色脈を辿る旅路
ルシエルの町を出る朝。
泉の光はまだ町を優しく照らし、
人々の瞳には確かな色が戻っていた。
リナが彩の手を握り、
小さな声で言った。
「彩さん……
気をつけてね。
次の泉も……きっと、あなたを待ってる。」
彩は微笑んで頷いた。
「うん。
リナの色も……ちゃんと持っていくよ。」
レイアは背負い袋を整えながら言う。
「行こう、彩。
色脈の流れは、北へ向かってる。」
ミュレが彩の肩に飛び乗る。
「次の町は“ミルティア”だよ!
昔は花の色で有名だったんだって!」
リュミエが補足する。
「ですが今は……
色脈の流れが弱まり、
花々はほとんど咲かなくなっているようです。」
ヴェイルが静かに告げる。
「境界の巫女よ。
次の泉は、あなたの“新しい力”を試す場所となる。」
彩は胸元の核の紋に触れた。
どくん。
どくん。
「……行こう。
世界の色を取り戻すために。」
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道中:色脈の“ささやき”
町を離れてしばらく歩くと、
彩は足を止めた。
「……聞こえる……」
レイアが振り返る。
「色脈の鼓動か?」
彩は頷く。
「うん……
でも、さっきまでより“弱い”……
まるで、助けを求めてるみたい。」
ミュレが耳をぴょこぴょこ動かす。
「彩ちゃん、色脈の流れが細くなってるよ。
この先で何かが“詰まってる”のかも。」
リュミエが分析する。
「色脈の流れが弱まると、
周囲の自然も色を失います。
無彩獣が集まりやすくなるので注意を。」
レイアは剣に手をかける。
「つまり……
この先に“何か”がいるってことだな。」
彩は胸に手を当てた。
「……でも、怖くない。
だって……」
レイアが彩の言葉を引き取るように言う。
「俺がいるからだろ。」
彩の巫女装束が淡いピンクに揺れた。
「……うん。」
ミュレが大笑いする。
「彩ちゃん、分かりやす〜い!」
リュミエが咳払いする。
「……はしゃぎすぎです、ミュレ。」
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色を失った森
道を進むと、
森が見えてきた。
本来なら緑が生い茂るはずの場所。
だが——
木々は灰色。
葉は乾き、
風の音すら色を失っている。
彩は胸を押さえた。
「……ここ……
色脈の流れがほとんど感じられない……」
レイアが周囲を警戒する。
「無彩獣が出てもおかしくないな。」
ミュレが震える。
「彩ちゃん……
この森、なんか“変”だよ……
色が消えた森って……こんなに寒いんだ……」
リュミエが静かに告げる。
「この森の奥に、
“色脈の詰まり”があるはずです。
それを解消しなければ、
次の町ミルティアは完全に無彩に沈むでしょう。」
彩は強く頷いた。
「行こう。
森の奥へ。」
レイアも頷く。
「彩、無理はするなよ。」
彩は微笑む。
「うん。
レイアがいるから、大丈夫。」
巫女装束がラベンダーに輝いた。
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森の奥で待つ“影”
森の奥へ進むほど、
空気は重く、冷たくなっていく。
彩は胸元の紋に触れた。
どくん。
どくん。
「……この感じ……
虚彩じゃない……
でも……“似てる”……」
レイアが剣を抜く。
「来るぞ……!」
木々の影が揺れ、
黒い霧が地面から立ち上がる。
ミュレが叫ぶ。
「彩ちゃん!!
“虚彩の残滓”だよ!!
虚彩が逃げる時に落としていった影!!」
リュミエが告げる。
「虚彩そのものではありませんが……
核の力を持つ彩を狙ってきます。」
彩は一歩前に出た。
「……大丈夫。
私の色で……浄化する。」
胸元の紋が輝き、
三色の光が彩の手に集まる。
「——《彩脈光矢》!!」
光の矢が放たれ、
影を貫く。
影は霧のように消え、
森に静寂が戻った。
レイアが彩の肩に手を置く。
「彩……
お前の力、前よりずっと強くなってる。」
彩は胸に手を当てた。
「……リナの願いが……
私を強くしてくれたのかも。」
巫女装束が淡いピンクに揺れた。
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森の奥に見える“次の色”
森のさらに奥。
灰色の中に——
かすかな“青い光”が見えた。
彩は息を呑む。
「……あれ……
色脈の“青”……?」
レイアが頷く。
「次の泉は……“青の泉”か。」
ミュレが跳ねる。
「彩ちゃん、行こう!!
次の色が待ってるよ!!」
リュミエが静かに告げる。
「青の泉は、
“心の静けさ”と“真実”を司る泉。
彩にとって……
大きな試練となるでしょう。」
彩は強く頷いた。
「行こう。
次の泉へ。」
レイアが隣に立つ。
「どこへでも行くさ。
お前の色がある限り。」
彩の巫女装束が、
ラベンダーとブルーの光を揺らした。
次の町ミルティアへ——
新しい色、新しい試練、新しい出会いが待っている。




