青虚彩、静寂の影
青の泉が彩を認め、
胸元の紋に“青の輝き”が宿った直後。
泉の水面が——
不自然に揺れた。
レイアが剣に手をかける。
「……彩、下がれ。」
ミュレが震えながら彩の肩にしがみつく。
「彩ちゃん……
泉の奥から……“影”が来るよ……!」
リュミエが静かに告げる。
「青の泉には、
“心の静寂”を喰らう虚彩が潜むと言われています。」
ヴェイルが続ける。
「その名は——
青虚彩。
心の迷いを糧とする影。」
彩は胸元の紋に触れた。
どくん。
どくん。
「……来る……!」
---
泉から現れる影
水面が裂け、
青い霧が立ち上がる。
その霧はゆっくりと形を成し——
人のようで、人ではない影となった。
黒と白の虚彩とは違う。
青虚彩は、
青い光と影が混ざり合った“静寂の怪物”。
レイアが息を呑む。
「……こいつ……
さっきの虚彩より……冷たい……」
ミュレが震える。
「彩ちゃん……
あれ、心が吸われそうになるよ……!」
青虚彩は声を持たない。
ただ、彩の胸の奥に直接“囁き”を送り込んでくる。
——本当に、世界を救えるの……?
——君の色は、まだ弱い……
——心の迷いを、私に寄越せ……
彩は胸を押さえた。
「……やめて……
私の心に……入ってこないで……!」
巫女装束が揺れ、
青の光が淡く震える。
リュミエが叫ぶ。
「彩!
青虚彩は“心の隙”を狙います!
迷いを見せてはいけません!」
レイアが彩の前に立つ。
「彩、しっかりしろ。
お前の色は……そんなに弱くない。」
彩の胸が熱くなる。
どくん。
どくん。
---
青の力、初めての発動
彩は胸元の紋に手を当てた。
「……私は……
私の色を信じる……!」
青の光が紋から溢れ、
彩の手に集まる。
ミュレが叫ぶ。
「彩ちゃん!!
青の泉の魔法が……出るよ!!」
彩は両手を前に突き出し、
青虚彩へ向けて叫んだ。
「——《彩脈静波》!!」
青い波紋が広がり、
空気が震える。
その波は——
攻撃ではなく、
“心を整える力”。
青虚彩の囁きが一瞬止まり、
影が揺らぐ。
レイアが驚く。
「……彩……
今のは……!」
リュミエが説明する。
「《彩脈静波》は、
心の乱れを整え、
虚彩の“精神侵蝕”を無効化する魔法です!」
ヴェイルが静かに告げる。
「青の泉が授けた、
“心を守る色”。
虚彩の囁きは、もう彩には届かぬ。」
彩は強く頷いた。
「……もう大丈夫。
私の心は……揺れない。」
青虚彩が影を震わせ、
怒りとも悲しみともつかない波動を放つ。
レイアが剣を構える。
「彩。
行くぞ。
今度は俺たちの番だ。」
彩は手を前に出し、
青の光を纏う。
「うん。
青の力で……
青虚彩を浄化する!」
巫女装束が、
ラベンダーと青の光を強く放つ。
青虚彩との戦いが、いよいよ始まる。




