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彩(いろ)なき世界の巫女~パステルカラーで塗り替える  作者: 白前 中
仲間との出会い

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7/12

「灰色に差す初めての色」

境界層の空気は、灰色の世界とはまるで違った。

淡いパステルの光が漂い、風は柔らかく、

どこか懐かしい匂いがした。


彩殿の中心に立つと、

彩の巫女装束がふわりと揺れ、淡いラベンダーの光を放つ。


レイアはその光景を、息を呑んで見つめていた。


「……ここが、境界層……」


彼の声は震えていた。

無理もない。

レイアにとって“色”は失われたもの。

もう二度と戻らないと思っていたもの。


ミュレがレイアの周りをくるくる飛び回る。


「レイアくん、ほらほら!

 ここなら色が見えるかもだよ!」


リュミエが静かに言う。


「境界層は、色脈の残滓が漂う場所。

 色を失った者でも、心が反応すれば色が戻ることがあります。」


ヴェイルがレイアに近づき、

その胸元にそっと手をかざした。


「あなたの心にも、まだ“色”は残っている。」


レイアは目を伏せた。


「……俺には、もう色なんて……」


「ある。」


彩が一歩近づいた。

胸の奥が熱くなる。

レイアの瞳に、ほんの少しでも色を戻したい。

その願いが、装束を淡いピンクに染めた。


レイアは驚いたように彩を見た。


「……また色が……」


「私の色は、心で変わるの。

 レイアを……助けたいって思ったら、勝手に……」


その瞬間、

レイアの胸の奥で、かすかな光が揺れた。


淡い——本当に淡い、青。


彩は息を呑んだ。


「……レイア……今、色が……!」


レイアは自分の手を見つめた。

灰色だった指先に、ほんの少しだけ青が差している。


「……嘘だろ……

 俺に……色が……?」


ミュレが嬉しそうに跳ねる。


「やったぁ!レイアくん、色が戻ってきてるよ!」


リュミエが説明する。


「彩の魔力は“色を呼び戻す力”。

 あなたが彩に心を開いた瞬間、色が反応したのです。」


ヴェイルが静かに告げる。


「境界の巫女の色は、世界だけでなく——

 人の心にも色を灯す。」


レイアは胸を押さえた。

その瞳に、確かに淡い青が揺れている。


「……こんな感覚……久しぶりだ……

 あたたかい……」


彩の胸がぎゅっと締め付けられた。


「レイア……

 私、もっと色を取り戻したい。

 世界にも……人にも……」


レイアはゆっくりと彩を見つめた。


「……なら、俺も行く。

 お前の色が……世界を変えるなら。

 俺は、その隣に立つ。」


その言葉に、彩の巫女装束がふわりと揺れ、

ラベンダーとピンクの光が混ざり合った。


ミュレが嬉しそうに叫ぶ。


「彩ちゃんとレイアくん、相性ばっちりだよ!」


リュミエが咳払いする。


「……はしゃぎすぎです、ミュレ。」


ヴェイルは静かに微笑んだ。


「これで、色を取り戻す旅が始まる。」


彩はレイアの手をそっと握った。


**灰色の世界に、初めて“色”が灯った瞬間だった。**



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