第58話: 100ポイントの重み
ブブブブブブブブ
巨大な羽音が辺りを反響する。ギョロっとした目は俺たちを威圧する。
「コレを倒せば100ポイント貰えるのよね…」
「ここで一発逆転狙うしかねぇな」
ポイントが特に稼げていない生徒には格好の的だ。特にポイントに困っていない者も混じっているが…
「わ、わたしも100ポイント欲しいです!」
ドラゴン使いもやる気なようだ。
ハチは周りを旋回しながらこちらの様子を伺っているようだ。先手を打ったのは意外にもこの人物だった。
「さぁいくわよ!」
『クリスタルアインシュラッグ』
パリパリパリパリパリ
シャキッ!
やがて氷は一つの剣となる。今回のメルスは本気だ。氷の装甲までその身に纏い、さながら氷の女王であった。
「覚悟しなさい はぁぁぁぁぁ」
ブンッ!
スッ
「くっ 大きい割にすばしっこいわね!」
ブンッ!
何度剣を振ろうと当たる気配はない。
「こうなったら <アイススパイク>」
ザンッ!
キロロロロ
氷柱は見事にハチに命中した。
「今よ! こりゃああぁぁ」
ブンッ!
ジャキンッ!!
キキキキキキキキ!!
強力な一撃をくらいハチは狼狽えた。そこを他のクラスメイトは見逃さなかった。
「<ボア>」
ドンッ!
「俺がトドメを貰うぞ」
『深淵の中でも闇は』
闇の波動がハチを襲う。やがてハチの視界はパラノイアによって遮られ、暴れる。
キキキキキキキキ
「くっトドメとはいかねぇか」
予想に以上にハチは手強く、何度魔法をぶつけても中々倒れる気配はない。いよいよ反撃を仕掛けてくる。
プスプスプス プスプスプス
「うわっ ヤベェこれ食らったらまずいやつだぞ!」
ハチは無数の針を放つ。
「<ペクト>」
カンカンカンカンカンカン
「バリア貼らなかったら危なかったわ」
メルスも相当苦戦しているように見える。決定打に欠けていた。何度か猛攻を仕掛けるものの、その度に起き上がってくる魔獣。時間も有限だ。早く決めなければならない。
「ここままじゃあ埒が開かないわ。皆で一斉に魔法を放ちましょ」
メルスが珍しく提案をする。
「あぁ ここまで来たら誰がトドメを刺せるかは運だな。その案に乗った」
大多数のクラスメイトが賛成する。1つの合図でそれは始まった。
「せーのでいくわよ!」
せーの!
ババババババババババババ
ドドドドドドドド ドドドド
物凄い量の魔法がハチに向かって放たれた。もはやハチの姿が見えないほどその爆発の威力は凄まじいものであった。
シャキーーーーーン!
ドーーーーーーーン
魔獣から眩い閃光が視界を覆った。ハチは閃光を放った後、跡形もなく消滅していた。
ナブラ:ポイント162
「よっしゃぁぁぁ 大量ポイントゲットだ!!」
ドンッ!
何とナブラがハチを覆う煙の中から、飛び出してきたのである。
「え、あんたあの中に飛び込んだの!?」
「あったりめぇだ!正直死ぬかと思ったけど、トドメを刺すにはアレしかなかったぜ☆」
笑顔で言っているが、普通に危ない事をやってのけた。
ピピーーーーーーーーー
「はいはい、タイムアップだ。お疲れ様」
アズ先生が笛を鳴らすと、魔獣は全て消滅した。
「ふぅふぅ 疲れましたが、私結構頑張りましたわ」
皆が息切れを起こしながら戦い、濃い20分は過ぎ去った。
「じゃあ結果発表していくぞ」
3位:フェルノ ポイント 140
「やった…疲れたけど…」
やはりドラゴンは強かった。序盤に大きくリードを広げ、最後まで逃げ切った。
2位:ナブラ ポイント 162
「ふふ、当然の結果だな!あのハチをぶっ倒したのがデカすぎたぜ!」
「ん?だとしたら1位って誰だ?」
ザワザワザワ
クラスは騒めき出す。だが、心当たりはあった。
1位:ジェイド ポイント 489
「はぁぁぁ?馬鹿げてんじゃないの?」
2位とほぼトリプルスコアを付け大勝するジェイド、ここまで目立っていないように見えたのだが、錬金術のようにポイントを獲得してみせた。
「なぁジェイド、どうやってそんなにポイントを稼いだんだ?」
「あぁ 皆がハチに夢中になっている隙に、通常の魔獣を倒してポイントを稼いでいたのさ」
「「あっ…」」
これも戦略の1つだ。ジェイド以外の人が後悔しながら今回の実習は終わった。
「なんで気づかなかったのよ!私!」
「そういえばルーナは何ポイントだったんだ?」
「えぇぇぇぇ いやいや大したポイントじゃないよ」
「ん?何ポイントだったかを聞いてるんだけど」
「秘密だよ秘密」
……
「さてはお前、酷いポイントだったんだな!見せろ!」
ナブラがルーナのリングを奪い取った。
「ほう、どれどれ……」
ルーナ:ポイント21
「あ…」
「もうナブラ嫌い!! ふんっ」
その後一週間は口を聞いてもらえなかったという…




