第48話: 双月
月は日を追うごとにその明るさを増していった。三日月が美しい中ジェイドは空を見ていた。
最近月が明るみを増すごとに、不安な気持ちが湧き上がってくる。次の満月の標的なおそらく俺たち。それまでに実践的な魔法をより学ばなくてはならない。これは今回の件だけではなく、魔術師として大きく成長する事ができるチャンスでもある。
そういえば今月は皆既月食か…
ーーーーー
「メルス おはよう!」
「あ、ジェイドおはよう!」
平穏な日常の中にもあの事が忘れられない。確実にその時は来ているのだ。
「どうしたの?ジェイド顔色悪いわよ」
「あぁ少し寝不足でな」
「それは大変だわ!何か悩みとかあるの?」
「あぁいや、ただ寝つきが悪いだけだ」
「生活リズムは大事なんだからしっかりとしないとね!」
「あぁ心配してくれてありがとう」
ジェイドは深く、深く考えていた。最悪なパターンを
「今日も活動を始めるわよ」
俺らはお馴染みの生徒会室に来ていた。
「最近は物騒だから“あの2人”に活動してもらうことにしたわ」
会計のルーカスが驚く
「えぇ!、やっと見れるんですか?僕、生徒会入ってから一度もお目にかかれてなくて」
「あら、そうだったわね今日が初めての人が多いから私も紹介が楽しみよ♪さっ入って」
すると同じような見た目をしている男女が入ってきた。
「ふふ、この二人は双子ちゃんなのよ~可愛がってあげてね」
会長は笑顔で話しているが、この二人は質素な面持ちだ。
黒髪で右目は黒く、左目は黄色の男子が話し始める。
「高等部2年Aのエイダム・イーデンです….よろしく」
「私は高等部2年Bのアイヴ・イーデンです….よろしく」
対象的に金髪で、目の色がエイダムと逆である女子である。
「ふふ、結構似てて可愛いでしょ」
「会長…やめてください」
「あら、ごめんなさい。久しぶりだから私も嬉しいのよ♪」
珍しく上機嫌な会長は早速会長席へ座る。
「で、この二人を呼んだのは単純に護衛要員よ。殺害予告されている以上は私だって気をつけなければいけないわ」
二人はボソボソと話している。
「まぁ気持ちは分かるわ。本当にこの二人で護衛できるかって話よね。でも大丈夫見せてみなさい二人とも」
すると二人のオーラが混ざり合う。殺気とも言えるような強い、強い気配を感じる。
シャキーン
いきなり会長の目の前にナイフが飛んできた。
ザキッ
するとナイフが真っ二つに割れ両脇の床に落ちていった。
「ねっ 凄いでしょ」
「副会長としてコレを見るのは2回目ですが、何度見てもその方法は心臓に悪いですよ」
「それぐらい信用してるって事よ。見たでしょこの二人には特別な力があって、どんな脅威でも一瞬で対処する事ができるの。まぁ普段は仕事がないからこういう時だけ呼んでいるわ」
ほんの一瞬の出来事に皆は固まっていた。
「スゲェもの見ちまったな、俺たちが死ぬほど訓練してたのは無駄だったのか?」
「ナブラ君たちの事は聞いているわ。生徒会室にいる時は守ってくれるけど、普段調査する時とかは自分で身を守るのよ」
「はぁそういうもんか、仕方ねぇよな」
納得し、用意してもらったお茶をグビグビと飲む。
「そろそろお昼休みが終わるわね。では今日の活動はここら辺にしておくわ。放課後は無しよ」
「え、放課後ないんだ!やった!」
ルーナが声を出して喜ぶ。
「えぇ、この二人と打ち合わせしないといけないの」
「じゃあ放課後は何食べようかなぁ~」
結局脳内は食べ物で溢れていた。
翌日
「今日も護衛魔法を実践してもらうぞ!」
恒例の地獄の時間だ。初回はワクワクしたもんだが、回数を重ねるごとに厳しさは増していき、もう誰も楽しめくなっていた。
「今日は暗殺者の視点を学んでもらおうか」
「暗殺者の視点?」
「あぁ、まず敵を知る事が重要だ。その為にターゲット役と暗殺者役で対決をしてもらう」
久しぶりの少し楽しそうな内容に盛り上がる。
「おぉ 俺は暗殺者役やってみたいな!カッコよさそうだぜ!」
男子学生っぽい事を言っている。
「組み分けは適当に決めてある。これに従って対決を行うぞ」
「まずはルール説明からだ。ターゲットはマップに記してある校舎を一周してもらう。そして無事に攻撃を回避する事が出来ればターゲットの勝利だ。逆に一回でも攻撃を喰らえば暗殺者の勝利と言ったわけだ」
「先生、暗殺者は何回まで攻撃できるのですか?」
「いい質問だなジェイド君、勿論“暗殺”だからな一回で仕留めきれなかったら失格だ。現実的には相手は殺人鬼だから何度も攻撃を仕掛けてくるだろうが、今回は暗殺を想定してもらう」
「結構実践的な内容なのね。負けないわよ!」
「では1回目はターゲット役がナブラ、そして暗殺者役がルーナだ。暗殺者役はルートのどこで仕掛けてもらっても構わない。早速準備しろ!」
「「はい!」」
しばらくするとOKサインが出た。
「相手がルーナならある程度分かるような気がするぜ!ぜってぇ勝つ!」
そう意気込み、体を動かしている。
「はい、スタート!」
いよいよ始まった。
ナブラは落ち着い気がないものの、着実に進んでいく。
「ええと次はこっちかぁ、うわぁどこも狭くて怖いぜ。慎重に進んでもしょうがねぇ!ダッシュで行くぞ」
ダダダダダダダ
物凄い勢いで進んでいく。
「うぉぉぉぉぉぉ 俺の事は絶対に捕まえられないぜ!」
もはや本来の目的とは逸脱しているようにも感じるが、誰にも追いつけないようなスピードでマップ上のルートを突っ走っていった。
「ふぅ少し疲れたな 少し歩いてからまた走ろう」
タッタッタッ
「<フォース>!」
「うわ!ヤベェ!」
ドンッ!
「いってぇ」
爆風により尻もちをついてしまったナブラ。
「やったぁ!一撃食らったよね?食らったよね?」
「あぁハイハイ食らいましたよ」
「よし!僕の勝ちだ!」
2人で元の場所に戻ってきた。
「勝者 ルーナ!」
「ふふふ、コレが作戦ってやつだよ!」
「ぜってぇたまたまだわ、俺の体力がなくなった所でちょうど待ち伏せてやがったし」
「それも現実だと通じないからな!常に警戒するんだ!」
「そうだったぁ! 流石にちゃんとしねぇといけなかったな….」
ナブラは本気で落ち込んでいる。
「今回の反省を次に活かせるように!」
「では次は ターゲット役がジェイドで暗殺者役がメルスだ。さっきの要領でやるからな」
配置が終わり、ジェイドはスタート位置に立つ。
「では、スタート!」
スタートの笛が鳴る。ジェイドはナブラと違い、慎重なスタートを切った。
「いくらメルスだと言えども油断はできない。慎重に行かなくてはな」
ジェイドはスパイ並みの行動をし、慎重にそして確実に前に進んでいった。
メルスはその様子を伺っていた。
「えぇ、あれガチな動きじゃない!どうやって隙を突けばいいのよ」
メルスは困惑しながらも作戦を考えた。
「よし!これならいける!」
ジェイドは校舎と校舎の間にある狭い通路へ差し掛かった。
「怪しいスポットだな。より警戒して行こう」
ジェイドは当たりをよく見渡しながら進んでいく。
「<グレス>」
角に差し掛かった瞬間だった。突然横から氷の結晶が飛んでくる。
….よし、これで
そう思った瞬間だった。
「<ランゼ>」
スッ
その瞬間、ジェイドは地面に伏せ、グレスを完全に回避した。
「メルス失格!」
「うわぁぁぁぁん しっかり訓練した事を活かされたし!」
「これも練習の賜物だな」
メルスは残念な結果に落ち込むも、「次は負けないわよ!」といつもの口癖を言うのだった。
「さぁ今日の結果だが、丁度お互いの役が一勝した感じだったな。今後は本当にこのような事態が起きる可能性があるから、しっかりと復習する様に!」
その日は遠くない。
さぁ十万字まであと少し!ここまで来たらやります!




