第15話: 運命は回り出す
「うちの生徒に手を出すのは承知しねぇわ」
暗闇から出てきたのは、アズ先生であった。突然の展開に一同は固まった。
細身の不良がうろたえながら言う。
「なんでアズがここにいんだよ、ジェイドお前仕込んでいたのか!」
「いーや 俺はこいつから何も言われてねぇし」
おそらくこの中で一番驚いているのは、ジェイドだ。
細身の男は再び言う
「では、なぜここに」
「ん?俺は固有能力でここに辿り着いた訳だけど」
「は?仲間から聞いたけどよ、アズの固有能力は人を狂わせるという能力だったはずだろ?」
「あぁお前らには俺の固有能力1つしか教えてなかったっけ なぁそこの細いガキ」
「ははっ 何を、固有魔法はまだしも1人につき固有能力は1つだろ、何言ってんだ先生」
「1年のクソガキは知らないのかもしれないが、上級魔術師ともなるとな」
瞬間的に不良に接近する。
バッ!
「”1つ”じゃねぇんだよ固有能力はよ」
アズの2つ目の固有能力「運命の帰路」元から備わっている能力であり、対象がこれから起こる重大な出来事を”オーラ”の大きさで感知することができ、さらにオーラの色で同じ出来事の関連人物を特定することができる。
「おとなしくしてもらうぞ テメぇら」
「拘束魔法<バイズ>」
鎖が不良たちを捉える、これで決まったと思われた。
「フフフ 先生 私たちをなめてもらったら困るわ」
キリキリキリキリ
バイズの鎖がしなびれていく。一時は捉えられた不良は再び自由な姿となってしまう。
不気味な表情を浮かべる女がこちらを見て笑う。
『<崩壊する定めと知り』 私の固有魔法.....フフフフフ」
いつの間にか女の周りの木は枯れていき、不気味な風景が目を襲う。
「アリア・ネアーゼ その強力な固有魔法で一時は期待されたが、素行不良で停学中の生徒だ」
「ずいぶんと詳しいのね先生。 あの時は孤独だったけど…もう今は孤独じゃないの!」
ヒュン!
「なに! くそっロープが俺に」
アズ先生は後ろに迫るロープの男に気づけなかった。
「魔法が使えない そうかそんなやつもいたな」
アズ先生は苦笑いで状況の悪さを伝えてくる。
「フフフ...ジェイドちゃん こういうときどうすればいいんだっけ?」
俺は...故郷を救うと決めたんだ。もう絶対諦めないと...そう決めたんだ!!
「加速魔法<レイズ>!」
ジェイドは高速で移動する。
目にも止まらぬ速さで、皆の視界から消える。
「空間魔法<ロアーズ>」
「何が、どうなってるの」
不良たちの体感時間が著しく増加する。不良たちから見てジェイドはさらに何倍にも速度が増加している。もはや残像すら見えない。
「これで終わりだ『軌跡を追う一瞬の煌めき』」
これまで動いたジェイドのルートが、次々と爆発する。
「なんて...わざ」
ドドドドドドド
最後の音がなったとき、立っていたのはジェイドだけであった。
「これで懲りたかお前ら」
「は、ははチートでも使ってんのかこの男は…」
「チートではない。だがお前らより遥かに高いレベルにいる事は確かだろうな」
ジェイドは不良に近づく
「じゃあ、どうするんだっけ?」
「ははっ す すまん」
「“人を誘拐し傷つけてごめんなさい”だろ?」
「くっ調子乗りやがって」
ドガーーーーン
近くの木が爆発して倒れる。
「もう一度聞いてやる」
「人を誘拐してごめんなさい!!」
「精々停学なり退学なりして頭を冷やすんだな」
ジェイドの完勝だった。メルスに大きなケガはなく、度重なる出来事で疲れたのか寝ている。
「とりあえず このロープを取ってくれない?」
やつれた顔の担任がそこにいた。
メルスを抱えこの森を出ようとすると、忘れかけていた不良が目を覚ます。
「おい 待て てめぇら」
モルダンである、極度の狂気状態で気を失っていたが、目を覚ましたようだ。
「逃げるんじゃねぇぞ おれt......」
バタン
「もう一度眠っとけ トーシローが」
鬼畜教師が再び眠らせる。
「先生、ありがとうございました」
「いや、なんか登場したと思ったら即戦闘不能になったし ほぼお前の力だぞ」
「いえいえ、あの状態で助けてくれたから、あのようなことができたんです」
「まぁこの学園 治安あんまよくねぇし、気を付けるしかねぇな」
アズ先生はメルスをおんぶして森の中を共に歩く。
何を考えているのか分からない担任だが、やるときはやってくれる。
そんな先生であった。
私も夕食の狂気で寝ていました。




