第44話: 濃くなり行く影
あの事件から暫く経った。警察の懸命な調査も虚しく事件は迷宮と化していた。
ガチャン
「失礼します」
俺たち捜索班はまた生徒会室へと足を運んだ。
「あら、ちょうどいい所に来たわね。また一つの手がかりを発見したわ」
会長はそう言うと上機嫌そうにモニターをこちらへ見せる。
「先月と先々月の被害者の情報を掴んだわ」
「今回もまた警察のデータベースから盗んだんですか?」
「物騒な事言うわね。それは一部で他は現地で聞き出した情報よ」
やはりこの会長は危ない予感がする。
「ふふ、それよりも1件目の事件だけど
場所:第二体育館裏
時刻:夕方~深夜?
発見時刻:翌日8時
状態:上半身と下半身が完全に分断されており、即死と判断。他にも打撲や刺し傷あり
コレを見てどう思うかしら」
メルスが教室の端へ逃げる
「ひぃぃぃぃぃ じょ、じょ上半身と下半身が真っ二つとかコワイコワイコワイコワイ」
ついに顔まで見せなくなってしまった。
「メルスー怖がってたら解決出来ないよ」
「それでもこの殺害方法は残酷すぎるわよ!」
教室の端から叫ぶメルス
「それでこの事件に何か特徴はあるんですか?」
「私が不自然と思ったのはこの第二体育館裏って所ね。知らない人もいるけど第二体育館裏は深い、深い雑木林がありましてね。幽霊が出るとか出ないとかウワサが沢山あるスポットなの」
「ま、まさか幽霊の仕業とか?」
「そんな事はないと信じたいわね。でも今まで起きた三つの事件をまとめると、どれも夜満月の日に誰も近づかないような場所にいるって点ね」
「知れば知るほど謎が深まりますね。1件目はまだしも2、3件目は事件が起きた後だというのに….」
「そこがこの事件のキモとなりそうね」
警察が何も追えていないのも無理はない。
「コレで終わりじゃなわよ。連れてきて」
「分かりました会長」
書記は中等部の学生を連れてくる
すると初々しい感じの少年が生徒会室へ入ってきた。
「中等部2年のレイ・タイズといいます。よろしくお願いします」
「今日は被害者の生徒について色々聞かせてもらうわよ」
「は、はい詳しくは分かりませんが一応クラスメイトなので….」
「十分よわかる範囲でいいわ。それと」
「今日の質問はそこのジェイド君に任せようかしら」
突然の任命に驚く
「俺ですか?何故でしょう」
「ふふ、なんとなくよ。私だって今日は授業と生徒会の仕事で疲れたんだもの。これも経験よ」
粋な計らいとも言うべきなのだろうか。ジェイドはやれやれと思いながらもその提案を呑むことにした。
お互いにはお茶が用意され、会談が始まった。
「クラスではどのような雰囲気だったのでしょうか」
「は、はい。いつも調子乗りと言うか….少し悪ノリが目立つ生徒でしたね」
「これまでに何か素行不良とかは?」
「特に大きな事は聞いたことないですね。でも先生に怒られているとこは見たことあります」
ここまで聞くと、ただ一般的な男子学生といった所だ。何も不自然な点はない。
「これまで人気のない場所にいるような人でしたか?」
「いや…寧ろ反対でいつも人が沢山いる所を好む人でした。クラスではいつも中心人物で明るい場所が好きだったと思いますよ」
「う~ん ここまで聞くと事件の状況と合わないな」
よく知る人物からも整合性の取れない事を聞き混乱する。
「やっぱり難しいですよね。僕も事件が起きてビックリしましたよ。まさかこんな事になるなんて」
ジェイドは再び質問する
「何か恨みを抱えられていたとか」
「えぇと 聞いた事はないですけど….可能性はあると思います」
ここまで殺意のこもった殺害方法をしているのならば、この線は見逃せない。ジェイドは慎重に調べる事にした。
「会長、この辺でよろしいでしょうか?」
「えぇ、この辺にしましょうか。これ以上有益な情報は無さそうだわ」
「今日は忙しい中ありがとう」
「いえいえ、少しでも僕だって事件の解決の手助けになればいいなって」
「あとは皆さんお願いします!」
元気な声を出し、生徒会室を後にした。
「どうでしたか会長」
「上出来だったわよ。私の知りたい事は、概ね聞き出してくれたわ」
「ありがとうございます」
こうして再び俺たちは現地へ調査する事となった。
その頃解析班
「ふ~ん ここまでの情報を見た限りでは単独犯の可能性が高いと見ているわ。それも三つの事件全てね」
副会長が反応する
「どのようなお考えで」
「まずは、殺害方法ね。被害者を憎んでの殺人という線を見ているわ。特定の条件、満月の夜ってことね。それとクラスの中心人物、これは恨みを買いやすい立場にいる人だわ。調べた所3人全員そうよ」
「なるほど、では“単独犯”という線は」
「ルーナ君が見つけてくれたこの“魔力調整剤”コレがその可能性を決定付けたわ」
机にブツを置く
「この調整剤のバージョンは“2.8”これより前のバージョンから使用者の人数が自動で記されるようになったわ」
パッケージの裏面を見ると、確かに”1“と書かれている。
「魔力調整剤はその微小な中毒性から、回し飲みを防ぐためにこうした対策が取られるようになったの。絶版品だから数も少ないし、複数人が飲み犯行に及んだとは考えにくいわ」
「では、その一人の犯人を捕まえれば事件は解決するという事ですね」
「えぇ、そう願っているわ」
可能性は絞られつつある。限りある証拠を集め、犯人を探し出す。
捜索班
「ここが体育館裏か」
そこは雑草が生い茂っており、お世辞にも人は入りたがらない場所であった。
「本当にこんな所に夜に来たわけ?」
「雑草以外何もないね。ちょっとしたゴミが落ちているくらい」
暫く散策を続けると遠くからナブラの声がした。
「お~い 見ろよこれ!まだ使えそうだぜ!」
ナブラが持っていたのは、大きなバットだった。
「ナブラ…あんたちゃんとしなさいよ」
メルスが呆れるも、ジェイドはそれに強く反応した
「ナブラそのバットを見せてくれ」
「おう、いいけどあげねぇからな」
ジェイドはバットを手に取ると即座に言う
「このバットには魔力が込められている。それも強い、強いものだ」
「ん?それがどうかしたのか?ここは魔術学園だぜ カキーーーーンと飛ばすためにも魔法でもかけたんじゃねぇの?」
ナブラが当然の反応と言わんばかりに言う
「いや、これは普通の魔力の量ではないぞ。何かピンチを感じたような…そんな強いオーラすら感じる」
「あ~ 俺はよく分かんねぇや つまりどう言う事だ?」
「これは”被害者“の持っていた物かも知れない」
「「「えぇ?」」」
「それじゃあ俺はとんでもない発見をしたって事か?やばいテンション上がってきたぜ!」
「まだ分からない。だがただのバットではない事は確かだ。すぐに生徒会室に届けるぞ」
俺たちはバットを渡した所、「解析してみるわ」と言われその日の活動は終わった。
食堂にて
「皆でこの食堂に来るのは久々だな」
俺たちは学園で一番大きい食堂に来ていた
「おう、俺はいつも弁当だしな」
「私もいつもは近くの小さな食堂に行っているわ」
昼食のスタンスは皆それぞれ違う。6つの食堂にもそれぞれ特徴があり。揚げ物をメインに扱っている食堂・ヘルシーなメニューが売りの食堂・値段は張るが美味しいと話題の食堂など個々に合わせたタイプの食堂があるのだ。
「あれ?ルーナはどこ?」
いつの間にかルーナが消えている
「あぁ先先と食いもん取りに行ってたぞ」
流石ルーナだ食べ物に目がない。
「では俺も取りに行ってくるよ」
そう言い、メンバーはテーブル席に集まった。
「やべぇルーナ!そんなに食うのかよてめぇ」
「当然だよ!成長するためには沢山食べることが大事だよ」
「そう言いながらてめぇ 背は小さいし見た目はガリガリじゃねぇか」
「あ!僕のコンプレックスをつらつらと言ったな!気にしてるのに!」
この2人はいつもこうだ、もはや言い合いをしていない時間の方が少ないんじゃないかと思うくらいケンカしている。
「まぁまぁ 二人とも食事の前に行儀が悪いぞ」
「そうだジェイドの言う通りだぞ」
「君が最初に言ったんじゃないか!」
….止められそうにないな
メルスがこちらの食器を見る
「あ、ジェイドはギョウザなのね…」
「あぁ、もちろん俺の大好物だ」
ジェイドは黙々とギョウザを食べた。
生徒会室
「あらあら、とんでもない事になったわね」
「我々はとんでもない所まで来てしまったようですね」
生徒会室は不穏な空気が漂っていた。
こうしてなろう書いていますが、ラノベはあまり読んだことがなくてどう書いたらいいか手探り状態です。暇があれば他の人の作品を読んで自分の作品に反映できればいいのですが。




