第56話: ある組織
今でも忘れられない、あの夜のことを。そんな中今日も登校する。今生きている世界がまるで幻想のようにも感じられた。
「さぁて 今日もホームルーム始めるかな」
背伸びをしながらアズ先生は教室に入ってきた。
「おはようー….とお前ら今日は一段と元気ねぇな」
…………..
「あー はいはい 4人は事件の現場を見ちまったからな」
クラスは沈黙に包まれる。
「でも普通にやらせて貰う。ここで引きずっても意味ないしな」
アズ先生は少しでも空気を変えようとしてくれている。不器用ながらも配慮が感じられた。
「あ、そういえばジェイドはこれが終わったら”風紀執行委員会室”に行ってくれ」
少し入学式で聞いたことがある名前だ。たしか”執行会”と略されていた気がする。生徒会とは違い、情報がオープンではない組織…らしい。ジェイドは適当に返事をする。
「はい、分かりました。どこにあるのでしょうか?」
「生徒会室の2階上だ。階段を上がる時ヤバい空気がすると思うが耐えるんだぞ」
何か嫌な予感がするが、呼ばれたなら仕方がない。
ーーーーーーーーーー
「じゃ、この辺でホームルーム終わるぞ。ジェイドは忘れないようにな」
こうして俺は教室を飛び出し、生徒会室の近くにある階段に差し迫った。
….何か不気味な予感がする。この生徒会室がある校舎はただでさえ教室の数が少なく、不思議な雰囲気があるにも関わらず、上の階に上がるとその空気は次第に濃くなっていった。
そして遂にその階へ辿り着いた。
「ここが、風紀執行委員会室か…」
生徒会室と同様に大きな木の扉が佇んでいた。覚悟を決めてノックを鳴らす。
コンコンコン
「1年のジェイドです。入室してもよろしいでしょうか?」
あまりの空気に普段よりも丁寧な言葉遣いになる。それほど危険な空気がしたのだ。
???「どうぞ入って」
「失礼します」
ガチャン
「はははははは(笑)」
そこには不思議な空気が漂っていた。執行会のメンバーと思われる人たちは談笑しており、会長と思われる人は机に腰を掛けこちらをジッと見ていた。
「君がジェイド君だね。待っていたよ」
ははははは(笑)
まだ笑い声が聞こえる。
「要件とは何ですか?」
「あぁ、前の事件の後処理だよ。現場の状況とか色々と提出しなければいけなくてね」
思っていた事よりも事務的な内容だ。少しホッとしてその後も聞く。
「そういえばこの“執行会”を知っていたかい?」
「はい、存じておりましたがどのような活動を行っているのかはサッパリです」
「まぁあんまり目立った組織じゃないしな。まずは親しみを持ってもらおうか」
机に掛けていた腰を上げる。
「じゃあまず自己紹介からしようか。自分が一応執行会会長2年Cのセクターという者だ執行長と呼ばれている。そしてこんな状況でも話し続けているク○共がメンバーだ。いつクビにしようか悩むよ」
黒い装甲のような物を纏っており、不気味な赤いラインと目は圧すら感じた。
「執行長ー ヒドイですよその言い方はー」
背の小さな金髪の女の子が苦言を呈す。
「あ、私の自己紹介だね!私は書記を担当している中等部3年2組のシェミカ・ポルパッテだよ!よろしくねジェイド君!」
何処かで見たような陽気な女の子だった。続いてこれも金髪のチャラそうな男が自己紹介を始める。
「会計…時々サバ読んでるけどええやろ1年Bのエイジ・クロアや。おおきに~」
するとシェミカが横槍を刺す
「エイジ~ ”おおきに“とか普段使わないでしょ!1年を前にして張りきってるんだね!」
「おい!それ言うなって台無しやろ!あと先輩には敬語って言うたやろが!」
陽気なメンバーとは裏腹に不気味な面を浮かべた者が口を開けた。
「副執行長の2年A:アリア・メルマイアよ、よろしく」
生徒会長とどこか雰囲気は似ているものの、高身で長い赤髪をしており儚げな表情を浮かべている。
「おーい ヴォルカもあいさつしてよ!」
「あ゛?まぁいいが。腕っ節担当の2年Fヴォルカ・パライアだこれでいいだろ」
筋骨隆々としており、その手には武器を丁寧に拭いている。
「っとこんな感じだ。活動内容は主に風紀を担当している。簡単に言うと不良をシバく組織だ」
「ではなぜ今回の事件はいなかったんですか?」
ジェイドが素朴な疑問をぶつける。
「あぁ、警察と一応協力してたんだよ。でもあいつらダメなやつでさ、金やら権力やらで全然捜査が進まなくてよ。まぁフェイズがブイブイ言わせているこの世の中じゃあ軍でもなければまともな奴なんていないのさ」
やけに部外者である生徒会の方が進んでいたわけだ。それでもまだ疑問は残っていた。
「コンテストの終わりで出現したフェイズの時いませんでしたよね」
「一応駆けつけたんだが、お前ら早すぎるんだよ。あの後「執行長なのに~」とか散々イジられてよ大変だったんだぞ」
色々苦労があったらしい。
するとシェミカが顔を近づけて言う。
「ジェイド君聞いて!実は執行長ってお嬢様学校から左遷されて来たんだよ!」
「おい、それいつも初対面のやつにいつもチクってるけど誤解されるからやめろ」
いきなり濃すぎる情報が脳内を回る。
「え、どういうことですか?」
「あー、誤解解くために説明するか。まずこの執行会と呼ばれる組織の会長は外部から派遣されるんだ。そういう学校があって資格を取ると学園の執行会長に任命されるんだ。まぁ例外はあるがそんな感じだ」
淡々と説明してくれると。またシェミカが横槍を刺す。
「しかもさ!その学校をドベで卒業して、あまりに成績が悪かったからお嬢様学校の執行長になったんだよ!」
「うわ、全部言いやがったよこいつ!ライン見極めろカ○」
「ヒドイよ執行長!また校長にチクるからね」
「校長がお前のこと呆れていたから意味ないと思うぞ」
「えーかなし」
想像よりも遥かに愉快な人たちなようだ。
「まぁそれで、羨ましがった学校の奴らがわざと成績を悪くしたもんで解決策としてわざと自分を厳しいとこに異動させやがったって訳だ」
「いいじゃないですか執行長。名門校にたまたま編入できて」
「面倒ごと起こすやつ多すぎるんだよココ!」
「前の学校でまともに出動したの1年でたった2回って言ってたもんね」
何というか本筋からズレている気がする。
「それで、要件って….」
「あ!完全に忘れてた。この紙に事件の詳細を書いて欲しいんだ。来週ぐらいには頼むわ」
パサっ
紙を渡すだけで相当な時間を浪費させられた気がするが、執行会について知ることができたので良しとしたいと思う。
第4章は考えながら書きたいと思います。




