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あれから数日後。
“届け物”の依頼を請け負っている都合上、そろそろ目的地に向けて旅立つ事にしたオレたちは宿を引き払い、先ずは憲兵の詰め所へ。
「──お兄ちゃん、ラッキーだったね。この前、お兄ちゃんが傭兵の人たちと捕まえた野盗の首領に賞金が懸かってたなんて」
「まあな。」
ちなみに、賞金はガイツたちと折半だ。
大通りの端にあるこの町で一番デカい憲兵の詰め所の中へ足を踏み入れ、入って直ぐにある受付カウンターで、
「ラクル・ネフェニスだ。“野盗の首領の懸賞金”を受け取りに来た。」
そう告げる。すると、カウンターに座る事務職の憲兵が、
「ラクルさんですね。少々お待ちを。」
と、応答すると、その憲兵は奥に向かって、
「副所長! 先日、野盗の捕縛に尽力してくださった、ラクルさんがいらっしゃりましたよ!」
そう声を掛けたのだった。
待つことしばし。
「お待たせしました。お連れさまと一緒にどうぞこちらへ。」
受付に座る人物とは異なる憲兵がきて、オレらを応接セットへと誘導する。
「どうぞ、お座りください。」
応接セットに踏み入ると、そこには他の憲兵より見るからにお偉いさんが待っていた。
「失礼します」
オレは断りを入れて、勧められたソファに座る。
すると、秘書官風な憲兵が三つの皮袋と金を載せたお盆を持ってきて、応接セットのテーブルの上へとそのお盆を置く。そして、お偉いさんこと──この詰め所の副所長は手でお盆の上にある一番左の金を指して、
「どうぞ。こちらが、先日にラクル殿が捕縛に尽力なさってくれた『野盗首領の賞金』です。それと、こちらは街道を荒らしていた野盗の捕縛に尽力してくださったラクル殿への我々からの細やかな謝礼です。お受け取りください。」
さらに、続けざまに中央のものをも指した。
「そうですか。では、遠慮なく頂戴します。」
そう返して、オレは向かってお盆の一番左に置かれた金を一緒に置かれている皮袋に詰め口紐を締めて手に取ると、中央に置かれた既にお金が入れられ口紐が締まっている皮袋をも手に取り懐に仕舞う。
そして、オレが二つの皮袋を仕舞い終えたタイミングで詰め所の副所長が再び口を開いた。
「ところで、ラクル殿。少々お頼みしてもよいかな? 報酬は全額前払いで、こちらになる。」
そう言って、お盆に残っている金を差した。
当然、オレは、
「内容次第ですが、我々に出来ることならば引き受けますよ。」
モチのロンで、二つ返事でオーケーする。
「ありがとう。では、貴殿らに“奴隷”の“奴隷商の館”までの護送を頼みたい。」
「──奴隷の護送? ですか?」
副所長の頼み事に、エリーが怪訝な顔をして口を開いた。
まあ、確かに“奴隷の護送”自体は奴隷商人からの依頼であったりするが、憲兵からの“奴隷の護送”とはまず無いからな。
「うむ。件の野盗のアジトに攫われて捕まっていた奴隷でな。憲兵が保護し、昨日に健康診断等の身体検査が漸く終わったのだ。本来であれば我々が護送すべきところなのだが、今日は雑務に回せる人手がなくての。貴殿らに依頼をした次第だ。」
成る程。そういや、今日だったな、野盗の首領と幹部の処刑は。因みに、首領と幹部以外の他の野盗連中は性格矯正施術された後に懲役奴隷──かつて、『大監獄アルカドラス』で大脱走事件があり、以後、懲役刑は再犯防止策として性格矯正施術を施して奴隷身分に堕とすようにしたのだとか──として奴隷商人に引き渡される。閑話休題。
「なる程、そうでしたか。わかりました」
どうやら、エリーは副所長の説明で納得がいったようで、先の怪訝さはなくなっていた。
オレらが詰め所から外に出ると既に詰め所の入口前に護送用馬車が停車していた。
「どうぞ、こちらが奴隷商の館までの地図になります。」
「ありがとう。ところで、奴隷を無事に送り届けた後、この護送用馬車はどうすればいい?」
「はい、それでしたら護送用馬車ごと奴隷商に引き渡しいただいて結構です。」
「わかった」
護送用馬車の馬の手綱を持った憲兵から地図と手綱を受け取り、確認事項を確かめる。
そして、
「そんじゃ、行くとすっか」
「はーい」
エリーを先に馭者台に乗り込ませ、オレも馭者台に上がり座席に座ると、オレは馬車を発車させるのだった。




