緑の泉、生命の眠り
森の奥へ進むほど、
空気は湿り、
草木の香りが濃くなっていった。
レイアが周囲を見渡す。
「……緑の気配が強くなってきたな。
生命の色脈が近い。」
セレスが静かに頷く。
「はい。
この先に“緑の泉”があります。
ですが……光が弱い。
泉はまだ眠っています。」
ミュレが彩の肩で震える。
「彩ちゃん……
なんか、森が息を潜めてるよ……
怖いっていうより……“待ってる”みたい……」
彩は胸元の紋に触れた。
どくん。
どくん。
「……うん。
緑の泉が……呼んでる。」
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森の奥に広がる“生命の静寂”
木々が途切れ、
ぽっかりと開けた空間に出た。
そこに——
緑の泉があった。
だが、彩が想像していたような
鮮やかな緑ではない。
水面は淡く濁り、
光は弱く、
まるで“深い眠り”についているようだった。
彩は息を呑む。
「……綺麗……
だけど……苦しそう……」
レイアが泉の周囲を見渡す。
「植物は生きてるが……
色が薄いな。
泉の力が弱まってる証拠だ。」
セレスが泉に近づき、
そっと手をかざす。
「……やはり。
緑の泉は“生命の流れ”が詰まっています。
このままでは……泉は完全に眠ってしまう。」
ミュレが不安そうに言う。
「彩ちゃん……
どうしよう……
泉が泣いてるみたいだよ……」
彩は泉の前に膝をつき、
水面に手を伸ばした。
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泉が彩に触れる
指先が水面に触れた瞬間、
泉がかすかに光った。
どくん。
どくん。
彩の胸元の紋と、
泉の奥の“生命の核”が共鳴する。
彩は目を閉じた。
「……緑の泉……
あなた……
とても苦しいんだね……」
水面が小さく揺れ、
淡い緑の光が彩の手に絡みつく。
セレスが驚く。
「泉が……彩さんに反応しています。
あなたの“心の青”が、泉の眠りを揺らしている。」
レイアが剣に手をかける。
「彩に触れたってことは……
何かが起きるぞ。」
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泉の奥から現れる“影”
泉の底が、
ゆっくりと暗く染まった。
ミュレが叫ぶ。
「彩ちゃん!!
泉の奥から……影が来るよ!!」
リュミエが告げる。
「これは……
緑の泉に潜む“生命を喰らう影”。
緑虚彩の気配です。」
セレスが一歩前に出る。
「まだ姿は見えません。
ですが……
泉の奥で“目覚めかけている”のは確かです。」
彩は胸元の紋を握りしめた。
「……緑虚彩……
泉を苦しめてるのは……あなたなんだね。」
泉の水面が大きく揺れ、
緑の光と黒い影が混ざり合う。
レイアが剣を抜く。
「彩、構えろ。
ここからが本番だ。」
彩は強く頷いた。
「うん。
緑の泉を……助けるために。」
巫女装束がラベンダーと緑に輝く。
緑の泉は眠っている。
だが、その奥で“影”が目覚めようとしていた。




