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彩(いろ)なき世界の巫女~パステルカラーで塗り替える  作者: 白前 中
仲間との出会い

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紫虚彩の正体

紫の泉の奥で、

“空白の人影”がゆっくりと形を成していく。


光でも影でもない。

色でも闇でもない。


ただの“無”。


ユナが震える声で呟く。


「……あれが……

 紫虚彩……

 魂を蝕む虚彩の本体……」


彩は胸元を押さえた。


どくん。

どくん。


「……この感じ……

 他の虚彩とは違う……

 もっと……深い……」


セレスが青い糸を伸ばし、

泉の脈を読み取る。


「彩さん……

 紫虚彩は《魂脈虚彩》……

 虚彩の最深層に位置する存在です。

 その正体は……

 “世界の魂が抱えてきた空洞”そのもの。」


レイアが眉を寄せる。


「空洞……?

 つまり、何もないってことか。」


セレスは静かに首を振る。


「いいえ。

 “何もない”のではなく……

 “何もなくなってしまった場所”。

 それが紫虚彩です。」


紫虚彩の正体①:世界の魂の“欠損”


紫虚彩は、

ゆっくりと彩へ向かって歩き出す。


その歩みは静かで、

音もなく、

ただ世界の底を揺らす。


ミュレが震える。


「彩ちゃん……

 あれ……怖いよ……

 何も感じないのに……

 すごく重い……!」


セレスが説明する。


「紫虚彩は、

 世界が長い歴史の中で失ってきた“魂の欠片”。

 悲しみ、喪失、孤独……

 誰にも癒されず、

 誰にも拾われず、

 ただ沈んでいった魂の残滓。」


ユナが胸元を押さえる。


「……だから……

 あんなに“空白”なんだ……

 色も、光も、影もない……

 ただの……欠損……」


彩は息を呑む。


「……世界が……

 失ってきた魂……」


紫虚彩の正体②:巫女の魂に反応する“鏡”


紫虚彩が彩の前で立ち止まる。


その顔は——

彩の顔に似ていた。


ユナが驚く。


「彩……

 紫虚彩……

 きみに似てる……!」


セレスが静かに告げる。


「紫虚彩は、

 巫女の魂に反応して形を変えます。

 あなたの魂の“欠損”を映す鏡……

 それが紫虚彩の本質です。」


レイアが息を呑む。


「つまり……

 彩の魂にも“欠けた部分”があるってことか。」


彩は影の顔を見つめる。


影は、

彩が知らない彩の表情をしていた。


——あなたは誰?

——あなたは何者?

——あなたの魂はどこにある?


彩の胸が痛む。


「……私の……魂……」


紫虚彩の正体③:魂の“空洞化”を広げる存在


紫虚彩の胸の中心に、

小さな“穴”が開いている。


それは黄虚彩の穴とは違う。

光を吸うのではなく——

魂を空洞化する穴。


セレスが震える声で告げる。


「紫虚彩は《魂脈空洞》……

 魂の中心に“空洞”を作り、

 存在理由を奪う力を持っています。」


ユナが彩の手を握る。


「彩……

 紫虚彩は……

 きみの魂の中心を狙ってる……

 きみの“存在理由”を……奪おうとしてる……!」


彩は影の穴を見つめた。


その穴は、

どこか懐かしい痛みを呼び起こす。


「……これ……

 私の……心の奥にあった……

 “空洞”と同じ……」


影が囁く。


——あなたは誰?

——あなたは何者?

——あなたの魂はどこにある?


彩は震えながらも言った。


「……私は……

 私の魂を……見つけるために……

 ここに来たんだ……!」


紫虚彩は静かに手を伸ばす。


——紫虚彩の正体は、

世界と彩自身が抱えてきた“魂の欠損”。

その空洞が、彩の魂を試すために姿を現した。



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