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 ──プエッラとその連れたちによる“押し込み強盗事件”から早三週間が過ぎた。

 オレらは今現在、マンスリーの貸家を滞在拠点にしていた。宿屋で狼藉を働いたのは『プエッラ一味』だが、原因の一端がオレら──厳密にはオレが一時的に預かっていた『魔導書』にあったのは事実な訳で、そのままその宿屋に長期宿泊するのは気が引けたのだ。

 しかも、だ。『プエッラ一味』は憲兵の詰め所のブタ箱に放り込まれた後、裁判手続き前に脱走して姿をくらましやがった。聞いた話だが、どうやらプエッラの連れの女の方が魔術に長けていて、魔術を使って派手に暴れ、それで生じた混乱のドサクサに紛れて逃走したのだとか。──ホント、やれやれ、だぜ。

 さて、今日もまたエリーとターミは魔道士組合で魔道の勉強だ。オレはというと、ここマシカから日帰りで行ける観光地の観光や観光ガイドに載ってない隠れたスポットの散策などで、日々を過ごしていた。んで、今日の予定は、

「──そろそろ路銀を稼がねーとな」

 財布の中身を見ながら、オレは独りごちる。なにしろ、マシカに到着後、この街の凄腕の魔導道具技師にオーダーメイドの魔導道具の製作をいろいろと注文したからな。特にレアな素材の材料費が料金のウエイトを占めた。それに、根なし草の旅人にとって重要なのは“命あっての物種”だ。自分を含めた全員の身の安全の為なら、金に糸目は付けない。

 そんなワケで、少し前に野盗から没収した金の殆どは使い切ったので、今日からは働かにゃならん。っといっても、長期に渡って契約で縛られるような仕事はパスだ。なので────



 ──ukuyikuf ezak ag imak ow uredan.

   ukuyigus omuk urenu asukakaw.

   ihsataw ow atanak eh uanazi.


 オレは街の広場で吟遊詩人の真似事をしていた。魔術で顕現させた楽器──ヴァイオリンを奏でる。それに合わせて、オレの隣に立つ女が詩を唄う。

 すると、一曲終わる毎に、お捻りが四方八方から投げ込まれ、聴衆は次なる曲を所望してくる。

「重畳、重畳♪」

 オレは歌い手の女が自分の歌声を聴いてくれた聴衆に向かって手を振る最中、お捻りを素早く回収。そして、元の位置に戻ると、ヴァイオリンを手に持ち、構え、次なる楽曲の旋律を紡いだ。

 ──しっかし、予想以上だ。せいぜい十人くらいからお捻りを貰えたなら御の字だったのに、蓋を開けてみれば、数十人──いや、下手したら百人近い聴衆が“オレが奏でる音楽と、その旋律に歌声をのせる女”に興味を抱き、聴き惚れてくれたのだ。しかも、一曲毎にお捻りが投げ込まれるという、聴衆たちの気前のよさ。マジ、ウハウハだぜ。

 そんな事を思いながら、オレはヴァイオリンの調べを響かせていた。




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