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第30話: 氷の魔法使い手

 体術科の衝撃的な試合が終わり、待機室の中で3人は会話する。


「メルス、そんなに怖がると体に毒だぞ」


すっかり萎縮してしまい、耳を塞いでいる。

「いやぁ キキタクナイ キキタクナイ」


「ストレッチでもして気を紛らわせたらいいんじゃね」


「もうそうしておくわ!」

腕をブンブン振り回すメルス。


「駄々捏ねてるガキかよ」



「さぁ 9回戦いきますよ!」


ドキッ


緊張が走る。


9回戦 B:プレア・クァンタン VS I:パステル・ラコッタ


「はぁよかった」


「後の方がもっと緊張するくね」


「心の準備がまだなのよ」


そんなことを繰り返していると、ついにそのときがやってくる


「次は13戦目! 終わりも近いですね!」


「来るな来るな来るな」



13戦目 D:ジェッカ・ワンセン VS F:メルス・ディナイト


「はっ!」

メルスの番はついにやってきた。


「メルス、相手は体術科ではなくてよかったな」


「そうだよメルスちゃん あと練習もしてるしいけるって」

2人は全力で励ます。


すると応援しているクラスメイトの声が聞こえてきた。


「頑張れメルス!」

「やっちまって下さいよ!」


そう応援してくれている仲間がいる。メルスは心から熱を帯びてきた。


「メルス・ディナイト やります!」


なんか変なベクトルに行っている気がするが、やる気が出た事はいい事だ。



結界に両者が入場する。

すると、帽子を被った小柄な男が視界に入ってきた。


「よぉ お前が代打か?」


「そうだけど」


「ケケッ、弱そうなやつだな」


「失礼な事言うわね! あんまり言うと痛い目見るわよ』


「それはどうかな ケケッ」



「また口喧嘩ですか、これから勝敗が決まるんで後にして下さいよ」

「それは置いといて 始めますよ~」

5


4


3


2


1


スタート!


「<グレス>」

始まった途端にメルスが仕掛ける。


ヒュンヒュンヒュン


「危ねぇ女だな」

なんとか避ける。

ジェッカは、

『|囁く影のイタズラ≪シャドウズケーパー≫』


ケッケッケッケ

ハハハハハハ


ジェッカの手から、2つの不気味な黒き物体が飛び出る。

すると忽ちメルスに襲い掛かった。


「キャッ 何よこれ!」


「ケッケッケ すぐにわかるさ」


メルスに直撃した後、闇は消滅する。

変化は起きた。


「うわぁ なんか鬱になってきたわ やめようかな戦い」

鬱屈な気分になる。気が重い


「そいつは相手の精神に蝕むのさ。降参しちゃってもいいんだぜ」


ここにきて精神的ダメージを与える固有魔法。もはや卑怯とも言える魔法だが、これも戦術だ。


「ん~」

「もとから戦いなくなかったわ」


「は?!」


「私は戦いたくないけど、これはルーナのためなんだからね!<アイススパイク>」

尖った氷柱をその手に装備する。

「くらいなさい ガキンチョ!」


「<ボース>」

氷柱の内部から爆発し、氷が四散する。


パリンッ


「うわ あんた意外にも炎属性なのね」


「余裕かましてる場合じゃねぇぞ <バーンゲイズ>」

巨大な炎が当たり一面に拡散した。


「くっ 暑すぎて氷魔法がすぐに溶けちゃうじゃない」

結界の中ということもあり、次第に温度は上昇していく。

属性的に不利ということもあり、状況は悪くなる一方だ。


「なんだ このくらいでダメになっちまうのか?」


「そんな事はないわ 私だって奥の手くらいあるわよ!」『|深淵に咲く氷花の希望≪アビス・ラスタング≫』


メルスの髪が蒼く染まり、透き通った氷の鎧がその身に装着される。

当たりの温度は段々と冷えていく。


「すげぇ 固有魔法持ってんじゃん でも炎によええのは変わりねぇな<フェイオ>!」


ボアッ 


業火に燃ゆる球が、鎧に向かう。


「そんな安い炎なんて効かないわ」


シュン


即時冷却された。


「ケケ どうやら油断してたらしいな」

少し後ろに下がるジェッカ。


「覚悟しなさい」

パキパキパキッ

氷の剣が生成される。


『クリスタルアインシュラッグ』


その巨大な剣を振るう。

もはや避けることなど出来なかった。


ドガーーーン


結界に叩きつけられ、悶絶する。

「ケッケッケ やるじゃねぇか折れちまったのは俺の方だったらしいぜ」

「降参」




「勝者  メルス・ディナイト!!」


「「「「おおおおおおおおお」」」」



「なんと! 代打での出場で勝利をもぎ取りました! これでFクラスは全員トーナメントに出場します!」


完全に予想外のことが起きた。勝ったのは勿論だが、あそこまで強力な固有魔法を持っているとは全員思っていなかっただろう。



「え、私勝ったんだけど」

まだ事実に気持ちが追いついていないが、クラスの人たちが駆け寄る。



「すげぇよメルス!お前Dクラスのヤツに勝っちまったぞ!」

「メルスさまー おめでとうでございますわー」


「うわわわ あんたたち近いって」

そうはいいつつ嬉しそうな表情は隠せていない。



「おい、うちらのクラス全員終わったし、ルーナの様子見にいこうぜ」


「あぁ、ずっと心配していたからな」


今日は喜怒哀楽が激しい日だな。




今日の3話目は厳しいので明日4話投稿します。

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