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彩(いろ)なき世界の巫女~パステルカラーで塗り替える  作者: 白前 中
仲間との出会い

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15/50

色脈の泉の異変

ルシエルの町の中心へ向かうにつれ、

彩の胸の奥で色脈の鼓動が強くなっていった。


どくん。

どくん。


まるで、泉そのものが助けを求めているようだった。


レイアが周囲を警戒しながら言う。


「……空気が重いな。

 ここだけ、灰色が濃い。」


ミュレが彩の肩で震える。


「彩ちゃん……やだ……

 この感じ、絶対に“悪いもの”がいるよ……」


リュミエが静かに告げる。


「色脈の泉が汚染されている証拠です。

 無彩の気配が濃すぎる。」


ヴェイルは彩の背に手をかざし、

淡いラベンダーの光を流し込んだ。


「心を整えよ、境界の巫女。

 泉はあなたを待っている。」


彩は深く息を吸い、歩みを進めた。


---


色脈の泉


町の中心に辿り着いた瞬間、

彩は息を呑んだ。


そこにあるはずの“色脈の泉”は——


黒い膜に覆われていた。


本来なら淡いパステルの光を放つ泉。

色脈の源であり、町の心臓。


だが今は、

黒と白の揺らぎが水面を覆い、

まるで“色を拒絶している”ようだった。


レイアが剣を構える。


「……これは……無彩獣の仕業か?」


「違う。」

ヴェイルが静かに首を振る。


「これは“虚彩”の気配。

 無彩獣の上位種……

 色を奪うだけでなく、色脈そのものを汚染する存在。」


彩の胸が強く脈打った。


どくん。

どくん。


巫女装束がラベンダーに揺れ、

袖から淡い光が溢れ出す。


「……泉が……泣いてる……」


ミュレが涙目で言う。


「彩ちゃん……泉が苦しんでるよ……

 助けてって言ってる……!」


リュミエが分析するように泉を見つめる。


「色脈の流れが完全に止まっています。

 このままでは町全体が無彩に沈む。」


レイアが彩の肩に手を置いた。


「彩……

 お前なら、泉を浄化できるか?」


彩は震える手で胸に触れた。


「……やってみる。

 私の色で……泉を取り戻す。」


---


彩、泉に触れる


彩は泉の縁に膝をつき、

黒い膜に覆われた水面に手を伸ばした。


触れた瞬間——


世界が悲鳴を上げた。


耳鳴り。

視界の歪み。

胸の奥を締め付けるような痛み。


彩は歯を食いしばった。


「……っ……痛い……

 でも……離れない……!」


巫女装束がピンクに揺れ、

次にブルーへ、そしてラベンダーへと変化する。


ミュレが叫ぶ。


「彩ちゃん、無理しないで!」


リュミエが冷静に告げる。


「いいえ……これは必要な痛みです。

 泉と彩が“繋がろうとしている”。」


ヴェイルが静かに言う。


「境界の巫女よ。

 泉の記憶を視よ。」


彩の視界が光に包まれた。


---


泉の記憶


彩は見た。


かつてのルシエル。

色と音楽に満ちた、美しい町。


人々が笑い、花が揺れ、

泉は七色に輝いていた。


だが——


黒い影が現れた。


虚彩。


顔のない人型の影。

黒と白が混ざり合う“無”の存在。


虚彩は泉に手を伸ばし、

色脈の光を掴んで引き裂いた。


泉は悲鳴を上げ、

町の色が一気に失われていく。


彩は震える声で呟いた。


「……こんなの……

 絶対に許せない……!」


その瞬間、

彩の巫女装束が強烈なラベンダーの光を放った。


記憶が砕け、

彩は現実へと引き戻された。


---


泉が反応する


彩の手から、淡い光が泉へ流れ込む。


黒い膜が揺れ、

少しだけ——ほんの少しだけ——裂けた。


レイアが息を呑む。


「……色が……戻ってる……!」


泉の奥から、

淡いピンクとブルーの光が漏れ出す。


ミュレが叫ぶ。


「彩ちゃんの色が、泉に届いてるよ!」


リュミエが頷く。


「完全な浄化には至りませんが……

 泉は確かに反応しています。」


ヴェイルが静かに告げる。


「あなたは泉を救ったわけではない。

 ただ“目覚めさせた”だけ。

 虚彩はまだ、この町のどこかにいる。」


彩は立ち上がり、強く頷いた。


「……探す。

 虚彩を倒して、泉を取り戻す。」


レイアが剣を握りしめる。


「俺も行く。

 お前の色がある限り、俺は隣に立つ。」


彩の巫女装束が、

ラベンダーとピンクの混ざった光を放った。


**色脈の泉は、まだ救われていない。

虚彩との戦いが、すぐそこまで迫っていた。



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