゃないぞ フンッ」
金髪の男をその怪力で拘束し、ロープで縛り上げた。
「よし、これでひと段落だな」
よく見ると執行会のメンバーだった。
ナブラは小声で話しかけた。
「おいジェイド、大丈夫なのかよあれ」
!
「誰だ、その影にいるやつ」
バレてしまった。
「ん?これはこれはジェイド君じゃないか。その人たちは?」
結局クラスの大半がつられてきた来たので大人数となっていた。
「ええと……1年Fのクラスメイトです。そこの友人が大きな音に反応して教室を飛び出したものですから」
「真実だけど言ったらダメだろジェイドー」
ナブラは必死の抵抗を見せる。
「えぇ……犬か何かかよ…」
普通に執行長は困惑している。
「執行長、早く生徒指導室にブチ込みましょう」
「あぁ、ではさっさと授業に戻れよ皆んなー」
執行長と腕っ節担当のヴォルカは、男を持って去って行った。
「何かよくわかんねぇけどあれ大丈夫なのか?」
「あぁ、あの人たちは執行会だな。どうやら風紀を守る組織らしい」
「あ!俺知ってるぜ。前任の執行長は不良グループのトップと決闘して亡くなったらしいぞ」
ここで衝撃の事実を知った。だとすると今の執行会は大丈夫なのだろうか…
「皆んなそろそろ教室に戻ろう」
「あぁ、俺がいなくても解決したっぽいしな!」
絶対邪魔になっていただけだと思うが、予想外の事が起きなかったことだけは幸いである。
しっかりと執行会が仕事しているのを初めて見て安心さえした。
ガラン!
一同は教室へ戻ると泣き顔のキルメ先生がいた。
「う…うっ 君たちぃ 戻ってきてくれたんだね。あまりに先生がダメだからボイコットしたのかと思ったよ…」
とんでもない誤解をされていたようだ。
ナブラは眉をひそめる。
「先生、教室の外から大きな音がしたから様子を見に行っただけですよ」
「グス…グスッ それはよかったよ。結局私の嘘がバレて二重に怒られてしまったよ!」
「何やってるんですか先生!」
「ヒッ、許してくれー!」
この先生はやはり頭のネジが外れている。教室は笑いに包まれるも心の中では只々この先の授業が心配であった。
キーンコーンカーンコーン
このタイミングで、授業の終わりが知らされた。
「ええと…終わり!後の内容は宿題!」
ふざけるなよぉーー!
そう皆は心の中では思ったはずである。
そんな時、殺伐とした教室の中で、外に待っている人がいた。
「失礼する」
ムスッとしている執行会のメンバーのヴォルカが教室に入ってきた。ざわめく教室はピタッと静かになった。
「さっき何故か校舎裏にいたが、いつからいたんだ?」
顔つきの割には一般的な質問で安心した。ナブラがヴォルカに手を上げながら言う。
「何かヤンチャなにーちゃんが先輩に向かってナイフを持ち出すところからっすね」
「あぁそれならよかった。ありがとう」
意味深な返答をし、せかせかと教室を出て行った。
「なんかさっきの怖えな。あの叫び声も実はあの人がやったんじゃねぇか?」
否定は出来ない。生徒会と違ってやはり不気味な組織だ。何も情報がない以上信頼しきることは出来なかった。
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執行会室
「…って事で女子生徒にセクハラするって事案があったんだ」
ハッハッハッハッハッ(笑)
それを聞いて笑うシェミカがいた。それに対して真面目そうな目つきをしているメンバーが多数と、嬉しそうに札束を数えている会計がいる。
「結構真面目な話だぞシェミカ」
ヴォルカが鋭い目つきで戒める。シェミカは気にしない様子でヘラヘラとイスに座った。
「だってさー 校舎裏に女子生徒を連れ出してセクハラとか私聞いた事無かったんだもん! ハハハ」
執行長が席を立ち、皆が座っている長机に近づく。
「確かにこんな典型的なシチュエーションは自分もこのキャリアで初だよ。しかも授業中とかねぇ」
「執行長…やつってあのメンバーっすよね?」
札束を数えるのが飽きたようで、会計のエイジは執行長に質問する。
「あぁ、また面倒事になっちまうな」
「そろそろ、無いんすかその…対策とか」
室内は暗い雰囲気に晒される。どうやら執行会特有の事情があるらしい。
「その時を待つしか無いね。今下手に手を打つととんでもない事になりそうだ」
「分かってるっすけど…でも…」
バシッ!
突然シェミカが机を叩いた。その音に呆然としているメンバーに対して、明るい声で言う。
「暗い話はお終い!さっさと仕事しよ!」
突然の事で狼狽えるも、執行長もそれに応えるように首を回す。
「その通りだな。早く済ませて帰るぞ」
執行長は今回の事件の始末書を取り出し、ペンを回す。
「お、たまには良いこと言うやんシェミカ。俺も会計頑張るわ」
「今日は会計の仕事ないぞ」
「あ、じゃあお手伝いっすか…」
ショボンとした顔でエイジは執行長の隣で作業を始めた。
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???
「おい、お前執行会にやられたらしいじゃねぇか」
「そうなんっすよ!マジでウザイっすわ!」
何やら大柄な男とさっきの金髪の男が暗い部屋で話している。ジメジメとした部屋で男どもは何やら腹を立てているようだ。
「俺らがいるからこの学園はマシになってるってのによ。ケンカ売ってんじゃねぇのか新しい執行長はよぉ」
「マジで許せないっすよね!」
「けっ 最近大人しいと思っていたのにやってくれんじゃねぇか。次やったら前の執行長みたいにぶっ殺す」
「やっちまってくださいよ!あんな奴ら!」
「まぁじきに分からせてやんよ」
闇の組織は闇の組織の標的となった。執行会のメンバーが悶々と始末書を書き上げた後の事だった。
不穏な空気はやがて闇のように消え去っていった。
慢性的な運動不足が右手を襲いました。もうヤバいですどう動かしてもイタイ。読書の秋が終わりました、スポーツの秋を忘れた方は、スポーツの冬にしてはいかがでしょうか。私はイヤです。




