第57話: 魔獣の再来
「ジェイドー次の実習遅れるわよー」
メルスが声をかける。
「あぁすまん、書類を書いていたんだ」
「ひと段落着いたのに大変ね。じゃあ私たち先に行っておくから」
ジェイドは執行会から渡された書類に苦労していた。
「….事件が起きた時の状況をこんなに細かく書かなければいけないのか…」
発生時刻やその時の雰囲気、使用した魔法などの詳細を書いていった。
「そろそろ時間か、急がないとな」
ジェイドは走って運動場に向かった。
「今日は久しぶりに全員揃っての実習だな」
そういえばクラスメイト全員とする実習は久しぶりだ。元はそうであったのに新鮮味さえ感じる。
「今日は久しぶりに魔獣訓練を行う」
「うわ、またかよ」
「あの時はジェイドが何とかしてくれたんだっけな」
「広場でやった時は大変だったわ」
少し嫌な思い出があるが、楽しそうな実習内容に皆はウキウキとしている。
「しかも今回は個人戦だ。魔獣の撃破数を競ってもらうぞ」
クラスは大きく盛り上がった。
「いやぁコレは俺の一人勝ちになっちまうな!」
そしてナブラは根拠のない事を言っている。
「ルールは簡単だ。制限時間20分の内に何体魔獣を倒せるか勝負をしてもらう。お前らはこのリングをつけててくれ」
ジャラジャラと人数分のリングが袋から取り出された。
「このリングは魔獣を倒した数をカウントしてくれる。ちなみに魔獣に“トドメ”を刺したやつがカウントされる。勿論弱らせた魔獣を横取りするのもアリだ」
「でも一撃で仕留めれば問題ないよね!」
「それが一番だが時間が経つにつれ魔獣は強くなっていくぞ」
その使用は変わらないようだ。
「じゃあ早速やっていくぞ」
バンッ!
空砲が放たれると、魔獣が地面から湧いて出て来る。
グァァァァァァァ
黒き獣がこちらに威嚇する。だが、ここは競争の場生徒たちは魔獣に対して容赦しなかった。
「いくよ!<ゼイラ>!」
ルーナが放った雷は、複数の魔獣にヒットし、消し去ってゆく。
ルーナ:ポイント3
「よし!3ポイントも入った!」
「喜んでいる暇はないぜルーナ!<マジックソード>」
「食らえ魔獣ども!」
ナブラは次々と獣を斬っていく。そのペースは凄まじく、あっという間にルーナの記録を塗り替えた
ナブラ:ポイント8
「わわ!もうポイント8もいったの!?早すぎるよ」
「へ、こんなのは序の口だぜ!」
一方こういった戦いが得意な生徒もいた。
「<インフェルノドラゴン>敵を焼き尽くせ!」
ボオオオオオオオオオ
魔獣はあまりの熱量になす術なく消し炭になった。
「ドラゴン使うのはズルいわよ!」
「ふぇぇ ごめんなさい。でもこれしか思いつかなかったんです…」
勿論なんでもアリだ。
フェルノ:ポイント6
そんな中メルスは焦っていた。
「なんで私だけ魔獣1体に苦戦してるのよ!」
グルルルルルル
何度魔法をぶつけても倒れる気配がない。
「あぁもう分かった分かった。使ってやろうじゃない!」
『クリスタルアインシュラッグ』
巨大な氷の剣を生成した。
「これでも喰らいなさい!」
ドンッ!
プスプスプス
「やった!やっと倒したわ!」
メルス:ポイント10
「え?1体倒しただけなのに10ポイント?」
「あぁ言い忘れていたが、倒した魔獣が強ければ強いほどポイントは高いぞ」
「「「「早く言ってくださいよ」」」」
愚痴を垂らしながらも魔獣たちを倒していくクラスの人々。時間が経つと段々とポイントの差は広がっていく。
ナブラ:ポイント31
「流石に肉弾戦は疲れるぜ」
ゼロン:ポイント37
「追いついたぞナブラ!このままトップを目指す!」
ルーナ:ポイント9
「えぇ!全然ポイントが伸びないよどうして?」
イカナ:ポイント40
「はっはっは!ポイントパクるの楽しいぜ!<ボース>」
「あ!また僕の魔獣取ったな!」
「これも戦略よ!」
イカナはこの乱戦をうまく利用している。
「ここから魔獣がレベルアップしていくぞ」
やがて魔獣は姿を変え、ワニのような姿やユニコーンのような姿になるなどユニークな変化をした。その変化に見惚れている暇はない。脅威はやがて牙を剥く。
「おい、ヤベェ全然魔法が効かねぇ!」
イカナは得意の炎魔法を使うも、まるで効いているようには見えない。
「苦戦しているようだねぇイカナく~ん」
「誰だ?」
怪しげなポーズを決めてそれはやってきた。
出席番号19番 トミス・イガチ
「そ~んなとき…は! コレを使うんだ…よ!」
『|脅威的に好意的に≪アイ・ラヴ・ユウ≫』
すると手からピンクの光線が放たれる。
グルルルルルル グア
キュイン…
いきなり魔獣が怯え出した。
『チュッ』
グァァァァァァァ
魔獣が消滅していった。だがあまりにも魔法を放つその姿はキモかった。
「うわぁ…きっしょ」
「なんて事を言うんだね…イカナ…くん! 酷い事を言われるのも…嫌いじゃない…よ!」
「やめろその話し方!」
トミス:ポイント50
もうすぐ時間は折り返しの地点まで差し迫っていた。次第に殲滅能力が高い魔法より、一撃の威力が高い魔法が有利となっていった。
『クリスタルアインシュラッグ!』
ザキッ ザキッ
キキキキキキキキ ァァァァァァァァ
「うわ、キモい咆哮ね…でも私しては結構良い感じじゃないかしら!」
メルス:ポイント68
メルスは威力の高い氷の剣で魔獣を蹂躙していく、確かに訓練の成果が出ていた。
「さぁここでボーナスタイムだ」
アズ先生が大きな声で言うと、地面から特段大きな魔獣が現れた。
キロキロキロキロ
巨大なハチが姿を現した。
「今回はなんかゲテモノが多いわね…」
「さぁコイツにトドメを刺したやつは100ポイント手に入る。狙わずに他の敵を倒すのも手だがどうする?」
構わず皆ハチの方へ誘われる。皆何も考えていないらしい。
少し投稿が遅れていますが、燃え尽き症候群ではありません。先週のツケを払っているだけです。




