第43話: 校舎へ
「2年Bのヤヨイ・ヨカゼ…」
最初の授業で、固有魔法を見せてくれたヤヨイ先輩だった。
副会長も続けて話す
「一応うちのクラスで刀使いといえばヤヨイさんくらいだな」
「今日は来てくれてありがとう。早速話を聞かせてもらうわね」
皆で着席し、そこはかとなく重要な会議っぽい感じとなる。
「まずは、刀で体を真っ二つに出来るほどなのかしら?」
「切れ味にもよるけど…..良いものだと力があればいけるかも…..」
「つまり不可能じゃないってことね。まぁ固有魔法の影響かもしれないわね」
「それは…あるかも….」
「それと魔法で生成するタイプがあるわね、違いは何かしら?」
「魔法で生成すると….時間制限があって….壊れやすいけど……魔法との親和性が高い….です」
緊張感がありながらもスムーズに質問は進んでいった。
「ふふ、ここまで質問に答えてくれてありがとう。ところで
あなたは事件の日何をしていたのかしら」
「え、えと普通に家に….いました…..」
いきなりの事で困惑するヤヨイ
「冗談よ。あなたの事は疑っていないわ」
この会長の考えることはよく分からない。
だが、こうして刀使いから情報を掴むことが出来た。
「では、ひと段落済んだし班を分けようかしら」
「そうですね。捜索班と解析班でしたっけ?」
「合ってるわジェイド君」
「決めましょう。捜索班をしたい人はいるかしら?」
ナブラが早々に手を挙げる
「はいはい! 俺やります!」
メルスがナブラを睨む
「あんた元気いいわね~流石脳筋って感じだわ」
「脳筋って…そんなに筋肉モリモリじゃねぇよ!」
「ははは、ナブラらしいや」
ルーナもそれにつられて笑う
「じゃあ僕も捜索班になろうかな、解析とか難しそうだしね」
すると会長が口を開く
「では、1年生の皆んなに捜査班を任せようかしら。2年生で解析をするわ
暇な時は副会長に捜査班の補助を任せるわ」
「会長分かりました。全力でやらせてもらいます」
あとはより多くの情報を掴んで、犯人を見つけ出す。それが俺たちの務めだ。
俺たち捜索班は先月の事件現場である校舎へ向かった。
「これが事件現場か…」
何も変哲もない薄暗い階段。壁を見ると血でついたのか汚れがあり、事件の凄惨さを物語る。
「真昼でもこんなに暗いのに、夜となるとより不気味だわ」
「こんな所に夜にいたなんて怪しい話だぜほんと」
この事件の最も不可解な点はやはり生徒自身が怪しげな場所にいた事だろう。事件が起きていなかろうと、このような場所には近づき難いものだろう。
「ジェイドー 何これ?」
ルーナが階段の間に挟まっている物を見つけた」
「ルーナ 何か見つけたのか?」
「うん、何かツミキのような…何というかキューブ状のものだね」
ルーナに渡され、確認してみる。
「これは“魔力調整剤”だな。それも使用後らしいな空っぽだ」
「ねぇジェイド“魔力調整剤”って何?」
「あぁ、魔術師にとってコレは必須アイテムといってもいいだろう。フェイズとの戦闘をする際は必要ないが、普段の魔法の練習ではあまり大きな魔法を使えないな。そこでコレを使うことで大きな魔法でも威力を抑制する事が出来るんだ」
「なるほどね僕たちはまだ未熟だから必要ないけど、凄い魔術師ともなると魔法の調整とかも難しいだろうしね」
ジェイドは不審に思う
「でもなぜコレがここに」
「たしかに此処は“中等部”の校舎。俺たちでも使わねぇのに中等部は尚更使わんだろうしな」
「もしかすると犯人がコレを使用したとか?」
予想は跳躍する
「その可能性は否定できない。だが魔力調整剤は扱いが難しい物でな、使用しすぎると中毒性を引き起こしてしまうこともあるんだ」
ナブラが反応する
「お、それ聞いたことあるぜこの前も魔力調整剤の乱用で捕まっている人をニュースで見かけたぜ」
「よく知っているな。だから魔力調整剤は厳重に管理されているはずなんだ。この学園でも金庫に保存されているらしいからな」
「う~んじゃあ犯人は中毒で頭がおかしくなったからこんな事をする様になったのかな?」
「そうかもしれない…」
そうジェイドが答える
「ちょっと待って!」
メルスが声を上げる
「薬物中毒者にこんな知能的な犯行が出来るかしら?これまで犯人の姿を誰も捉えられていないんでしょ?」
「確かに、それは疑問だな。メルスありがとう」
「イヤ、タマタマダシ」
相変わらず、褒められるとメルスはいつもこうだ。
「とにかくコレを証拠の一部として持ち帰るぞ」
一同は生徒会室へ集う
コンコンコン
「捜索班です。入ってもよろしいでしょうか?」
「えぇどうぞ」
「失礼します」
ガチャン
入ると既に生徒会のいつものメンバーが集まっていた。
「今日はどんな要件かしら?」
「先月にあった校舎での事件の現場に行きまして、ルーナが階段の隙間からこんな物を見つけました」
ジェイドはポケットからブツを渡す
「ほう、コレは興味深いわね」
じっくりと会長はブツを眺める
「かなりコレは大きいわよ。ルーナ君のお手柄ね♪」
会長は上機嫌である
「へへっ会長に褒められて光栄です」
すると会長が大きなことに気がつく。
「皆んな聞いて、重要な事を発見したわ」
「何でしょう会長」
副会長が重たい腰を上げる
「これは魔力調整剤の中でも絶版である“VG-ver2.8”ね」
何やら怪しい名前である。
「それがどうしたんですか?」
「これは、通常の薬として開発されたけど、通常の薬とは異なる点が1つあってね」
「”使い続けると魔力が逆に上がってしまうのよ“」
「どういう事ですか?」
「服用してから、初めの方はちゃんと魔力を抑えてくれるんだけど次第に自身の魔力を超えて魔法を放てるようになってしまうわ」
「例えるならば、初めは30%の魔法なんだけど時間が経つと105%の魔法を放てるようになるわ」
「そんな薬なら、服用しまくれば最強の魔術師になれるんじゃね?」
ナブラは無邪気に言う
「ふふ、ナブラ君らしいわね。当然重い副作用があるわ 1回ならまだしもこれを日常的に服用し続けると…忽ち体内にある魔法を司る組織が暴走し、生きながら一生ヒドイ痛みを伴うようになるわ」
「ヒエ、そりゃあイヤだな」
「治療法もなく、致死性もないことから”一生腹を抉られているようだ“と形容している患者さんもいるのよ」
「コワイ コワイ コワイ」
またまたメルスが勝手に怯えている
「いや、飲まなければいい話だからなメルス…」
「そう言うわけで発売禁止になったわ。それでも裏の市場では未だに流通し続けてるってウワサよ」
事件は殺人だけではなく、他の問題にも発展しそうだ。もしかしたら裏でとんでもない事が起きているのかもしれない。
「今日はよく探しに行ってくれたわね。あとは私たちが解析するわ」
他の生徒会のメンバーも俺たちに軽くお辞儀をし、一緒に部屋を出て行った。
タッタッタッ
共に廊下を歩く
「そーいえば会長さんって普段はどんな人なんですか?」
生徒会の人にルーナが言うと、副会長が答える。
「会長はとんでもないカリスマ性を持っていてな…俺も嘗ては会長を目指して時期があったんだが、あまりのカリスマ性にすぐ諦めてしまったよ」
「へぇ そうなんですね。やっぱり会長ともなると違うのか~」
「さらに今の会長はなんと”中等部2年“からお勤めになっていてな。当時は物凄い衝撃だったんだ」
「「「「え!」」」」
衝撃の事実に俺たちは驚きを隠せなかった。
「中等部、さらに会長ともなると異例中の異例。副会長ですら中等部の人はいなかったんだ。もうバケモノだよあの人は」
「生まれつきのカリスマって所でしょうかね」
「そうだな、なんというか”女王“って感じがするからな会長は。しかも仕事は完璧、本当に打ちどころのない人だよ」
副会長は会長をベタ褒めする。他の生徒会メンバーも言う
「私は書記をやっているんだが、あまりに決断が早いから仕事が大変なんだよ。どの仕事でも書記は他の役職に比べ楽だというイメージが強いが、こっちでは全然そんな事はないんだ」
「先ほどもずっとパソコンに文字打ってましたもんね」
「あぁ、だが腕は確かだ。私もやり甲斐があって活動は充実しているよ」
どうやらメンバーの信頼も厚いようだ
ジェイドも質問をする
「ところで、会長さんがメンバーはあと”2人“いるとて仰っていましたが、今日もいらっしゃらなかったですね」
副会長は気付いたように言う
「あぁ、あの2人は緊急の時にしか来ないんだ。何せ少しデリケートなやつらだからな」
生徒会にも色々あるらしい。
俺たちは校舎の分岐点に着くと書記が言う
「では私たちはこちらへ行く。今日はありがとう」
「いえいえ、生徒会の皆さんもありがとうございました」
そう言い別れていく。
「今日は凄かったわねルーナ!」
「しばらくは鼻を高いなぁ」
「おい、まだ犯人像は何一つ分かってねぇんだぜ。ここからだろ?」
「そうねナブラ!犯人を絶対にとっ捕まえてやるんだから!」
俺たちはまだ進む。
会話メインだとどうしても文章が長くなってしまいますね。




