色脈が導く町へ
色脈の記憶を見たあと、
彩の胸の奥ではまだ淡い光が脈打っていた。
どくん。
どくん。
世界の心臓と、自分の心臓が重なるような感覚。
レイアが隣で歩きながら、静かに言った。
「彩……大丈夫か。」
「うん……でも、まだ胸が熱いの。
色脈の鼓動が、ずっと響いてる。」
ミュレが彩の肩でぴょんと跳ねる。
「彩ちゃん、それは“色脈が呼んでる”ってことだよ!
この先に、きっと何かあるよ!」
リュミエが空気を読むように目を閉じた。
「……確かに。
この先に“色脈の集まる場所”があります。」
ヴェイルが静かに告げる。
「そこは、かつて“色の町”と呼ばれた場所。
今は無彩に沈んでいるが……
色脈がまだ息をしている。」
彩は胸に手を当てた。
「……行かなきゃ。
色脈が残ってるなら、きっと色を取り戻せる。」
レイアは迷いなく頷いた。
「行こう。
お前の色があれば、きっと何か変えられる。」
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灰色の大地を進む二人
色脈の光は、地面の下で淡く揺れていた。
彩にしか見えない細い光の道。
彩はその光を辿りながら歩く。
「……この道、まっすぐ続いてる。」
「色脈が町へ繋がっているのだろう。」
レイアが言う。
ミュレが耳をぴょこぴょこ動かす。
「彩ちゃん、気をつけてね。
色脈の近くには、無彩獣が集まりやすいんだよ。」
リュミエが補足する。
「色を喰らう獣は、色脈の残滓を餌にします。
つまり……あなたの色にも惹かれる。」
彩は少しだけ身を縮めた。
「……怖いけど……
でも、逃げたくない。」
レイアがそっと彩の手を握った。
「大丈夫だ。
俺がいる。」
その瞬間、彩の巫女装束が淡いピンクに揺れた。
“安心”と“信頼”の色。
レイアはその色を見て、少しだけ微笑んだ。
「……お前の色は、本当に分かりやすいな。」
「わ、分かりやすくないもん……!」
ミュレが大笑いする。
「彩ちゃん照れてる〜!」
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最初の町:灰の静寂
しばらく歩くと、
遠くに建物の影が見えてきた。
灰色の家々。
色を失った看板。
人の気配はあるのに、どこか“生きていない”ような静けさ。
レイアが呟く。
「……ここが……」
「色脈が導いた町……?」
彩は胸の奥の鼓動が強くなるのを感じた。
どくん。
どくん。
色脈が、町の中心から呼んでいる。
ヴェイルが静かに言う。
「この町は“ルシエル”。
かつて色と音楽に満ちた、美しい町だった。」
ミュレが寂しそうに言う。
「でも今は……全部、灰色になっちゃったんだよ。」
彩は拳を握った。
「……取り戻す。
この町の色も……人の色も……
絶対に取り戻す。」
レイアは剣に手をかけ、周囲を警戒しながら言った。
「まずは町の中心に行こう。
色脈の気配が強い。」
彩は頷き、
淡いラベンダーの光を帯びた巫女装束を揺らしながら歩き出した。
色脈が導く最初の町——ルシエル。
ここで、彩とレイアは“最初の試練”に出会うことになる。




