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──まったく、連合軍だけでなく、魔王軍までもが現代の五大賢者の『魔導書』を狙ってくるとはな……。
「……まさか、心の賢者様が“危惧”されていた通りになってしまうとは……」
ゴトウェン支部長は頭を抱えて黒い外套の人影が去っていった土煙の先を凝縮しながら、先ほどの通話機を介してのイーシュと心の賢者のユングじいさんとのやり取りの中で出てきた“不穏な話題”が現実のものとなってしまったことに愕然としていた。
「ユング様のものではないとは言え、五大賢者の『魔導書』を悪用されるのは見過ごせません! ラクルさん、いまの賊を追い掛けましょう!」
どうやら、ユングじいさんの弟子の優男なイーシュは正義漢だったようで──はやとちりをするがな。──、光の賢者の著書『アインの書』を奪い去った魔王軍の工作員の追撃を提案。ま、面倒ではあるが、『魔導書』の奪還には異論はないので、
「おうよ。
エリーとターミは此処に残れ。」
エリーとターミに魔道士組合で待っているように伝え、オレの応答に頷いたイーシュと共にオレは──、
「──あたしも行く!」
「わたしも付いて行きます、ご主人様!」
しかし、“待っているよう”言い伝えた二人が拒否って、「付いてくる」と言ってきた。オレはエリーとターミの顔を見て、
「──分かってるのか? 奴──いや、連中は“法なんてクソ喰らえ”な戦争をやってる奴等なんだぞ? 『正義の味方ごっこ』のつもりで付いてくる気なら、敢えて言うが、“お荷物の足手纏い”だ!」
問う。“先ほど『アインの書』を奪っていた輩”は“説教たれて懲らしめて”も“改心も悔いる”こともないどころか、“命尽きるまで悪足掻きする『厄介極まりない連中』”だ。そして、そんな輩とやり合う以上は、エリー──エリティアが信条の一つとしてしている“『悪人とて命までは奪わない』に反する──即ち、命のやりとり”になるのは必定。ちなみに、そもそもの話になるがエリーの“弱きを虐げる、赦せぬ巨悪を懲らしめる”行いはタダの『私刑』に他ならない。確たる証拠があったからこそ、これまでギリギリ見逃してもらっていたに過ぎないのだ。さて、ここでついでに追加の閑話をすると、オレがカメリア大陸を旅しいていた頃の相方だった『ダチ公』は、国際司法の国際司法特別執行権保持者だった故に、他国だろうが関係なく“悪事の黒幕やその共犯者をその場で即決裁判し、刑執行の許可を出せる立場”だったからこそ『成敗!』出来ていたのだ。閑話休題。
「「…………」」
オレの問いにエリーとターミは押し黙り、それが彼女たちの回答だっ──




