第47話: リユニオン
犯行予告から翌日。俺たちは生徒会室にいた。
「さて、会議をしましょうか」
重苦しい空気が漂う。やり甲斐のあった事件の調査も、今や命の関わることとなってしまっていた。
副会長が重たい口を開ける
「ジェイド君たちは知っているな、例のことを」
4人は深々と頷く
「俺も生徒を預けられている立場だ。自分の命が心配ならば脱退して貰っても構わない。元は生徒会が提案したことだからな」
生徒会は至って冷静だ。このような事態になってもジェイドらのことを気にかけている。
「では、少し3人と話させてください」
ジェイドが応答する。
「あぁ、俺たちは部屋の外にいるからじっくりと話し合ってくれ」
生徒会の人たちは部屋の外へ出ていった。
「さてと、どうする」
ジェイドが言う
それでも3人の表情は思っていたより明るかった。
「ジェイドはこんなときどうするの?」
メルスが口を開いた
「ふ、お前らの表情を見ていると何を考えているか分かるよ “諦めない”だろ?」
より3人の顔は輝きを放つ
「当たり前じゃねぇか!ここまで来て諦めてたまるかよ!」
「僕だって犯人を見つけたいんだ!ここで負けるわけにはいかないよ!」
「皆んなの気持ちは一緒なようね!絶対犯人を見つけるわよ!」
4人の捜索班は再び一つとなった。犯人を見つけ、必ず捕らえると。そう決心したのである。
ガチャン!
「ふふ、先ほどの会話聞かせて貰ったわよ」
微笑しながら会長が入ってきた。
「あなた達、本当に仲良しなのね ふふふ」
「盗聴してたのかよ会長….」
「あら、私は脱退すると思っていなかったわよ勿論」
後からは言い放題である。でも、そんな会長の言葉は軽やかでやる気に火をつけるのには十分だった。
「ここからもう一度頑張るわよ。皆んな」
「「「「「「「はい」」」」」」」
一同が声を上げた。証拠は1つ1つと集まりつつある。この凶悪な事件に立ち向かうため、犯人の脅しなんかに負けてはいられなかった。
「十分なやる気ね。では今までの情報を整理しましょう」
「まず、初めに持ってきてくれた魔力増幅剤ね、結論から言うと犯人が服用していた可能性は極めて高いわ。理由は後にして次はこのバットね、コンピュータの解析によると、先月あたりに魔法がかけられたと出たわ。もしかしたら被害者が抵抗のために作り出したのかもしれないわね」
会長が淡々と述べてゆく。そんな中ジェイドが反応した。
「そのバットですが、もしかしたら対象指定の痕跡があるんじゃないでしょうか?」
対象指定とは魔法をかける際、誰に・何をするかを予め設定することである。そうすることで、何かが原因で作った物が遠くへ飛ばされたりしても、派生した魔法で対象へ放つことも出来る。
「あら、その線を考えていなかったわ。調べて見るわね」
生徒会室の奥にある装置に手をかける。するとすぐに結果が出た。
対象指定:あり
「“あり”という結果が出たわ。ジェイド君の読みはあたりね」
「おぉジェイドやるじゃねぇか。俺は元からそう思ってたけどな」
「「「嘘つけ!」」」
「おっとそこまで言う必要ねぇじゃねぇか」
「まぁともかく、これはまた重要な証拠になったわね。バットに対象指定の魔法を付けるなんて普通しないもの」
「解析していただき幸いです」
ジェイドは謙虚に言うが、他の3人は大騒ぎだ。
「ジェイド!また証拠を見つけちゃったね!スゴいよ」
「これで私の寿命が伸びたかもしれないわ!」
命が懸かっているからか、何をしても興奮気味だ。
さらにジェイドは言う。
「そういえば、使用された武器は魔法で生成された物か元から実体としてある物か分かりますか?」
鋭い質問をぶつける
「現状では分からないわね、もっと証拠が必要になるかもだけど。でもそれが分かれば犯人探しに大きな一歩となるわね」
ジェイド達はまだまだ調査を止めるつもりは無い。だがあまり人気のない所に少人数であると犯人に襲われてしまう危険性がある。昼間の空いている時間を見つけ、規模を縮小しながら調査を続けるつもりだ。
ーーーーーー
今日も魔術の実習が始まる。クラス全員は運動場へ集まった。
「よし、全員集まったな。じゃあ対フェイズの実習を始めるっと言う前にジェイド・メルス・ルーナ・ナブラ お前らは第2体育館に行ってもらう。前に言った特訓の時間だ」
クラスは騒めく
「特訓?何かやらかしたの?」
「よく分かんないけど悪いことしてそう」
ザワザワザワザワ
「あ、変な勘違いすんなよお前ら別に何もやらかしてないからな。ただお手伝いを任せてるだけだ」
適当な嘘で繕おうとしているが“特訓”という単語を使用しているのにそれは不自然だが、この担任なら仕方がない。
「行こう皆んな」
ジェイドが言うと足速に体育館へ向かった。
「ふぅ、体育館に俺たちしかいないと流石に広く感じるな」
「あ、その感覚分かる!結構好きなんだよねぇ」
「ちょっとあんたたち!授業始まっているのよ!静かにしないとって言っても先生がいないわね」
スッ ドン!
いきなり扉が開いた。
「待たせたね諸君」
軍服を着たムキムキの女性が入ってきた。
「クラスの精鋭たちって聞いていたけど、見た感じ全然鍛えていないな。そんなんだとすぐ殺されるぞ」
いきなりムゴイことを言ってくる。ナブラは質問した。
「先生見たことないんですけど何処の授業を担当しているんですか?」
「いい質問だな、君たち魔術科には顔を出すことがないからな。私は体術科のナヴィア・ワンギンだ授業は護衛魔法を担当している」
「….うわぁすっげぇ厳しそう」
直感が脳を支配する。この予感が外れることはおそらく無いであろう。
「早速だが、君たちには護衛魔法を知ってもらう」
それは突然始まった。
スッ
「先生が消えた!?」
「ここだ」
「わっ!」
先生はナブラのすぐ後ろにいた。
「このような状況になったとき、ナブラ君なら何の魔法を使う?」
「え、ええと<フォース>を使用し爆風で相手を遠ざけるとかですかね?」
「あぁ流石だな 正解だぞ。“フォース”は無属性の下級魔法だな。中級魔法や上級魔法と違って詠唱時間がかなり短いからこのような状況では非常に有効だ。勿論訓練してその詠唱自体も短くしないといけないがな」
「では次はこうしよう」
タッ
またまた先生が消える
トッ
上から先生が降りてきた
「さぁこういう時どうするメルス君」
「え、どうするも何も」
見ている限りでは、ただそこに先生がいるだけだ
「メルス君 上を見てみろ」
「ヒッ!」
メルスの真上には剣が止まっていた。
「今は止まっているが実戦では勿論そのまま落ちてくる。さぁ飛翔体が飛んできた時の対処法だ」
「う~ん 思いつかないわね…そ、そうだ<グレス>で氷を作り出して盾にすればいいと思います!」
「ほう、じゃあ試してみようか。“グレス”を使ってくれ」
「は、はい<グレス>」
パキッ
氷が生成された。
「では止めてあった剣を再び動かすぞ」
スッ
バキッ ドン! カラカラ
剣は氷を貫通し、体育館の床に転がっていった
「残念ながら不正解だ。これは威力を調整してあるから氷を貫通するくらいだが、実戦となると体育館の床すら突き刺さるほどの威力で飛んでくるかもしれない」
「は、はぁじゃあ正解は何ですか先生」
「こういう時の正解は….<ランゼ>だ」
ナブラが申し訳なさそうに言う
「先生“ランゼ”って何の魔法でしたっけ?」
「ちゃんと無属性魔法も習得しないといけないぞ!“ランゼ”は下級の無属性魔法だ。自分の体勢を一瞬で変えられる魔法だな。幾ら鍛えていてもやはり起き上がったり、伏せたりするのは微小ながらも時間がかかってしまう」
「そこでランゼなら一瞬で体を伏せたりすることが出来る。今回は真上に飛んできたから、後ろ向きに体を逸らし、丁度剣を足と足の間に収まるような姿勢にするのがベストだな」
「それって結構難しくないですか?」
「だから訓練するのであろう?」
そこからは地獄のような実習が始まった。
「はい!そこルーナ君!横方向から来たらランゼで伏せる!出来るまでやってもらうぞ!」
「はぁ はぁ もう疲れたよ はぁ はぁ」
「訓練しなかったら死ぬぞ!」
「は、はいぃ!分りましたぁ!」
鬼教官の形相で何度も何度も剣を避ける俺たちを見ている。
「ナブラ君!サボるな!私ならその2秒で4回殺しているぞ!」
「へ、もうそれ反応できねぇじゃねぇかよ!」
こうして人生で一番長い時を過ごした。
実はサバゲの動画に一時期ハマっていた時がありまして、やってみたいな!っと思っていたのですが痛いのは嫌なので諦めました。




