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ミギルが魔族に命令する最中、黒い触手が一閃して、ミギルの首を文字通り弾き飛ばした! 頭部を喪った首からは血が吹き上がる。
「……おいおい、魔族は、奴の支配下じゃなかったのか?!」
「……多分だけど、本来、『魔族』を造るのには“人と悪魔が、一人と一体”らしいけど、黒外套は二体も融合させてた。それが、原因かも?」
「魔族が黒外套を裏切ったのはこの際、横に置いておいて、我々は魔族に対処しなければなりません!」
「確かに。んじゃ、イーシュ、前衛は任せた! オレらは呪文なんかで援護するから、頼むぜ!」
「わかりました。ですが、僕の剣は普通の剣ですので、魔族には……──」
魔族の裏切りによるミギルの退場。当然、魔族の次なる獲物はオレたちだ。素早く、作戦ともいえない作戦を立てたオレたちだが、イーシュが自分の持っている剣は普通の剣であると言って、次の言葉を詰まらせる。
「──それなら、師匠がわたしと開発した呪文が──わたしがしたのはアイディアを出すだけの微力にも至らないお手伝いでしたが──使えるかもしれません!」
そこへ、ターミが提案する。その手があったか! ターミとエリーは、ターミの格闘術を活かすために『とある呪文』を共同開発したのだ。それは、“魔力を両拳に纏う”という魔術。手に掛かる負荷を軽減し、打撃力を上げるというシロモノだ。これをイーシュの剣にかければ、イケる可能性は大だろう。
「おお! ナイスな、アイディアよ、ターミちゃん! さすがは、あたしの弟子!」
「はい、ありがとうございます。師匠」
ターミが示した打開策に、弟子の目覚ましい成長を見たエリーが褒める。
「それじゃ、武器なんかにも魔力を付与できるように、呪文をチョチョイとアレンジするから、魔族の対応は皆に任せるわ!」
そう言うが早いか、エリーは下敷きの木版と紙、それと、インクが前以てペンに充填されている万年筆を取り出して作業を始めてしまった。オレは『光輝の弩』で光の矢を魔族に向けて発射しながら、ふとした疑問を作業中のエリーに問う。
「なあ、ターミが使う呪文を、そのままイーシュの剣にかけるワケにはいかないのか?」
「当たり前よ、お兄ちゃん。魔力付与なんかの魔術ってのは、呪文の構成の段階で“効果対象を設定している”から、そのままじゃ“呪文の構成に含まれていない対象”には魔術の効果はかからないの!」
「ふーん、そうか」
ペンを奔らせながらも、説明してくれたエリーの言葉に、理解は出来たかもしれないので相槌を打つオレ。そして、既に始まっている魔族との戦いに意識を集中する。
「……やはり、ただの剣では魔族には歯が立ちませんね……」
前衛の壁役になっいるイーシュは怒涛の黒い触手による数量による連続攻撃を今のところ汗一つかかずに去なしていた。オレの援護射撃が「いらねんじゃね?」と思ってしまう程の剣捌き。ターミもまた、霊貫槍の呪文でオレ同様に、イーシュへの援護射撃をする。




